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原型:みんなが心躍る世界を■■したいですが(多少)手こずっています。  作者: アイティ
五章:ナゼ タタカワナケレバナラヌノダ?
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サイカイシテスグサイヒコウ


「“なん……で? 確か巨人いたよね。”」


「はい、たしかにいたはず……それに飛んでた人達もいません……」


「“ま、まぁ、事態が収束してるんならいいんだけどさ……?

  いや、なんで? あそこから大広間に出て……どうなってるの……?”」


異常であるが正常である、この景色に疑問を持つ彼女。

そして新たな疑問が生まれる、自分はどこから出てきたのか。

一瞬、この高さから見るに、

江戸城っぽいところの最上階から出てきたと思ったのが、

その城は右斜めの景色にある。ふと彼女は後ろを振り返ってみた。


そこには空だけが広がっており、

何か建物があるわけでも、戦艦があるわけでもなかった。

彼女はその場で空中静止。周りの景色を見回す。

……何度見回しても、今いる高さから出てきたと思える物がない。


「“今来たところから戻ってみる……?”」


そうだ、このまま後ろに下がれば……と思ったが、

空中静止して、もうどこから飛んできたか分からなくなってしまった。


「うーん……とりあえず……」


仕方がないので、今見えてる江戸の様子を探るがために、

創は地上へと滑空し、たぶんフェーリスと走ってた大通りに着地する。


「うぉぉ!? 何だおめぇ!? どっから来た!?」

「おっかぁ!? 空から女の子がぁ!?」


「……あっ、そうでした、ここ江戸でしたね……」


時代設定と言うか、世界観を忘れていた。

ここは普通に空を飛ぶ人がいたり、巨人だのなんだのがいた江戸じゃない。

いや、風吹やあの子に会うため、その江戸であっては欲しいのだけれど、

周りの驚く表情と声、自分に向けられた視線に耐えられなくなったのか、

彼女は恥ずかしそうにし、とっさにGWEを持ってる手で目元を隠して、

近くにあった狭い路地の方へといそいそと走って行った。

その様子を見る江戸の人々。後から来た者は彼らの驚きように興味を持つ。


「なんでぃ、何があった?」

「おおう、いやな? 空から女の子が降ってきたんだ。」

「そんなわけあるけぃ、空を飛ぶのは鳥か、忍者だけだよ! ははは!」

「ほ、ほんとに空からきたんでぃ! な、なぁ! お前も見て……あれ?」


そして、様子を見ていた一人の女性が創が入った路地へ歩んでいった。

彼女はフードをかぶっており、何かオオカミのような耳が見える……


創は入った路地から人通りのないところを探していた。

人目を避けながら、こそこそと移動しながら、自分と喋りながら。


「”いや私、どこかの誰かに狙われてるのかい……?”」

「そう言うわけじゃないんですけど、ちょっと恥ずかしいというか……」

「”……なら、服も変えないと。異国の者と思われるよ……?”」

「いや、避難してるときは大丈夫でしたよ。」

「”……ああ、そっか、そうだったね。”」


そんな会話をしながら、目の前にいる人を警戒していると、

後ろから足跡が聞こえてきて、それにビクッと反応した彼女は後ろを振り返る。


「んあ、やっぱり創じゃないか。なんでこんなところに。」


そこには、白いフードを被り、

みたらし団子の串を3つ、指の隙間に持っている姫路が居た。

気楽な表情で創に言った後、彼女は団子を食べ、創に団子串を渡そうとする。


「なに隠れてんだよ、創。誰かに狙われてんのか?」


創はきょとんとしながら、無言で団子を受け取る。

そして、団子と姫路を交互に見たと思えば、串に刺さった団子を食べる。

……うまい。みたらし団子ってこんなおいしかったっけ。


「って、そうじゃないそうじゃない! 姫路さんじゃないですか!」


「そう、アトナオート姫路さんだよ。創も江戸に閉(・)じ(・)込(・)め(・)ら(・)れ(・)た(・)んだ。」


彼女は微笑みながらみたらし団子をゆっくり振り回す。


「と、閉じ込められた……?」


「そ、江戸と言う世界からは抜け出せなーい。

 アロディルデ王国に戻ろうとしても、謎のバリアみたいなのがあってね。

 ぶち壊そうとしても無理だったから、

 そのバリアを伝って抜け道がないか見たんだけど、

 どうやら、この江戸の世界を囲うようにバリアが張られてるみたいなんだ。」


「な、なんでそんなものが……!!」


創は静かに驚く。


「こっちが聞きたいよ。コルプスの瞬間移動で連れてこられて、

 そのままどっかに行かれたから、私でも状況が分からんのさ。」


「コルプスさんが……?」


「これも全てロゼって奴の仕業なんだ。

 アイツ、かなり裏があるよ。この私を閉じ込めるなんて……」


「ロゼさんが……? なんでそんな事を……。」


うつむきながらロゼの思惑のついて考える。

姫路の言うとおり、裏があるのは間違いない。ではその裏とは何か。

……まったく想像がつかない。でも、よくないことなはず。

姫路を閉じ込めたのはコルプス、コルプスを造ったのはロゼ……

なんであれ、彼女はロゼ達が姫路を閉じ込めようとしたのを信じたくなかった。


「ま、閉じ込めている割には、平和だけどね。

 殺し合いしろだの、何か命を下されているわけじゃないし。

 それに、このみたらし団子も美味いからね。

 結局、ロゼは何が目的でここに閉じ込めたんだか……」


そういいながらみたらし団子をパクリと食べる。


「ここにいる人も、閉じ込められた人なんですかね……?」


「さぁ? 話を聞いたけど現住民っぽい。

 閉じ込められすぎて頭がおかしくなったか、もしくは洗脳されたか。

 まじでバリア以外、江戸の世界そのものだよ。」


「じゃ、じゃぁ、あの江戸は一体……」


「それで創さんや、君はなんでここにいるのかなぁ?」


「えっと、それがですね……」


創は江戸に来る前のお婆ちゃん家から、今までの事を姫路に説明した。

ざっくりとした、簡素な説明を聞いて彼女は、


「お、おう……細かいことは後でゆっくり聞くわ……」


目を回し、こんがらがった表情でそう言った。

それを言った後すぐ、首を素早くぶんぶんと振り回し、真剣な表情になる。


「それで、そのケモ耳包帯少女の神様は今どこにいる?」


「え、え? わ、分かりません……。無事なのかも、まったく……」


すると姫路は唇をかみしめて、

両手(みたらし団子を持った手も含め)を強く握り、

創の方から体の向きをそらし、うつむく。

彼女から激しい怒りのオーラを感じられた。


「何の苦労も知らない奴が……よくも……!」


「え、えっとぉ……姫路、さん?」


すると、パッと創の方を向いて、


「私をバリアがあるところまで連れてってくれ。

 そこから空に飛んで、上にどこまでバリアがあるか確かめたい。」


そう言いながら、創の肩に手を置き、キリっとした目で顔を見る。

とにかく姫路の機嫌を心配に思った彼女は、すぐさま頷き、頼みを承諾。


「は、はい……! えっと、じゃぁ……。」


手に持っているみたらし団子を急いで食べた創は、

どこかに串を捨てるゴミ捨て場がないかと辺りを見回す。

すると姫路はみたらし団子を全て食べ、

創が持っていた串を取り上げてどこかへ行ってしまった。

するとすぐに戻ってきて、水を湿らせた無地の青いハンカチを持ってきていた。

創が団子を食べる際に少しだけ汚れた手を彼女がふき取り、

そして自分の手もふき取りながらどこかへ行き、すぐに戻ってきた。


「これでいいね。よし! いくぞ!」


「……あ、はい。じゃぁ飛ぶので____」


創がそう言おうとした瞬間、姫路は急に抱きついてきた。


「うぇっ!? ちょ、姫路さん!?」


「これで飛んでくれ、ゆっくりじゃなくていい。」


「いや、ちょ、ちょっと、近いと言うか、恥ずかしいと言うか……」


それを聞いた姫路は、少し微笑んだと思えばニヤニヤし始めた。


「えぇ、恥ずかしい? 何? 私の胸が当たってるからですぅ?

 フードで見えないだろうけど、実は私、結構育ちざかりなんだよねぇ。」


「ど、通りで……いやその、それもそうですけど、顔がっ……!」


顔を少し赤らめる創。

姫路と創の距離間隔は、ほぼゼロに近い。

創の尻の下あたりを両足でクロスし、離れないように、

両手はおんぶの状態の前バージョンで、がっしりと掴んでいる。

まだ飛ぶ前というのに、すでに離陸態勢にある彼女。

なのだが、何故か彼女の体重をあまり感じない。

そういう体質なのだろうかと思うのだが、

密接しすぎて創の顔の横に姫路の顔がある。

それに自分の胸と姫路の(変に感触のいい)胸がくっついてしまっている。

すっっっごい恥ずかしい、というか、変な気持ちになってしまう。


「顔が近いか……、じゃぁ……。」


姫路は前から抱き着くのをやめ、

創の背後に回って後ろから抱き着いてきた。

顔は近くなくなったが、やはり、彼女の胸の感触がすごい。


「これでいいか創。」


「……はい。飛びますよ……。」


胸の事を気にしながらも、彼女はGWEを片手にゆっくりと飛び始め、

そこから徐々速度を上げて、すぐに江戸の空へとやってきた。

地上にいる彼らはその様子をばっちり捉えていたのだが、

すぐさま彼女らの姿が見えなくなり、空を見回し始める。


「姫路さん、スピード大丈夫ですか?」


「速いのは慣れてるから大丈夫だよ。

 そっちも大丈夫? 重たくない? あと恥ずかしくないかい?」


「恥ずかしい以外は大丈夫です……、

 それで、私はどこに向かえばいいですか。」


「このまま真っ直ぐ行って、私がストップって言ったら止まって。」


「分かりました。このまま真っ直ぐ突き進みます!」


そう言うと、さらに速度を上げて飛び始めた。

不安な気持ち、心配な気持ちでいっぱいだけれど、

誰かと一緒に空を飛ぶのが久しぶりで、少し楽しい気持ちになった。


「ちょ……速……ま、まっ……」


なお姫路は、彼女のノリノリな速度に押されていた。

必死に彼女から離れないようにしがみつき、耐えた。


そして。


「は、創! ストッフ!」


その声を聞いた時には、創はもう、バリアから数メートルもなかった。

バリアは薄い水色のカーテンの様で、綺麗ではあったのだが。

そんなものを見た瞬間に、創は反射的に目をつぶった。

今飛んでいる速度から急に止まろうが止まれまいが、

バリアから数メートルもなければ確実にぶつかる距離。

ぶつかった拍子に体に大きな負荷がかかり、全身が骨折してしまうそんな距離。


彼(・)女(・)は、『死』を覚悟した。


 

その時、創が持っていた刀から、

絵の具の色を全て混ぜたような液体が滲み出る。

それは光速の速さで彼女がぶつかる場所へと動き、

バリアの壁に、おぞましい水たまりができたと思えば、

その水たまりを起点にしてバリアに大きな亀裂が入った。

謎の液体は仕事を終えて帰るかのように、

彼女の持っている刀へと吸引されていった。


水たまりだったところには、

本来、彼女らがぶつかる壁はなくなり、大きな黒い穴が開いていた。


「……!? あれ、私……!?」


気づけば、真っ暗な空間に漂っていた。

右も左も前も後ろも真っ暗。

あのケモ耳少女に掴まれ入ったところと同じなのか、

肌が寒気を感じはじめ、口から白い息が出る……

すると、姫路が耳をピコピコ動かし、焦りながらこう言った。


「創! 上を見ろ!」


とっさに上を見ると、イカのっぽいものが泳いで……


「いや! あれ!?」


目を凝らしてよく見れば、

それはイカ戦艦、異端世界秩序がそこにあった。



久しぶりにみたらし団子食べて、おいしかったです。

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