シュウハゲキドシタ?
時を同じくしてカテラと神堕 愁と神堕 聖?
彼らは牢屋の廊下を駆け抜け階段を上り、新しい廊下に出た。
どこかでドスンピチュンと聞こえてくるが彼女らは気にしてはいない。
ただここからの脱出を最優先に考えていた。
「それでセイント! ここからどうするんですか!」
「セイン……!? 私か! 面白いね!」
「聖だからセイントなんですか……?
あの、ほんとにこれからどうするつもりなんです?」
駆け抜けながら会話をしていると、目の前に忍者が格子窓を見て立っていた。
まだこちら側には気づいてはいないようだが、
このまま走っていればすぐに気づかれるだろう。
神堕 聖はその忍者を見て手を前に出し、青い火の玉を放った。
その火の玉の音、明かりに気づいた忍者は既に時すでに遅し。
彼女は放ったそれは忍者の服に燃え移り、一瞬にして業火とかす。
「セイント、何やってるんですか。」
「敵を優しい炎でこんがりしてるのー。」
三人は立ち止まり、ぼうぼうと燃える忍者を見る。
笑顔でそう言う彼女。カテラは汗を垂らしながら忍者を見ていた。
炎の中に見える忍者の影。苦しそうな声が廊下に響き渡っていた。
神堕 愁は口元をぴくつかせながら頭を抱える。
「あの、あの。忍者の人は大丈夫ですよね?」
「だいじょぶだよ? 心が浄化されるだけで。」
燃えている忍者はジタバタしながら廊下の奥へと消えていった。
それを確認した神堕 聖は、忍者がいた窓のところまでとことこ歩いて外を見る。
「ほぇー、なんかすごいことになってるね!」
カテラと神堕 愁は顔を見合わせ、
キラキラした目で外を見る彼女に近づき窓の外を見る。
「な、なにあれ?」
大きな巨人が飛行部隊と戦っている景色がそこにはあった。
ズシンズシンとピチュンピチュンいう音の正体はあれのようだが、
飛行部隊の正体は分かってもあの巨人の正体が分からない。
「創さん、大丈夫でしょうか……」
不安そうにしながらうつむく神堕 愁。
すると神堕 聖は彼女の頬をつっつき、ニコッと微笑む。
「大丈夫だといいですね! ほら、いきますよー!」
そう言って彼女は忍者が消えていった廊下の先に走っていった。
「ちょっと!? 待ってください!?」
二人は急いで彼女を追いかけていった。
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「うわぁぁぁぁぁぁぁ!? ああ!?
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!」
「たすけて、たすけてえええぇ”ぇ”ぇ”あ”」
「ここは地獄か何かですかね。」
大食堂らしき場所に出たと思えば、いろんな人が燃えていた。
彼女達は一階におり、そこから二階、三階と食事をするための机が見えた。
その上には散らばったご飯や味噌汁があり、食事中に襲われた形跡が見られる。
彼らは誰かに助けを求めるために燃えていない人たちに走って近づいている。
そして燃えてない人が燃え、助けを求めて燃えてない人に近づき……
阿鼻叫喚の悪夢の連鎖を見て神堕 愁は苦笑い。
「心を浄化するのに、こんなに時間がかかるんですねー」
そして彼女の後ろで愛想笑いをしているカテラ。
「吞気に言ってる場合じゃないですよカテラさん。
このままだと、私たちが牢屋から出ているのがバレちゃいますよ。」
「すでにバレてるよ。バレてなかったら後ろなんて燃えてないもん。」
カテラの顔から視点を変え、来た道の方を見る。
食堂の様子だけ見ていて気付かなかったが、後ろで大勢の人達が燃えていた。
食堂で燃えている人たちと違い、
その場で慌て、燃えてる人同士でわたわたしているようだ。
そのせいで炎の壁ができてしまい、もう後ろには戻れそうにない。
「追手も燃えちゃったんですね……。」
「だね。 セイントが炎で気をそらしてくれているうちに脱出してしまおう。」
「は、はい……。」
そう言って彼女らは大食堂の奥にある通路に行こうと足を進める。
するとその時、その大食堂の三階から大きな影が降ってきた。
彼女らは即座に気づき、後ろに下がったと同時に影が地面に降り立った。
食堂の床が少しだけ割れ、辺りに埃が舞い上がる。
「……神堕 愁、貴様、何が目的だ?」
大きな斧を持つ、野太い声の巨体の男。
身に着けている服はまるで歌舞伎の衣装のようであった。
彼は彼女を、鬼のような形相で睨みつける。
「その前に、自分を名乗ってくれませんかね。話はそれからです。」
目の前に現れた存在に対しビクともしなかった彼女。
その巨体に対し、冷淡な口調でそう言った。
すると巨体は大きな斧を地面に突き刺し、代わりに近くにあった机を持つ。
食器がザラザラと流れ落ち、バリンバリンと割れる音がする。
そして彼は机を通路の方に投げ、彼女らの道筋をふさいだ。
「いや、道を塞ぐ前にですよ。名乗ってください。」
そう言うと、巨体の男は神堕 愁の前に立つ。
その大きな巨体によって、天井の光が差し込まず、影ができる。
「愁ちゃん、危ないですよ!」
カテラがそう言った瞬間、
彼女に向けて愁は「こっちに来るな」と手のひらを向けた。
「それで、あなたは何者なんです? 総大将殿の仲間ですか?」
それを聞いた男は高らかに笑い、しゃがみ込んで彼女の顔を覗き込む。
「その通り、俺は総大将殿の配下の一人だ。
貴様、そいつと何かかかわりがあるんだな?」
「きーこーえーてーまーすーかっ、名乗ってくーださい。」
ぶっきらぼうにそう言う彼女。男の眉がぴくっと動く。
「っむう、俺の名は『ゴルド』だっ! これでいいか!」
すると彼女はゆっくりと手を叩きながら、
「はーいよくできました。
それで、私が後ろの子と関わりがあると言ったらどうするんです?
ぶっ殺されちゃいます? それか尋問ですか? それとも洗脳?」
鈍りまじりで男に話す。
「貴様、俺を舐めているのか……?」
さらに眉をぴくつかせ、鬼ような、ではなく、鬼の形相になった。
「いいですか、一応言っておきますけど、私たち手ぶらなんですよ?
いくら敵だと思うからって、そんな斧とか持って、卑怯とか思わないんですか?」
「あ”あ”? 卑怯?」
「ちょ、ちょっと!? それ以上は……?!」
あからさまにいらついているゴルドを見て、カテラは焦る。
「敵を倒すにしても、ここはそっち側の領地、
殺すにしても簡単、拷問して尋問するのも簡単。何をしても簡単ですよ。
まるで虫けらの様な存在である私に対してやれることはただ一つです。」
神堕 愁は少しニヤニヤしながら、
「虫けらより、はるか上の存在になるんですよ。ははは。」
その発言の後、彼女の周りに複数の水色のビジョンが展開する。
彼女はその水色のビジョンに手を突っ込み、
まず白い『キャストラ』と、どこかで見たことあるボロボロのお守りを出した。
そしてそのお守りをポケットにねじりこんで、深呼吸をしながら目をつぶった。
とっさの出来事に驚いたゴルドであったが、
すぐに敵対行動とみなし、斧を手に取り彼女に振りかざした。
その瞬間、彼女は杖を横にし斧の攻撃を防御する。
目をつぶっていたのに、なぜそれができたのか。
ゴルドは彼女の動きを見てさらに驚く。
すると、彼女の口から怒り口調で、
「……まったく、や”ってくれましたねぇ”ぇ”……」
そう言って杖を縦にし、即座に斧を受け流し後ろに下がった。
受け流した斧は地面に刺さり、塵が舞い上がる。
「え、えっと、愁、ちゃん……?」
心配そうに彼女に近づくカテラ。
神堕 愁はため息を吐き、自分の頭を抱えて前を見る。
彼女の顔は真顔であったが、そこから怒りの覇気が感じられる。
「……ほんと、やってくれましたねロゼ。」
そう言って彼女は杖を強く握りしめ、杖先をゴルドに向けた。




