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原型:みんなが心躍る世界を■■したいですが(多少)手こずっています。  作者: アイティ
五章:ナゼ タタカワナケレバナラヌノダ?
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テイクオフ フライアウェイ


 江戸のどこかで。



 泣いた赤鬼っていう話、君は知ってるかい?

 ざっくりいえば、嫌われ者の赤鬼クンがみんなと仲良くしようと模索する話だ。

 最終的には人間共とは仲良くなったんだけど、どうやってできたと思う?


「その話をしてどうなる。」


 どうなるって言われてもなぁ、ここ江戸だし、昔話でもしようかと。

 さっき君、鬼っぽいなにかをぶった切ってたからね。

 相手はなーんもしてないのに。鬼だからって理由でぶった切っちゃってさ。

 私は少し怒っているんだ。君、けっこう無慈悲なんだね、まったく。


「……」


 あはは、お前が言うなって? そんな怖い顔しないでくれます?

 今から君は、アイツの仲間を殺そうと暗躍するんだからさ。

 無慈悲でないとやってられないよ? 大丈夫かな?

 

 っておーい、無言でどっか行こうとしてんじゃないよ。

 

「……『今』から、なんだろ? 俺は作戦を実行する。じゃぁな。」


 かはっ、はいはい。こっから別行動だねっ! じゃぁね!

 


 はぁ、わざとなのか、それとも天然なのか……。

 いやぁ、素晴らしいね。これだから好きになっちゃうんだけどさ……。

 さてと、私は私でなんかやらかしましょうかねー……っと。




<>


家から走りつづけ、休憩を挟み江戸に到着、そこから巨人がいる方へと。

なんか今日、走ってばっかだな、そう思っていた彼女。

目の前にいるフェーリスも走るのが得意なのか、疲れの表情を見せない。

ご飯を食べた後に運動したらお腹がきゅぅってなる時あるけど大丈夫なのかな。

なんて思ったりもしていたけれど、彼女は今、思うよりさきに体が動いている。


「ひぃぃ!? なんで追ってくるんですか!?」


忍者の格好をした奴等が忍ばずひたすら追ってくる。

隠れる気もありゃしない。屋根の上にもいるし、後ろにも普通にいる。

クナイ持ってこっち来てるし、なんか怖い、逃げなきゃ。


「……殺しではなく、確保? なぜ手を出さない?」


フェーリスは彼らを横目で見ながらボソボソとつぶやく。

彼らは手を出してくる気配もなくただ追いかけてきているだけだ。

それどころか、追いかけてくるだけで進行方向には全く現れない。

創と話している時に、私たちを囲もうと、忍者たちを集めようとしていたはず。

瞬時に気配を感じたため、招集は容易にできていたはずだが、巨人方面が……。


「まさか、仕向けられて……?」


そうとしか考えられない。

周りにこれほどの気配が感じ取れるのに、進行方向にはまったく気配がない。

奴等は殺すつもりでもなく、確保するつもりでもなく、誘導で迫ってきている。

どこへ向かわせるのかは分からない。が、今はただそこに向かうしかない。

殺意は感じ取れないが、立ち止まればどうなるか分かったもんじゃない。


「君! まだ走れるかい!」


後ろを振り向き、創に問う。


「は、はい! どこまでかはあれですけどっ!」


フェーリスは笑顔で頷き、すぐに前を見る。

周りを見るに土や木片が不自然に地面に散らばっている。

巨人が暴れたせいで空にガレキが空に舞い上がり、降ってきているようだ。

落下物に注意し、先に進まなければいけない。彼女は再び創の方を振り向く。


「ここから先、何か降ってくるかも! 頭に気を付けて!」


そう言うと創は空を見上げ、


「フェーリスさんあれ!!」


彼女の言葉を聞いたフェーリスとっさに空を見る。

そこにあったのは巨人の周りを飛んで攻撃していた飛行アーマー。

黒い煙がエンジンのような所から噴き出ている。

そしてそのアーマーには、人が搭乗していた。

彼は彼の前に表示されている赤いモニターと見て焦っている。

恐らくエンジンが故障し、現状落下の傾向にあるからなのだろう。


「……!! あの人、さっきの!」


「さっきの!? 知り合いってことかい!?」


二人は不時着しそうな飛行アーマーを見ていると、

そこに乗っていた人物はこちらをちらっと見てアーマーを脱着。

二人が走る大きな道のはるか先で落下する。


「ええ!? あの高さから落下した?!」


「だっ、大丈夫ですかっ!?」


その人物の落下地点に土ぼこりが舞う。

無事であるかどうかは判断できないため、彼女らはその落下地点に足を急がせる。

後ろに忍者が迫ってきているが、彼らが走るスピードより速く。


「さっき知り合いって言ってたよね!? あの人は誰だい!?」


「サノンさんです!! 私の仲間ぁ……だと思います!!」


「ホントに君の仲間なのかい!?」


二人は並走しながらそう話し、落下地点に急いでいると風が吹き荒れ始めた。

彼女らは空中に舞うチリを腕で顔を覆って防御姿勢を取る。

創は腕の隙間から落下地点を見て、彼の様子を知ろうとする。


「フェーリスさん、このまま突っ走って行きましょう。」


「えぇ!? 君、仲間を見捨てるのかい!?」


「いえ、サノンさんは無事だったんです!

 それで私たちを見て、一緒に走ろうとしてるんです!」


そう言われてフェーリスは腕の隙間からそこを見始める。


「……なっ!? 対応が早すぎないか!?」


サノンはクラウチングスタートの状態であった。

今二人が走る道の進行方向通り、巨人の方を向いている。


「よし、このまま走り続けよう! 彼らからも距離を……?」


フェーリスが後ろを振り返ると、

ケモ耳の包帯少女が創とフェーリスを追うように、仰向けに浮遊してきていた。

しかも黒い刀を持って。刀の刃ではなく持ち手部分をこちらに向けている。


「なっ!? なんだ!?」


唐突に表れたその存在に対し驚く彼女。

後ろで何があったのだろうと後ろを見る創。そして彼女同様驚いた。


「い、いつのまに……!? あっ、その刀って!!」


創は少女が持っていた刀をバトンのように受け取る。

刀は重みは感じないほど非常に軽く、振り回しやすそうだ。

そう思いながら刀を見ていると、だんだん減速してきていた。

急いでフェーリスに追いつこうと刀を鞘にしまい、足を動かそうとする。


すると少女は創の背後に這い寄り、

自分の大きな右手で創を鷲掴んで浮遊する。

一瞬創は自分がどうなっているのかと焦っていたが、

瞬時に状況を理解し、安心して少女に身を任せる。

フェーリスは創のほっとした顔を見て、改めて少女を見ると、

少女は微笑みながら黒い大きな手でサムズアップをしてきていた。


「君、その子は一体……?」


「え、ええ? 仲間だと思います……??」


……創は少女に謎の安心感を抱いていた。何故かはわからない。

仲間という認識をしている理由も分からない。

自分でも不思議ではあったが、とっさにそう答えてしまった。


仲間なのか分からない人物が多いなぁ、と、フェーリスが思っていると、

少女の浮遊速度が増し、彼女の大きな手で彼女をわしづかみしてきた。

避けることもできたが、そろそろ自分の体力の限界が近づいてきていために、

ここはひとまず彼女を信じ、抵抗をせずに少女に身を任せることにした。

少女の手はとても暖かく、温泉に入ったときかのような感覚が身に染みる。

創はその感覚に浸りポーっとしたフェーリスをみて少女の顔を見る。


「……フェーリスさんに、なんかしてます?」


そう言うと少女は首を横にブンブンと振る。

もう一度フェーリスの様子を見ると、今度はほっとしたような表情を見ていた。

何もしてないのならまぁいいや。そう思った後、ある一つの不安を少女に聞く。


「……そうだ、風吹さんは無事ですか!?」


少女は軽く頷き、ニコッとする。

安心しれホッとした彼女は、もう一つ、少女に聞く。


「えっと、ここからどうするんですか……?」


そう言うと少女は口を開いたが、喋りもせず慌て始める。

少女のその素振りをみて可愛いと思った斉藤 創。

よく見たら少女の背中にサノンが乗っているのを見て驚いた。


「サノンさん!? 何やってるんですか!?」


「す、すいません! 緊急でしたので!」


サノンは少女を抱きかかえるように浮遊している少女について行っていた。

非常に焦っている様子が見受けられ、

彼のその言葉を最後に少女の背中にべたったりとくっついた。

カッコ悪いなぁ、なんて思ったりもしたが、そんな事よりである。

後ろの忍者たちは未だに後ろに迫ってきている。


「あ、あのっ! とりあえず風吹さんのところに!」


少女にそう言うと、今度は真面目な顔をしてこっくり頷く。

すると少女は浮遊速度を速め始めた。

創とフェーリスはその時にかかる負荷、いわば『G』に若干苦しむ。

そして、少女は赤い目をキラつかせ、彼女らの目の前に黒い穴を生み出す。

それが何なのかを知ろうとした瞬間、彼女らはその穴に突入した。


彼女らが入った後、穴は瞬時に消えた。

忍者たちはその様子を見て、すぐに進行方向を変えてどこかへ行ってしまった。

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