ハロウィン特別編:トリックオアトリート
なんとなーくハロウィンって意識するよね。
何でかは分からないけど。何となく。
ハロウィン。魑魅魍魎共が一斉に現世にやってくる日……
我々はその魑魅魍魎の姿を装い、彼らから身を守らなければならない……
さもなくば我々はあの世に連れ去られ、二度とこの世には戻れない……
っていうのが元のハロウィンだったような気がする。
今じゃコスプレ祭り、お菓子徴収の日になっちゃってるからね。
その文化が確立するまでいろいろあったよねぇ……何事も経緯があるもんだ。
「トリックオアトリート。」
そんなわけで、私は創にお菓子をねだられている訳だが。
しかもわざわざ魔女っぽいコスプレまでして。
<<創が死んで8日後 現世時間2019年10月31日 早朝>>
「……ハハハ、お菓子好きかい?」
「うん、大好き。お菓子よこせ。」
でた。魔法の言葉。トリックオアトリート。
これを唱えればお菓子を必ず一個以上徴収できる。
相手がお菓子を持っていなかった場合、
なんらかのいたずらを相手に仕掛けることができるヤベー言葉。
だが私の手元にお菓子はないんだよね。GWEしかないけど。
いやまぁ、GWEからお菓子を出せばいいんだけどさ。
バレンタインとかもそうだけど手作りして相手に渡したいんだよね。
「さっきからそればっかだな……
お菓子が欲しいんなら、自分のGWEで取りだしゃいいのに。」
そう言うと創は少しむすーっとした顔をして、
GWEを起動し、画面を触ってある物をその場で具現化した。
「……わぁ、鎌形のお菓子なのかい? それ。」
「鎌形のお菓子って何ですかね……いや普通に鎌なんですけども。」
普通そこは杖なのでは? 魔女なのに死神ってか?
ていうか創のGWE、
プロトタイプだからか知らないけど武器出せないんじゃなかったけ?
え、まさかの道具扱い? 命を刈り取る道具であって武器ではないと?
「んで、その鎌で何するつもりなんですかね。」
「お菓子くれなきゃいたずらするぞ。」
創のいたずらのレベルどうなってんですかね。
顔がガチなんですけど。鎌持ってすっごい様になってんですけど。
ま、鎌で首かっ斬られようが、くっつければ治りますし、
ここはお菓子をあげずに創がどうするすかを観察しま______
気が付くと、私は空中を舞っていましたぁ。
景色がグワングワン、気持ちが悪い。
そしてその時、創の顔が見えましたぁ……
目が殺気だってますねぇ、怖い怖い。鎌はもう振りかぶらてれますねぇ……
うん、首チョンパされてんね。あー……
「へぶっ……」
「お菓子をよこせ。」
怖いんですけどこの子。私の頭足で踏んでますけど。
お菓子の欲しさあまりマジな死神になってませんかこの子。
あ、体動く。ナニコレ気持ち悪い。どうなってんの私の体。
確実に私の体バケモンになってるよね。いやバケモンなんだけどさ。
「とりあえず、頭を体にくっつけてくれませんかね。
お菓子捧げるどころか命を捧げることになっちゃうので。」
そう言うと創は優しい笑顔で私の頭を持ち上げ、身体に勢いよくドッキング。
そして一言「トリックオアトリート。」
……うーん。まぁいいや。こういうのは慣れてるし。
とまぁ、私はGWEからたくさんお菓子を出現させ、創に渡しました。
すると創は、それはそれはとても美味しそうにお菓子を食べ始めました。
鎌は地面に放って、私を殺そうとしたという事実は過去に消えて。
「……ハロウィンの時の君はいつもこうなのかい?」
「? そうですけど?」
きゃぁ人殺し。
さすがに鎌ではないけど何かでいたずらと称して殺そうとしてるよね。
いつもこうだったら……うん、誰か止めようとしてくれる子はいないのかい?
まて、まさかとは思うがそのノリ……
「……君、まさかとは思うけどさ、友達とやってるわけではないよね?」
「やっていますねぇ、美紀とか淳くんと一緒に。」
「お菓子くれなかったら人を襲うの?」
「いたずらの加減は理解してますよ?
今回は別に首とんでも大丈夫だからやっただけので。」
首とんでも大丈夫って……まぁそうではあるんだけどさ。
やられる側を考えてほしいもんだ。普通に怖いんだけど。
ま、加減を理解してんならそれでいいんだけどさ。
「はぁ……一応聞いておくが、その友達はどういう人物なんだ?」
「ん? 美紀ちゃんは普通に可愛い女の子で、
淳くんは別のクラスの子で、少し暗い子だけどいい子だよ。」
「へぇ、可愛い女の子。私と比べてどっちが上?」
「ロゼですね。こっちはまだまともですし。」
「即答ですか。てかこっちってなんだ。美紀はまともじゃねぇのか。」
ま、確かに私の方が可愛いしまともだもんで事実ではあるけども。
美紀と淳くんか……憶えておこう。
数百年後には絶対こっち側に来るだろうからね。
「さてと、今日は何を作りましょうか創。
ハロウィンっぽいものでも作ります? パンプキン?」
「にゃ、今日はお休みです。おやすみー。」
そう言って創は布団に向かっていきましたぁー……
何なんだ一体。人の首かっ切ってお菓子貰って布団に行くって……
……まぁいいや、今日は休み! 一週間ずっといろいろ作ってましたし。
そんなわけで、私は首を斬られた後、ゆったりとした休日を過ごしたのであった。
はっぴーはろうぃん。
私はお菓子をつまみながら一夜を過ごします。もぐもぐ。




