オハヨウゴザイマシタ
zzz……
ピンポンパーンポーン♪
えー異端世界秩序全メンバーに告ぎます。
これより、我らは総大将殿なるものに完勝する為、
彼らが拠点として占拠してしまうであろう場所、
アロディルデ王国から南下の『江戸』を防衛することになりましたー
東西北のチート武器を回収し、敵の攻撃に備えないといけません。
……ちなみに、この先の未来がカテラには全く見えないらしいです。
要は輝かしい未来が待っているのかお先真っ暗なのか分からないってことだね。
でもま、未来を作るのは私らだもんで、せめて輝かしいものにしようや。
ということで、先行して早朝から創と愁とで江戸を偵察してくれています。
偵察とはいっても、ただただ二人で楽しく江戸観光をしてるだけなんだけどね。
その後は……楽しいところを守ろうと、二人で必死に貢献してくれるはず。
さて、チームごとの役割を言うのでよーく聞いておくように。
A、Bチームは引き続き各地にあるチート武器回収、
Cチームは総大将殿の世界の偵察、Dチームは例のチート主人公の捜索。
Eチームは『神の領域』の探索、Fチー…<<ゴッ!>>
……ちょ!? は!? ヒビキ!? どうやって入って<ブツン>
……
Fチームは愁様の護衛。Gチームは江戸にて防衛準備を。
江戸には既に総大将殿の手駒が潜んでいます。お察しください。
以上、迅速に行動を。
「……ヒビキさん、なにやってんです?」
「知らない間に愁様を危険にさらそうとしてるから、ブチ切れてんでしょ。」
「創と愁ちゃん、江戸に行ってるって言ってましたです。」
「輝かしい未来のために、やりたい放題ってか。
ていうかヒビキ、愁様だけで創の事スルーしてるんですけど。
てかもう一人の私に何があったんだ。明らかになんかやられてたけど。」
同じベットで全裸で寝ていた彼女ら。
寝間着を着ていたのだろうか。ベットの下に寝巻が落ちている。
何があったとか、そう言うのは触れてはいけない気がする。
起きた直後に流れたもう一人のロゼ(とヒビキ)のソレを聞いて喋った後、
神堕 聖とロゼは寝ぼけながら顔を見合わせ、ロゼは無言で操縦室のほうを指さし、
聖はそれ見てこっくりと頷いた。
「うん、行こうか。」
二人はベットから起き上がり、クローゼットからいつもの服を取り出し着替える。
そして、神堕 聖は茶を沸かし、ロゼは髪をツインテールに結ぶ。
沸かした茶を二つのカップに注ぎ、彼女らはお茶を飲みほしホッとした後
部屋のドアをけ破り、操縦室にダッシュで向かい始めた。
「ヒビキィ!! 加勢するぞぉぉ!!」
「はははは! いいね、やっちゃえー!」
ロゼは謎にテンション高く、聖はやけに楽しそうにしていた。
ロゼはパラメータビジョンから『ドミちゃん』を取り出し、構えながら駆け抜ける。
神堕 聖は手から禍々しい青い炎を出しつつ、ロゼについて行く。
そうしていると、廊下の角から焦った顔をしたネオが走ってきた。
「……! ロゼ! 神堕 聖!? な、なんだソレ!?」
「どぉぉけぇぇぇぇい!!!」
「へ!? ま、まぁそうだな! 確かに急がねぇと!!」
ネオは一旦、彼女らが進む道を作るがために壁にへばりつく。
そして彼女らが走り抜けた後、ネオはそのまま彼女らについて行った。
「なぁロゼ! なんで創らが江戸に行ってんだ!?」
「江戸に行く理由は知ってるけど創が行く理由は知らん!
それだけでなんでこうなってるのかは一切分かんねぇ!」
「だよな! さっぱり分からん!」
「分からないことだらけですね!」
走りながらそんな会話をしていると操縦室がある廊下まで来る。
徐々に操縦室に近づくにつれ、ロゼとネオはある違和感を感じる。
あれ? ヒビキ一人で操縦室入れたっけ。
確かタッチパネルで一部の人物しか入れないようになっていたはず。
あれだろうか。あの放送に遺憾を感じた者がヒビキに協力したのだろうか。
そう思いながら操縦室の前にたどり着くと……
「っ……!?」
操縦室の扉は、拳で強引にこじ開けらていた。
めちゃくちゃに凹んでいる扉だった物に、一発の拳の跡が付いていた。
そして、目の前には____
「……びっくりしたよヒビキ。まさか君は_____」
床には血が広がっていた。
もう一人のロゼは額に穴開いており、無残にも顔を踏みつけられている。
彼女は制服と顔を返り血で汚し、ハンドガンを手に持ってた。
ネオは真っ青になって、神堕 聖は凹んだような表情で。
そして、操縦室の前にいる彼女らに気づくと、ゆっくりとこちらに振り向く。
「……」
彼女は真顔であったが、怒りの覇気を感じられた。
ロゼは顔をしかめ、彼女に一歩ずつ歩み寄る。
「私なら普通に生け捕りにするだけで殺しはしないんだけどなぁ。
ソイツであったからまだマシ……いや、マシではないんだけどさ。」
「ロゼぇ、あんまり刺激しない方がいいですよ~?
ヒビキちゃん、ものすっごい怒っちゃっているです。」
「あいにくこっちも怒ってんだよ。容易に命を奪おうとするこいつにな。」
「い、いやお前が持ってるソレ簡単に命奪える奴だからな!?」
「うるせぇ、ネオ! 命なんぞ奪ってたまるかっ!
私が奪うのは心だけだからな! 憶えておけ!」
振り返り、『ドミちゃん』振り回しながら、そうネオに言葉をかけると、
彼女はヒビキから1歩離れたところまで来る。
「んで、なんで殺した。勝手に江戸に愁様を連れて行こうとしたからか?
それとも、コイツをわざわざ殺しておかないと、世界でも終わるっていうのか?」
そう言うと、ヒビキは腕を曲げ、銃口をロゼに向けた。
「おいおい、まさか私も殺すつもりなのか?
残念ながら、まじでコイツの仲間でも何でもないぞ?
というか、私と同じ姿の奴は大抵仲間じゃねぇ。もはや敵と言っていい。」
しかめながらも口元をニヤつかせる彼女。
すると、ヒビキは銃口をあらぬ方向に向け、その方向に彼女は視線を向けた。
後ろにいる神堕 聖やネオに向けている訳ではない。
ロゼはその銃口の先にいる人物を見ようと、視線を彼女からそらす。
すると、彼女の体内から黒い靄が大量に滲み出し、
一瞬にして彼女ともう一人のロゼを包み込んだ直後、すぐに靄は分散していった。
「……アイツ、逃げやがった。 ……ん?」
ヒビキともう一人のロゼの姿はそこにはもうなかった。
残ったのは床に蔓延した血だまりと、
床に落ちていた、水色の線を帯びた白色の分厚い本であった。
ロゼはその本をめくり、ペラペラとページをめくる。
……
「……過去と未来、か。」
本をパタンと閉じ、ため息をついてだるそうな表情をする。
そして後ろを振り返り、ネオと神堕 聖の元に歩み寄る。
彼女らは一瞬の出来事にあわあわしていたが、ロゼが来て少し落ち着いた。
「ロゼ……? なんだ、その本は……」
「これか? この世界の過去が記載されてる本。」
「世界の過去……?」
「とりあえずモニター室行くぞ。創の居場所を探す。」
そう言いながら本を掲げ、
ロゼは操縦室の隣の部屋、モニター室に歩いていく。
神堕 聖もネオも、彼女に合わせてトコトコついて行った。
「それで、ヒビキちゃんは……」
神堕 聖は少ししょぼんとした表情で彼女に問いかける。
「さぁ? アイツの事だから愁様の護衛でもしようとしてんじゃない?」
そう答えると、彼女は腕を組んで考え事を始めたのか唸り始める。
すると、今度はネオがロゼに質問を投げかけてきた。
「なぁロゼ、さっきの黒い靄、アレ、マインドだよな!?」
「んにゃ、マインド本人じゃないよ。
私の背中に座ったときにヒビキに刷り込ませた心ちゃんの一部だ。」
「ココロチャン!?」
驚くネオの表情を見て微笑んだ彼女は、
モニター室の椅子に座り、キーボードをカタカタと触り始めた。
「有能っぽい子だから、心ちゃんで心の中で協力交渉したら、
承諾はしてくれたんだけどね。まさか心をだませる奴だなんてさ。
いま心ちゃんにヒビキの心ちゃんを確認してもらってるけど、
……応答ないっぽいんだよなぁ。はーあ、まったくわっかんね!!」
そう言って入力を終え、エンターキーを押す。
すると、目の前のモニターに画面が映る。
その様子を見るに、創は和風の民家にいるようだ。
朝方だからか敷布団で眠っている。相変わらず寝相が悪い。
隣で白頭巾をかぶったおばあさんが料理を作っているのが見える。
シンプルな和風の朝食、とても美味しそうだ。
「……あれ? アイツどこ行った?」
……その画面には神堕 愁の姿はなかった。
……ん……え……? あぇ……?




