オヤスミナサイ
彼女らが食堂に入り20分後。
ぞくぞくと異端世界秩序のメンバー達が食堂に入ってきた。
知らない人もいたり、通路で出会ったあの人もいたりした。
「……なんだか賑やかになってきましたね。」
「まぁ、みんなで料理を食べていれば、賑やかにもなりますよ。」
辺りを見回しながら食事をしていると,控え室の扉から、
よだれを垂らしながら眠っているスペルを背後に抱えたカテラが入ってきた。
彼女はオムライスを食べている愁の方を向いて、微笑む。
「あっ、カテラさん。ここに座りますか?」
真っ赤なカレーを食べ終わり、
一息ついていた助手が彼女に向かってそう言うと、カテラはこっくりと頷いた。
その様子を見た助手はカレーの食器を持ち、
厨房の返却口に置き、控え室の扉を開け、創たちに手を振って笑顔で出ていった。
「あの……ヒビキさんは。」
愁が不安そうな顔をしてカテラに尋ねると、
彼女は創の隣の席にスペルを壁にもたれかかせ、愁の隣に座った。
「ダブルの尋問が終わり次第、食堂に来るみたいです。
それで、時間がかかるから先に連れて行ってあげてと言われまして。」
「だ、ダブル……? 双さんの事ですか……?」
彼女の異常なネーミングセンスに、創はオムライスを食べる手が止まってしまう。
すると、彼女たちの目の前にロゼがそっと現れ、
スペルの目の前にマグロの切り身がたくさん乗った海鮮丼、
カテラの目の前に肉じゃが定食を置いて礼をし、すぐさまどこかへ行ってしまった。
そして、カテラは肉じゃがをもぐもぐと食べ始めた。
「カテラさん。ヒビキさんの様子はどうでしたか?」
「……笑顔が怖かったです。」
「なるほど、笑顔と。やはりそのレベルまで行ってましたか。」
「え、どういう事です?」
「ヒビキさんが笑顔になる時は大抵、真剣に物事に取り組んでいる時なんですよ。」
「尋問に真剣に取り組むってなんですか……?」
「それほど知りたいことがあるってことでしょう。
というか創さん、こぼしてますよ。ほら、そこの隅に。」
そう指摘され、創は慌てて近くの紙ナプキンを手に取り、
こぼしたところを拭きとり、ナプキンを丸めて机に置いた。
「ええっと……ヒビキさんの知りたいことって、何なんですかね……?」
「さぁ? 私が考えもつかない事を知ろうとしてるでしょう。」
そう言って、愁はオムライスを一口食べる。
ヒビキは愁の考えつかない事を知ろうとしている……
神堕 双から聞けるものとしてはいったいどんな情報があるのだろうか。
GWEの事? 神堕について? それともまさかのゾンビについて?
……ゾンビ。 そういえばあそこにいた人達は無事だろうか。
ゼロスが神堕 双の世界へ救助に行ったと聞いたが、大丈夫なのだろうか。
<<<グギュルルルル……>>>
「はっ!? 寝て……わあ!? ここど……海鮮どぅん!?」
大きなお腹の音と主にスペルが目を覚ます。
ここはどこだと辺りを見回したと思えば、瞬時に目の前の海鮮丼の方に目が行った。
さっきまで垂れていたよだれが、より一層増して滝のようになってしまっている。
まぁ、実際おいしそうだから、よだれ垂らしちゃうよね。
「あの……スペルさーん?」
「あ、創さん。それに愁さんも。
いやぁ、すいませんね。今までずっと寝ちゃってました。
それでなんですが、なんで私はここに? 夜間やってましたっけここ?」
「それがですね……」
愁は、助手の言った『あの説明』を簡略化し、
分かりやすくした説明を、スペルと、ついでに創にも伝えた。
……
「なるほどなるほど。さっぱり分からん。」
カテラは腕を組み、目をつぶって頷いた後、
何事もなかったかのように目の前の海鮮丼を食べ始めた。
「……うん? どういうことです?」
創は愁の説明で内容はなんとなくは分かった。
働いてたとことイカが繋がってて、いつでもイカに出入りできるんですね。
うん、その、なんで他の世界の人が入ってくる事が保証ができないんですかね。
「……まぁ、私でも分からないんですよね。
ゼロって、何を考えているんだろうね。まったく。」
ぜ、ゼロ? ん? あっ、ロゼさんの事ですか。
「カテラさんでも、ロゼの思考を読み解けないと……」
愁は苦い顔をしながら、
手に持っていたスプーンで皿についていた米粒をかき集め、口に入れる。
同様に、創も米粒をスプーンでかき集め、口に入れた。
そして、彼女らは夕食を食べ終わった。
その後カテラとスペルと少しだけ雑談をしたりして、
食べ終わった皿を返却口に置き、カテラ達と別れて食堂を後にした。
また、厨房にいた彼女も、他の誰かに仕事を任せて食堂を後にした。
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彼女達はヒビキの様子を見るだけ見にきた。
愁が106号室をノックし、双やヒビキの事を訊ねると、
「すいません愁様、明日の朝まで尋問をさせてください。」
その言葉を聞いた愁は、「分かりました」と言って、104号室に戻った。
異端世界秩序 <104号室>
「ふぅ、疲れましたね。いろいろと。」
「疲れましたね……」
彼女達は部屋に入った途端、とりあえずベットで横になった。
ゾンビ騒動や考察時間に疲労が溜まっていたせいか、
神堕 愁は、不意にあくびを出したり目をこすったり、眠気が襲ってきていた。
「もう十時なんですね……早いです。」
「……時間が流れるのは早いものです。
すいませんが創さん、私は眠気に負けそうなので先に寝ますね……」
「いや、せめて着替えてくださいよ愁ちゃん。
そこのクローゼットに寝巻がありますから、それ着て寝てください……」
創も何故か異様に眠気が襲ってきていた。
さっきまで寝ていたのに、あの夢を見た後で変に目がぱっちり開いていたのに。
なんでこんなに眠たいのだろう、そう思って愁を見てみていると、
彼女は眠そうにしながらも立ち上がり、服を脱いで下着状態になった。
創は下着姿の彼女を見て、若干興奮し眠気が少し覚める
そして彼女はクローゼットを開け、寝巻を取ってそれを羽織る。
羽織っただけなので、なかの下着やらが丸見えだった。
愁はそんなことを気にせずに、その状態からベットにダイブした。
そのまま彼女はぐっすりと、かわいい寝顔をしながら眠りはじめた。
「私も、着替えて寝ましょうかね……」
と言いつつ、急激に襲ってきた眠気に負けて、
彼女は制服のまま、一瞬にして眠ってしまった。
20分後、彼女たちのいる部屋のドアが開き、
ロゼが真顔で、謎の黒い忍者集団を引き連れて中に入ってきた。
「熟睡確認、ヨシ。」
変なポーズをして彼女たちの様子をうかがった。
そのポーズは何かの合図だったのか、
忍者たちはそのポーズを見た途端、さっそうと行動を始めた。
まず、愁にクローゼットに入れた服に着替えさせ、
創のスカートの右ポケットに何やら古そうな通貨を入れ、
左ポケットに、彼女が持っていた『あの紙』を入れて、
彼女たちを部屋から連れ出して行ってしまった。
ロゼは真顔でベットを整え、寝巻きをクローゼットに直し、
顔色一つ変えず、その部屋から出て、ガチャンと扉を閉めていった。




