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原型:みんなが心躍る世界を■■したいですが(多少)手こずっています。  作者: アイティ
四章:異世界と私たちがいる世界はだいたい同じ(笑)
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普通、そんな簡単に脱力しません

……ルール、秩序は乱れた。


彼女の心、その奥にある『彼女』が目覚める。

一方そのころ、理科室とは真逆の方にいる彼女ら。


ヴェァァァァ……


タッタッタッタ……


猫(少女)を抱え全力疾走。

七不思議のチート武器(道具じゃない?)の一つ、

『帰宅部専用超動運動靴』で廊下を駆け抜け、ひたすらに走り続けている。

少女が抱える猫が大事そうに持っているのは魔法が使え『た』杖二本。

一本は、杖の支柱にガムテープがめちゃくちゃに巻き付けられており、

一本は、先っぽのガラス細工が割れ、とがっていてかなり危ない。


「魔法が使えるという特性以外に、軽いという特性があるんだよ。ははは……」


スペルは遠い目をしながら走りながら追いかけてきているゾンビたちを見る。

緑や青、赤い者や黒いゾンビがいてやけにカラフルだった。

しかも武器を持っている。ほっそい棒とか謎の野菜とか。

そんなものよりもあんたらの爪とか牙の方が強いのに、はは。

そんな事を思いながら少女の顔を見る。


「……お、怒こってます……?」


疲れの表情も何も感じない、さっきからずっと真顔のまま。

昇降口で『魔法使いのシンデレラ』を割って、バリケードも壊れて、

さらには、自分の持っていた杖をゾンビに折られたというのに、真顔。

最後にかけられた言葉は「行きますよ。」だけで、何もしゃべらない。

おまけに放った言葉の返事すら返してこない。

そんな顔色一つ変えず無言で走っている少女を見ていると、

猫耳がしょげ、とても寂しそうな顔になっていく猫のスペルであった。


ズゥゥゥゥン……


また地響き。いったい何が起こっているのか全く分からない。

さっき起きたあの大きな地響きから一定のペースで揺れている。


「……」


少女は急に教室へと方向転換し、ドアを蹴り飛して中に入る。

蹴り飛ばしたドアは外の窓にぶつかり、大きな音を立ててガラスが割れる。

スペルは急に少女が起こしたその行動に驚き、耳を立て混乱する。


(……足で、ドアを、窓に……

 ハァ!? 足で!? ドアを!? 窓まで!?!?)


そんな中、少女は割れた窓の付近に歩み寄り、

スペルを床に降してハンドガンを懐から取り出した。

外を覗き、すぐさま空にある『ソレ』に向けて引き金を引く。


「ちょ……!? なんで外に……!?」


撃った理由は分からない、なんで彼女がここに来たのかもわからない。だが、

一体どこに撃ったのか、それは混乱していたスペルでも一瞬で分かった。


「え……なんですアレ……?」


ゾンビが教室に入ってくる寸前、

『ソレ』から伸びてきた触手っぽいなにかに吸い込まれた。


<>


イカっぽい宇宙船こと『異端世界秩序』にて。


彼女たちは、急にイカから伸びてきた触手に吸い込まれ、

『syokusyu01』と書かれた部屋に排出されていた。


「う、うう……生臭いよぉ……」


女の子座りをしながら、ヌメヌメしている神堕 聖が半泣きでそう言う。

触手は変にヌメッとしてた。臭いも海鮮系のソレでだった。

なんかもう、すんごい。創らも同様にヌメヌメしていた。


「い、いやロゼさん、なんであの触手ヌメッてしてるんですか……」


「えー? そりゃイカだから、ヌメっとしてないと。」


「せめてお酢をぶっかけてから触手で回収してくださいよロゼ……」


「お酢ぶっかけたらなんでもええんか我が主人。」


ヌメェッとした床で寝転びながらそんな会話をする彼女たち。

ゾンビへの恐怖、なんでこうなったかの理由を考える思考力、

立ち上がる気力とか感情とか、ヌメりと臭さでいろいろ消しとんでいた。

しかも床は地味に暖かく、コタツ理論で完全に脱力状態なのである。


そんな中、神堕 双は彼女らの様子を見ながら立ち尽くしていた。

視線に気づいた創は顔を上げて彼女の方を見る。


(……? どうしたんでしょう……?)


どこか切なそうな、寂しそうな、やるせない表情が伺える。

まぁ、ヌメヌメとか臭いとかが嫌なんでしょうね……

創はそう思いながら再び床に顔をつけ、床の温もりに浸ろうとしたその時、


「お、お前らなぁ……」


部屋のドアがスライドし、ネオがしかめっ面をしながら入ってきた。


「あ、ねぇちゃん、にゃーっす。」


ロゼは寝転び、溶けた顔をネオに向けながら手を振る。


「にゃーっすじゃねぇよ! なんで神堕以外のメンツ溶けてんだ!」


「溶けてると言うか、ああ、まぁ溶けてますか。」


「いやぁ……なんか変に心地よくって……」


うつ伏せになりながら、2人はそう答える。


「うーん……まぁいいんだけどさ……

 とりあえず、出てもらっていいかい?」


そういいながら、だらけている彼女らを起こし、

強引に部屋の外へと連れ出していった。

 

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