普通、最終兵器みたいなのは最後の方に出すべき。
____心の中に、『生きたい』という感情がある限り、
食料を求め、助けを求め、自分の求めるものを探すために彼らは動き続ける。
『生きたい』という感情にまみれた者の末路が彼らだ。
苦しくても、つらくても、自分の命を絶やさないように行動する。
それが故、『生きたい』と思わなくなったその時、彼らは命を落とすだろう。
それが故、思いは自分の未来を左右するハズだ。
だからこそ、私たちは自分のやりたいことに思いを寄せるべきだ。
彼らは私たちの成れの果てであるからこそ、
煩悩に満ち溢れ、自由に心を変えられる私たちであるからこそ、
少しでも『生きたい』と思える、その動機を作り出すために____
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「さて、特にどうということなくテレポーターにたどり着いたわけだが。」
「あとは、ヒビキさんとスペルさんを待つだけですね。」
彼女らがいるのは理科室。
教壇の上に近未来的なテレポーターらしき装置があるが、
ひとまず彼女らは理科室の丸椅子に座って、ひと息ついていた。
聖と双は近くにあった薬品棚を見てワイワイとしながら座っている。
(黒幕の妹とアホの姉が、危険な薬品を見て笑ってるよ”……)
目をピクピクさせながら、ロゼはその様子を見ていた。
「あの、ロゼさん、普通に思ったんですけど、
スペルさんの魔法だったらいろいろできると思うんですけど……」
その疑問に、顔を創に向け、不思議にしながら接する。
「あー、バリケード補修も簡単にできるんじゃないかって?
確かに、『魔法使いのシンデレラ』を持ってたらできなくもないね。」
「では、何故こんなにも時間がかかっているのでしょうか……?」
3人は首をかしげた。
「というか、そもそもアレを手にしたスペルは最強のはずなんだよなぁ……
結界とか作り出せるんであれば、もう、この状況すら解決するはず……え?」
急に椅子から立ち上がり、彼女はあらぬ方向を向いてきょとんとする。
「どうしたんですか……?」
「どうしたって? あっ、これ勝ったな。って思った。」
ニコニコとした笑顔になり、彼女は理科室の窓に近づいていった。
窓に手を添え、外を見ながら創たちに窓の付近に来るように手を仰ぐ。
創は愁と顔を合わせ、頷き、窓の近くに寄る。
その際、どこかでズゥーンという鈍い音が聞こえてきた。
音は少しずつ大きくなっている。なんの音なのだろう、
愁に聞こうと思ったら、気付けば彼女は窓の付近に立って外を見ていた。
「あれは……」
不安になりながらも、創は愁に近づいて音について訊こうとする。
「愁ちゃん、なんか、音が……」
そう話しかけようとした時、
なり続けている音が地響きになって、創の不安を煽る。
「君のその疑問は外を見れば解決するだろう。ほら、外見てごらん?」
やけに楽しそうなロゼにそう言われ、恐る恐る窓の外を見てみる。
ゾンビの群れが辺りを徘徊しているが、それ以外は何も____
ズゥ”ゥ”ゥ”ゥ”ン”!!!!
地響きがさらに大きくなり、足が震えて後ろに転びそうになったが、
「創さん!」
愁が手を引っ張ってくれたおかげで、何とか転ばずには済んだ。
その横にいたロゼは揺れでそのまま後ろに倒れてしまったようだが。
「あ、すいません、てっきりあなたなら自力で何とかなると思ってました。」
「絶対思ってねぇよなぁ? 顔で分かるわ。」
転んでいるキレそうなロゼを見ていた彼女は、
ロゼの言う顔を見ようと愁を見ようとする、が。
その顔を見る前に、ある光景が目に入った。
「な、なんですかアレ……?」
倒れそうな姿勢から見えた、造り物の青い空。
とある物を除けばとてもきれいで、いつも見ているような空と変わらない。
違和感もない、何気ない景色に混じったソレは、意味が分からなかった。
ロゼの言動から、アレはロゼの物なんだろうとは思ったものの、訳が分からない。
そう思いながら、自分の姿勢を戻し、両手で窓に触れながらソレを見る。
「い、イカ……?」
なんか、空の裂け目からイカっぽい宇宙船っぽい何かが飛び出てた。
かなりでかいし、すごい白い。そしてめっちゃテカテカしてる。
「いやぁ、どうよアレ。地上も走れる、海も潜れるし空も飛べる。
あと、驚きの衝撃的事実をお伝えしよう。君らはアレに乗ったことがある。」
「すいませんロゼ。なんとなく言いたいことは分かったんですけど、
こんなところで出しちゃっていいんですか?
ああいうのって惑星脱出とかそう言う規模のやつですよね、アレ。」
愁がイカ宇宙船を指差しそう言う。
「知らん、私が出したわけじゃないんだ。詳しいことは私2号に聞いてくれ。」
そう言いながらロゼは薬品棚の方を見る。
彼女らも同じくアレを見ていた。とても楽しそうに。
創は再びイカっぽい何かを見つめ、呆然とそれを見る。
「あの、ロゼさん、なんなんですかアレ……」
「ん? ああ、コテージ地下の『異端世界秩序本部』そのもの。」
それを聞いて創はキョトンとしながらもう一度ソレを見る。
なんというか、なんだろうアレ。
ロゼが作る物はどれも訳が分からない物ばかり、改めてそう思った。
生き物系の乗り物って結構好きなんです。




