踏み台にされる世界:{刑事とアンドロイド}
刺激的な日々を求めるのなら、自分の世界を作ることをお勧めします。
ようはクリエイターになろうって事です。
創作者になってしまえば、その世界でどんなことをしてもいいのですから。
ただし、その世界に自分に似せた登場人物を出さないように。
仮にそうすれば生きているこの世界が嫌になってしまいます。
自分の世界であればこんな理不尽にはとらわれない。
自分の世界であればこんなことだって普通にできてしまう。
そんなことを思い始めたらキリがありません。
最終的には……まぁ、やっちゃうんでしょうね。いろいろ。
ゾンビ騒動そっちのけ、
異端世界秩序に設備された大浴場に放り込まれてお風呂中の彼女ら。
彼女らがヌメヌメを落としている間、どっかの世界の様子でもどうぞ。
俺の名は『颯羅馬 桂』。
この大都会、『メトロクリミナル』で刑事をやっている。
「……ここが奴らのアジトか。」
俺は今、この都市の闇そのものとも言える、
『パラポリス』集団のアジトに潜入しようとしていた。
これまで奴等が犯してきた罪は数知れず。俺ですら把握漏れするぐらいだ。
そんな奴等のアジトは都市外れの廃墟区域にある市民会館。
いかにもって感じの場所だな、まったく。
「最速でボスを捕まえ、彼らに脅しをかけてやりましょう。」
この新人刑事(?)の名は■◾️■。
普通の少女っぽい見た目をしているが、なんとこいつはアンドロイド。
手から銃が出てくるわ、空も飛べるわ撃たれても死なん。
あと言えるとすれば、コイツは最高のパートナーってことぐらいだな。
「よし、行こうか。」
俺は拳銃を構えつつ、アジトの入り口をゆっくりと開ける。
「……な、なんだ……?」
入り口を開けた先にあったのは大きなホールだったのだが……
一体何があった。『パラポリス』の連中がそこら中に倒れてやがる。
「連中のほとんどが気絶しているみたいですね。」
「気絶だと?」
眠らされているわけではないと?
ホールの状況から見るに、特に荒くなっている様子はない。
争いがあったわけでもなく、こいつらは気絶しているだって?
「……■■■、警戒を怠るな。」
……俺の手に負えないな、これは。
こんな訳の分からなん状況を作り出すのはおかしい。
憶測だが、コイツと同じ類の奴がこのアジトの中にいるかもしれない。
「……桂さん、廊下の奥のエレベーターが下に行っています。」
「連中が下に逃げたのか、
それとも、この状況を作った奴が下に向かったのか……?」
どの道、下に何かあると言うのは確実だな。
廃墟区域に電気なんて通っちゃいねぇ。本拠地は地下ってか。
「どうする■■■、下に向かうか? それとも応援でも呼ぶか?」
そう言ったらコイツは自信に満ち溢れた顔で、
下に向かうハンドサインをしやがった。はっ、口で言えよまったく。
「んじゃ、エレベーターを待ってる間、コイツらを柱に縛るぞ。」
<>
エレベーターのボタンを押し、ドアを開かせる。
俺たちは中に入り、動作盤のボタンを押そうと指を伸ばす。
「待って。このボタンにスタンガンのような細工がされています。」
そう言って、俺の手を下ろして■■■がボタンを押した。
エレベーターが閉まり、下の階へと降り始める。
「いやぁ、助かったよ■■■、お前がいなきゃ痺れてたとこだ。」
「それはそうでしょう、なんと言っても私はアンドロイドですから。」
アンドロイドってのは感情豊かなもんだよな。普通にドヤ顔してやがる。
「そんなアンドロイドのお前に聞く。
さっきのホールの状況、どう思った?」
「まるで覇気でも使ったかのようです。
あの状況を見る限り、逃げる暇も無く瞬間的に全員が気絶していました。
科学的にはあり得ませんし、それをできる技術を私は知りません。
正直、どうやってやっているのかとワクワクしている自分がいます。」
楽しそうだな、ほんと。
でもま、あり得ないことに関しちゃこいつは興味津々だから仕方がない。
よくアニメとか映画の現実じゃあり得ない状況を
科学的に実証しようとしてるしな。しかもかなり大掛かりに。
いっとき宇宙船を作り出そうとてた時はどうしようかと思ったが……
「覇気を科学的に証明するのは、結構難しいんじゃねぇのか?」
「難しいからこそ、楽しいのです。
あなたも、あり得ないことは楽しいでしょう?」
ああ、楽しいさ。
特にお前のアンドロイドとしてのあり得なさを見るのがな。
「そうだな、不老不死の薬とかあり得ないが欲しいもんだ。
あり得ないからこそ楽しいし、平凡な日常をぶっ壊してくれるからな。」
「平凡な日常なんて言葉は私の辞書にありませんよ桂さん。
様々な事象を知っている私なんかから言わせて貰えば、
あなたが生きている人生、この世界に平凡なんてものはありません。」
「ん? どう言う意味だ?」
そう訊こうとした途端、エレベーターが地下の階に到着した。
エレベーターのドアが開くと、目の前に紫色の髪をした少女が立っていた。
……あ? なんで少女が?
……そう思った途端、俺は急に目の前がまっくらになった。
奴はエレベーターに乗り込んで手を伸ばし、指を俺のでこに向けていた。
気づけば、このザマだ。俺は一体どうなったんだ?
<>
にゃーほんと、刺激を求めるためになんちゅう世界作ってんだ。
私が止めなかったら何人の奴らが死ぬ予定だったんだろうなぁ?
「……また、世界を救ったつもりなんですね。」
「つもりってなんだい? 確かに完全には救っちゃいないが。
このアジトの奥ににいたリーダーぶっ飛ばしただけだからね。」
「こんな事ばかりやって、楽しいですか?」
楽しくはあるな。人のおぞましい心が見えるし、
そいつが作った悲惨な運命から解放することもできる。
ていうか、解放するのが主に私の役目だな、うん。
「逆に聞くが、君は主人公と一緒にいるのは楽しいかい?」
「そうですね、とても楽しいですよ。
私達が知り得ない景色をたくさん見せてくれていますし。」
私達……ねぇ。
他の奴同士で共有してるから言える言葉だねぇ、
どうせ一緒にいるのに飽きたら別の体に転生転移するんだろうけど。
さーて、こいつのGWEはーっと。
「GWEなら、私が持っています。
早くこれを持って、この世界から消えてください。」
うぉい、こいつ投げてきやがった。
「はぁ、まったく。GWEは確かに受け取った。
ちょっと一瞬寄るとこ行ったらすぐ消えるさ。」
「……」
うーん、目が怖い。
自分の相棒を気絶させられて怒ってんのか?
その割には……ちょっと雑だな。せめて運んであげて。
両足引っ張ってエレベーターから出そうとしないであげて。
「っておい、無言でエレベーターを閉めようとするな。」
「さっさとどっかに行ってください。
私達はリーダーを捕まえに行きますから。」
「はいはい、いち登場人物として頑張ってくださいな。
んじゃ、あとは君に託した。ちゃぁんと治安維持しといてくれ。」
そう言って私は開閉ボタンを押してエレベーターを閉めました。
閉まるときに、すごい目で睨まれましたがまぁ、モンダイナイネ。
さぁて、これであと3226万9817本で、っと。
このペースで行けば一週間ぐらいで集め切りそうだね。
……
「はぁ……」
……
うん、やっぱエレベーターって虚無になるわ。
何考えてたのかも忘れそうになるし、なんかボーッとする。
……
創、元気にしてるかなぁ……




