普通、安易に人の人生を狂わすようなことをやってはいけません。
百鬼夜行に魑魅魍魎、
お墓参りに肝試し、
怪談話に金縛り。
夏の終わりにゾンビかよ。
ハロウィンの時にやればよかったよまったく。
「……なぁ創、ちょっとキレてもいいか?」
「え、ええ? キレていいですよ……?」
創は保健室の窓の方へ離れ、彼女の様子を見守る。
ロゼは2人が寝ているベットに向けて深呼吸をし、
「なぁ、ぶっ殺してやろうか?」
笑顔で拳銃を突き出した。
「人に銃を向けちゃいけないとか言っときながら
なに普通に銃を向けちゃってるんですかロゼさん……」
「安心してくれ創、麻央と違って簡単に撃ちやしないから。」
「そう言う話ではないと思うんですけど……」
ベットで寝ている神堕 聖は相変わらず(?)ぐっすりと眠っているが、
その横にいる、包帯を顔や体、そこら中に巻いている黄緑色の髪の女の子は、
とても嫌そうな顔をして起き上がり、銃口を手で持って自分のでこにつけた。
「殺せるものなら殺してみればいい。」
「殺せないけど殺そうとするさ。
『死』そのものが君たちゾンビの救済だからな。」
そう言って引き金を引こうとする彼女。
「ちょ!? 何やってるんですか!?」
創がロゼを止めるために近づこうとすると、
彼女は創の方を向かずに、銃を持っていない手のひらを創に見せた。
そして、手に持っていた銃を下し、ゆっくりと創に近づいてきた。
「なぁ創、君も君でキレてるはずだ。あいつが言うには、
ゾンビまみれにした主犯かつ、あいつと同じ神堕で、
どっかの誰かに主導権取られて今現在あいつに救いを求めているらしいが、
なにかこみ上げてくるようなことはないのかい? ねぇ?」
いらだちながら早口でそう言う。
「ま、まぁ、正直、訳が分かりませんが……
今起きてる状況について何か聞けるんじゃないでしょうか……?
世界の融合の事とか、なんでゾンビ騒動をしたとかいろいろ……」
「そうだね、聞きたいものだね。
自分の名前と自分の私情だけ言って口を利かないあいつにねぇ”!」
ピンポンパーンポーン♪
〈「あー、あー、聞こえてますかー、アロディルデ学園の生徒諸君。
もう間もなくバリケード粉砕しそうですよー。
普通のゾンビじゃないチェーンソー持った奴ががりがりと_____」〉
スピーカーから流れてくる女性の声。
声の質やトーンは目の前にいる少女と同じような声であった。
「あれ? さっき主導権取られたって……」
「録音だよ。あらかじめ決めてたんだよこの放送。」
包帯まみれの少女は口を開く。
「あらかじめ決められてただぁ?」
〈「そうだな~脱落者をこれ以上増やすわけにはいかないから……
はい、チャンスとして体育館に臨時でテレポーターを設置しました。
いちいちテレポーターを探す必要が無くなったろう?______」〉
「おいおい、まさかとは思うけどさぁ、
襲撃した理由デスゲームしたかったとか言わないでおくれよ?」
ロゼが彼女に向かってそう言うが、
返事は帰ってこずにロゼからプイっと視線を離す。
「創ぇ……撃っていいかなぁ……? あいつ死なないからいいよなぁ……?」
いらだちを見せながら銃を持っている手を包帯まみれの少女に向ける。
「ま、まぁまぁ……そりゃあ銃を向けられて怒ったりもしますよ……」
「そうだとも、銃を向けられる立場を考えてほしいもんだ。」
包帯まみれの少女は再びベットに寝ころび、
近くにいる神堕 聖の頬をつんつんとつつく。
「……はぁーあ。創、まかせた。」
「え!? わ、私ですか!?」
手に持っていた銃を近くの机に置き、
彼女は創が寝ていたベットで寝始めた。
その様子を見た創は少し慌てながらも包帯まみれの少女に近寄る。
「ええっと、神堕……何さん?」
「神堕 双だ。」
「双さん、あの、なんで聖ちゃんに助けを……?」
「さっきも言ったと思うけど、どっかの誰かに主導権とられちゃったからね。
こいつを抹殺する予定で、ゾンビをこの学校にはなったわけだが、
なぜかこっちが抹殺されそうでピンチなわけさ。
他の神堕の人らの連絡も途絶えて、ゾンビの指揮も取れなくなっちゃってさ、
どうしようもないから最終手段でっていう話。」
淡々とした口調で話す彼女。
なぜかロゼと話している時より顔が明るく感じられる。
「なんで抹殺なんですか……? 同じ神堕の人なのに……
しかも抹殺するがためになんで学校を……」
創は心配そうに質問をする。
「まぁ、学校にゾンビを放った理由は純粋に仲間を増やしたかったからさ。」
「な、仲間……?」
彼女が疑問に思いつぶやいたその言葉から、双の口が早くなった。
「なんというかさ、ゾンビって言ってもやっぱ寿命ってのがあるわけよ。
こっちの世界で寿命を迎えるゾンビが多くて寂しいのさ。
しかもこっちの世界の人間はすでに絶滅危惧種でね。
子作りさせて繁殖させようとも男女比率がバラバラなんだよねー
んでもってこのゲームを仕掛けてぇ~ 脱出者はあっちの世界で子作り~
噛まれたり感染した人はそのままうちらの世界で仲間入り~
聖ちゃんの抹殺に関してははいろいろと因縁があってっていう話。」
彼女の話は続く……
「とまぁ、完全に私的の理由でこのゾンビゲームを仕掛けたわけですが、
なんか、乗っ取られちゃったんだよね~ どっかの知らない誰かに。
一応脱出者はあっちに行ってるみたいだし、ゲートも開いたまんまだけど、
なんか私の言うことを全く聞いてくれないの(泣)
ゾンビたちに至ってはなぜか私を襲ってきたし、
私のGWEはどっかに無くしちゃったし、もうどうすればいいんだ(泣)」
「……」
「創、正直に言ってくれ。今そいつがなんていったかわかったか?」
布団から起き上がったロゼはすこしひきつった表情で創を見る。
「……は、早口で全然……」
頭に全く入っていない彼女。
ゾンビとかよく分からない創であったが、なんとはなしに普通っぽいと思った。
なんであれ、創が聞く質問にはある程度答えるようだ。
答えた内容を理解ができていないのが致命的なのだが。
とはいえこれならいろいろと話が聞けそう、そう思った創は質問攻めに入ろうと、
ゾンビのことや現状況、世界の融合に関してなど頭に様々な問いを作る。
そして、創が一番に気になっている問いを彼女にぶつける。
「あの……神堕 愁さん、って何者なんですか……?」
神堕 愁は何者か。
神堕 聖が言うには世界を融合した張本人であるらしい。
そして、自己紹介をする前に愁について聖に言及した際、
彼女は創の親友である愁と、世界を融合した愁とそれぞれ別人と言っていた。
姿も何もかも違うと言っていた彼女だが、具体的な姿や言動を口にはしなかった。
別人であることが分かった今だからこそ聞きたい。
どうせ知らぬ間に解決されるだろうが、なんとなく知りたかったのであった。
「へ? 誰? 神堕家にそんな子いたっけ?」
その言葉で創は少しの間、思考停止した。
なぜかその時、ロゼは指をさしながらゲラ笑いをし始めた。
あーおっそろし。怖い怖い。




