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おいでませ単純な異世界へ。 ??:??

世界は意外と単純なのだ。



「ふっ……笑っちゃいますね。

 あれがこの世界の神ですか。」


「笑ってる場合じゃないですよ愁ちゃん。

 ロゼさんなんか変な触手に絡まれてるんですよ?」



ロゼさんに中にいるであろう心ちゃんの体力が限界と言う事で、

とりあえず懐中電灯を頼りに出口を探していろいろ巡っていたら……



「ぎぃ”い”い”い”い”い”や”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」



なんで、暗闇に変な触手がいるんです? しかも10本ぐらい。



      図書館地下?  ??:??



ロゼさんは触手に絡まれて振り回されています。

それで、ロゼさんが落とした懐中電灯で今ロゼさんを照らしてるんですが……


「うわぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!」


どう……すればいいんでしょう……

魔法とか撃てばいいんですかね。

触手は紫色、ちょっとぬめぬめしてそうなのは分かりますが

だからどうしたって話ですよ。

触手がどこから伸びているかもわかりませんし……

動くスピードもかなり速いですし……

びっくりしましたよ。急に横に吹っ飛んだと思ったらああなっていましたし。


「にしても創さん。妙だと思いませんか。」


「へ? 妙?」


「何故私たちを狙ってこないんでしょう……

 あれだけ触手があっていじられているのは一人だけ……

 おかしいと思いませんか?」


そう言って私の方を見てきました。


「確かにそうですよね。なんでロゼさんだけ……」


「ちょい、見てねェ”で助けブふォァ”!」


ゆ……床に刺さった……


触手が思い切りロゼさんを床にたたきつけたらなんか刺ささりました。

そしてすぐに触手に引き抜かれて振り回され始めました。

床にひびが入ってますけど大丈夫ですよね……


「ぐるぅろ”お”お”お”お”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!」


大丈夫そうですね。血も出てませんしさっきと何も変わってませんし。

そんな様子を見ていると横でロゼさんを見て愁ちゃんが鼻で笑ってました。


「だから笑ってる場合じゃないですよ愁ちゃん。

 ロゼさんを助けないと。」


「助けないと、と言う事は

 何か助ける算段があると言う事ですね?」


「ま、まぁ、魔法があるので……」


「魔法が使えるんですか!?」


そう言いながらジト目のまま目をキラキラさせて肩を掴んできました。

まぁ興奮するでしょうね……私とて興奮してましたし。


「えっと、たぶん愁ちゃんもアレを飲めば魔法使えると思いますよ……?」


「アレとは何ですか!?

 ソレを飲めば使えるんですか!? 飲むだけで!? 」


肩をがしっと掴まれて揺らされています。

めちゃくちゃ興奮してますね……


「えっと、ちょっとそれを出すのでちょっと離してください……」


「出してくださいその魔法が使える奴を!」


目をキラキラさながら肩を掴むのをやめて、

それを出すのを待ち始めました。やっぱり愁ちゃん面白いですね。


私はパラメータビジョンを展開して__


「えっ!? 何ですかソレ!?

 そんなものがあるんですか!?」


そう言えばパラメータビジョンって、

私とかロゼさんとかスタッフの人しか知らないんでしたっけ。

あれ? でも麻央さんってこれ見て何か言ってましたっけ?

……まぁ麻央さんの彼氏さんから知ってたんでしょう。


そう思いながら私はパラメータビジョンから例のボトルを取り出します。


「ええっと、この画面はパラメータビジョンって言って、

 自分の魔法とかスキルとかの分かる奴で、

 これが……マナボトルで、

 これを飲むと魔力が手に入るらしいですよ……?」


「ゲームモチーフなんですかこの世界!?

 とりあえずこのマナボトルを飲んでもいいですか!?」


そう言いながらマナボトルを持った手を両手で掴んできました。


「え、ええ。あと9本ありますから……」


それを聞いてすぐマナボトルを手に取ってキャップを開けました……


「ではありがたくいただきます!!」


ごくこくとマナボトルを飲み始めました……

愁ちゃん、こういうの好きですからね……


「あっ、そういえばこれ飲んだ時に眠たくなって__」



「ぷはっ、これで魔力が私の手に……!

 創さん! なにか魔法を放てる呪文とかないですか!」


「愁ちゃん……? なんともないんですか……?」


「なんとも……まぁ確かに魔力を手に入れたというのに

 特別何か変わったような感覚はありませんね……」


「何ともないんですか……」


「ちょ”!?、創何をやってブッ”」


ロゼさんが私たちの数歩前の床に頭から勢いよく刺さってきました。

刺さったところから倒れて頭を抜いてこっちを向いてきました。


「いいか創、神堕 愁!

 私の推測だとあいつは光に弱い!

 魔法でこの空間全体で照らしてくっ……」



再び足に触手を掴まれ振り回され始めました。


「光に弱いですか。懐中電灯で照らしているから私たちを狙ってこないと?

 たしかに創さんが照らしたところからすぐ触手が避けていますからね。」


「えっ、そうだったんですか?」


「未知のものに対してはまず観察が大切です。

 私がただアレを見続けていたとでも?」


こっちを向いて眼をキラーンとし、ドヤっとしていますね。真顔でも分かります。

さっすが私の親友です! そこまで見ていたとは!


「でも笑っていたことは事実ですよね。」


「そうですね。笑ってましたよ。

 それで、この部屋を照らせる魔法とは何ですか。

 早くそれを唱えたくてうずうずしているんですが。」


「とは言っても……あれに載ってるでしょうか……」


なんかこう、『フラッシュ』とか『レミーラ』とかあれに書いてるはずです。

そう思ってパラメータビジョンを展開して全初級魔法本掲載ブックを取り出して、

照らせる魔法を調べ始めます。


「それに魔法がいろいろ書かれているんですか。

 ちょっと貸してください!」


そう言って私が持っていた本を取り上げて自分で読み始めました。

魔法を出したいという興奮を抑えきれなかったのか、

急いで助け出したいから自分でやろうという使命感の元なのか。

よく分からないですがなんかソレが混じった表情をしています。

どういう顔なんですかソレは。

って、なんかだんだん真顔に……



「なるほど。大体分かりました。」



本を閉じ、目をつぶりながらそう言いました……



「え……何が分かったんです……?」


「全部がすべて同じかどうかは分かりませんが、

 この世界の魔法のほとんどか単純すぎると言う事です。」


「た、単純……」


はい。魔法のほとんど単純なんですよね。

ファイアーとかウォーターだけじゃなくて

ポイズンとかリーフとかその魔法の技名まんまなんですよね。

たぶん私がそういう風に思ってたから、

マインドさんがロゼさんに魔法単純にしてとかそうなったんでしょうけど。


「正直、何も凝ってなくてがっかりしました。

 たしか魔法などもあの神(笑)が作っていると言ってましたよね。

 創さんは何とも思わないのですか。」



うーん、私のせいでそうなっているかもしれないなんて言えませんしねぇ……



「ま、まぁ、ちょっと変だとは思いますが、

 私は早口で唱えられる自信がないので単純でよかったと思います。」



事実、一回噛んでしまいましたし……



そこぉ”! はよぉ”助けたもう”て! 魔法の使い方もわかったろう”!?



「あの神、だんだん振り回されるの慣れてきてますね。

 別に助けなくても自力で抜け出せるのでは?」


「確かにさっきとちがってしゃべり慣れ始めてはいますが、

 両手両足塞がって股にまで触手が絡みついているのに抜け出せるんですか……?」


「気合で何とかいけるでしょう。」


「気合……」


脳筋なのは相変わらずのようですね……

気合でどうやってあれを抜け出せるって言うんですか。

一応口は塞がってないから触手を歯で噛むとか?

いやいや……さすがにそんな気持ち悪いことできませんよ。


「で、周りを照らせる魔法はあったんですか?」 


「『シャイニングフロア』! という魔法がありました。」



……愁ちゃんが指を触手のほうに向け決めポーズをしながらそう言うと、

指から眩い光がともって、一瞬にしてあたりに広がりました。

その際、なんかギュゴォーという怪物の鳴き声がしましたね。

光に弱いらしいのでかなりのダメージが入ったとは思いますが……

そして急に明るくなったせいか私は目が変な感じなってしまいました。

すこし目をぱちぱちさせて、愁ちゃんの方を見ます。


「どうですか創さん、私の初魔法は。

 初めてにしては上出来だとは思いませんか?」


ドヤ顔でこっちを向いていました。


「上出来……だと思いますよ!

 めちゃくちゃまぶしかったですから!」


「ありがとうございます創さん。それで触手の方は……」


私と愁ちゃんで触手がいた方を見ると、

触手は全部なくなっていて、ロゼさん一人がうつぶせになって倒れていました。


「大丈夫ですかロゼさん!?」


あれだけ元気に喋っていて、

なおかつ地面に刺さっていてもなお無事だったのに、

急に動かずじっとしていたので心配になってそう言いました。

そして、ロゼさんに駆け寄ろうとした時に……



「待ってください創さん。

 急に触手が消えるなんておかしいと思いませんか。」



愁ちゃんが急に私の目の前に手を出して止められました。



「おかしいといわれても……

 今はロゼさんが心配なんですが……」


「ああいうのは体内の中に忍び込んで、

 近づいたところで何かされるんですよ。

 とりあえず自力で起き上がるまで観察___」



「はや”く助けてくれよ”!」


急にガバッとロゼさんが起き上がりました。

すごい涙目でこっちを向いています。


「え、ロゼさん、大丈夫なんですか……?」


「大丈夫だよぉ”! 

 なんで早く助けけてくれなかったんだぁ”!」


「自力で何とかなりそうだったからです。」


愁ちゃん……だから自力であれは無理ですって……


「創ぇ”~ほんっとあいつ嫌いなんだけどどうすればい”い”?」


いや、どうすればって言われても愁ちゃんはこういう人ですし……


「ええ、ええ私もあなたのことが嫌いですよ。

 あとでいろいろ聞きますからね。覚悟しておいてください。」


やっぱりそうなりますよね……

生徒会長による直接指導は学校だけじゃないみたいですね……



<>



明るくなった部屋は特にどうという装飾もありません。

上も下も横も後ろも全部コンクリートです。

部屋には2つ通路があって、

一つはたぶん私たちがさっき通ってきた道で……

で、もう一つ……


『EXIT ⇧ 』と床に血文字で書かれた道があります……



「ええっと……あっちでいいんですよね。

 なんかイグジットって書いてありますがたぶんあれが出口ですよね……?」


「おーうガチガチのガチだべや。」


「何言ってるんですかあなたは……」


愁ちゃんは怖いの苦手ですからね。血ですら怖いらしいですし。

服についている赤いのは血のりと思って頑張って耐えていますが、

これ以上何かしら恐怖体験があれば愁ちゃんは確実に叫びますね……


んでロゼさんは何でそんなにテンションが高いんですか。

だべってなんですかだべって。振り回されて頭やっちゃったんですかね。


「じゃぁ行きましょう。なんか寒いですし早く出たいです。」


「そ、そうですね。創さんの言う通りです。

 ですが慎重に行きましょう。何か出たらこいつを盾にしますので。」


「きさま私を盾というか。」


「たてですよぉ”……」


あーあーなんかものすごい睨み合ってますよぉ!


「だからケンカしないでください!

 ほら! 私一人で先行っちゃいますよ!」


そう言ってわたしはEXITと書かれている道をダッシュで進み始めました。


「創さん! 待ってください!」


後ろから愁ちゃんついてきてますね。

めちゃくちゃおびえながら走ってきています。ヨシ!

ロゼさんもついてきていますかね?


「後ろからくるぞぉ”! 気おつけろぅ”!」


愁ちゃんの後ろから猛ダッシュでロゼさんが走ってきています。

めっちゃ怖い顔をしてますね。私は何とも思いませんが愁ちゃんが……


「ひっ……」


ちょっと愁ちゃんの走るスピードが速くなりました。

愁ちゃんは怖いものがほんとに苦手ですからね。

あの時の肝試しでも叫喚賞一位でしたし。叫び声も特徴的ですし。

怖がりであることが唯一の弱点ですからね……



って、あれ?



いつの間にか通路を抜けて草原に出ていました。

しかも真っ暗。夜になっていました。



あっ、でも星輝いてますね。



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