混沌は暗闇の中に。 ??:??~
……私はいつまで走ればいいんでしょうか。
水の音もしなくなりましたし、暗闇は未だに続いてますし。
あー……ダメです、そろそろ走り疲れてきました……
私は今どこにいるんでしょうか……
彼女はぜぇぜぇと息を吐きながらゆっくりと減速し、その場に立ち止まった。
というか、通路ではなくなっていますよねこれ。
こんな暗闇の中真直ぐぶつからず進めるとは考えられません。
彼女は手探りで辺りをうろうろし壁を探す。
……うわぁ、元にはもう戻れませんね。
壁はありそうにありません。というかすごく広いですね。
どこまで広がって……っダメです怖いですなんでこんな目に。
走っている時に感じなかった恐怖感が彼女に一気に降りかかってしまい、
その場にしゃがみこんでガタガタと震えはじめた。
後ろからブニョブニョと変な音がしまくっていたが彼女はそれどころではなかった。
お、落ち着かねば私は幾多の困難にもぶつかってきたんです
暗闇の中で一人でもなんとかなるはずですが
あああ駄目です暗いのだけはほんとダメです誰か助けてください
ひたすらに冷静になり彼女自身の中で考えをめぐらすが、
恐怖のせいで全く頭が働かない。
それどころかもう体を動かすことすらできなかった。
背筋はこおりだれかからさすられているような感覚がする。
暗闇の中、来た道には恐らくもう戻れず近くには何もない。
彼女は恐怖に染まっていた。
そんな中、ある声暗闇の中から聞こえてきた。
「ロゼさぁぁぁぁぁん!!」
誰かの声が……この混沌の暗闇の中で彷徨ってる人がもう一人……
ロゼ……さん? を読んでいるようですが……
とりあえず合流してこの状況を聞かなければ……
「ロゼさぁぁぁぁぁん!?」
ふと彼女は、ある人物の姿を浮かべる。
……声がちょっと似てますが、だぶん別人でしょう……
ですが……可能性はありますね……
彼女はロゼを呼んで叫んでいる声に近づこうと再び走り出した。
その時に彼女の心の恐怖心はなく、期待があった。
ここは異世界、言うならば死後の世界。
ひょっとしたらまた彼女に会えるかもしれない。
もしそうでなくても私に寄り添ってくれるかもしれない。
そう思いながら懐かしい声のする方に希望を持って全力で走る。
「ロゼさぁぁぁん! え? ろ、ロゼさん!? 走ってませんか!?」
その声の主は彼女が聞いたことのある声であったがキャラが違う。
彼女認識ではその子は大雑把で、あざとそうなアホの子であった。
だがとても愛らしく、出会ったときからとても____
ふふっ……
「ひっ!? あ、あの、ロゼさん……!?
まさか、からかってます!? からかってますか!?
あの一人にしないでください!? 私、どうすればいいんですか!?」
彼女はその声を聞き、立ち止まってそこからゆっくりと歩き、
怯える声の主に近づく。すこし笑みを浮かべながら。
仕方がないですね……私が傍にいてあげますよ……
「ろ、ロゼさん……? どうしちゃったんですか……?
まさかまだおかしくなっちゃてるんですか……?」
……ロゼという人物が誰かは知りませんが、
こんな中一人にさせる人みたいですし、余程性格が歪んでいるんでしょう。
なぜこんな状況の中一人にさせるんでしょうね。まったく。
彼女は徐々に声の主に近づき、あと10歩ほどまで来たその時だった。
「でぇたぁ”~(ねっとりボイス)」
懐中電灯で自分の顔を照らしてゲス笑いをしている、
青い瞳の紫のツインテール少女が彼女の目の前に現れた。
「____!!!」
彼女は大絶叫した。純粋に恐怖と言う感情が沸き上がって。
<>
図書館地下? ??:??
「!? ロゼさん!? 何やってるんですか!?」
真っ暗な空間の中パッと明るくなったところを見るとロゼの後ろ姿があった。
そしてその前には誰かがいるようだが……
「あーやっべぇ^! 脅かす向き間違えたぁ^!」
ロゼは大笑いしながら創の正面から45度横ずれた方向を向く。
「いやぁ^-さっき灯りともすなっつったけど嘘でーす!
こういうのやってみたかったから嘘ついちゃいましたぁ、ごめんねぇ?」
「あの……嘘なのは分かりましたけど私はそこにはいませんよ?」
創は苦笑いをしながらそう指摘する。
ロゼは懐中電灯を辺りにてらして創を探す。
「あっいた。」
「あっいた、じゃないですよロゼさん……
というかその後ろにいる人が気になるんですが……」
創は不服そうな表情をしてロゼを見ていた。
彼女の心情として、
なんでさっきの状況からそれをするんだという多少の怒りと、
やるなら失敗しないでほしかったというがっかり感と___
たぶんさっきの絶叫、愁ちゃんの……
愁ちゃんがいるのではないかという期待があった。
そして仮に愁ちゃんじゃなかったとして、
こんな状況の中ロゼさんがビックリさせてすいませんと、
謝罪をしないといけない気持ちになっていた。
「たぶんだが図書館裏の秘密の入り口から入ってきた人だねぇ、
なんせ図書館裏さっき爆破されましたし、興味本位で入ったのかなぁ?
もしそうならその入り口のアレで血がついているはずなんだけどぉ……」
「血って何ですか一体……」
「気にするな、お化け屋敷みたいな感じ、演出だから。」
そう言い、後ろにいる誰かをロゼは照らした。
創はその誰かの姿を見て言葉を失い驚愕する。
そこにいたのは血みどろのシミが付いた制服を着ている、
現状涙を流し口を抑えびくびくと震えている黒髪ショートヘアの少女であった。
「あーうん、やっぱりあの入り口から来たっぽいね。」
「あっ……愁……ちゃん?」
「えっ、この子が神堕 愁? マジで?」
創はその少女にゆっくりと歩み寄る。
その少女は彼女を見て一瞬ビクッとし、後ろを向いて呼吸を整え始めた。
「愁ちゃんだぁ……ふふっ、久しぶりですね!」
創はちょっと微笑んで、少女の後ろに立った。
ロゼは懐中電灯を彼女たちに向け、
にやにやしながら親友との再会(笑)を見守る。
少女は息が整ったのか、真顔で創の方を向き、ニコッと笑う。
「久しぶりですね創さん。あなたもこの世界に転生してきたんですね。」
「ええ! なんというかよくわからないんですけどね!」
「そうですよね。異世界転生なんてものが本当にあるなんて……」
そう言うと少女は真顔になり、ロゼと創を交互に見る。
「……再会して早々聞きたいことがあるのですがいいですか?」
「なんでしょうか愁ちゃん!」
「そこにいる人は一体……」
少女はロゼの方を見て睨む。
ロゼは渋い顔をして懐中電灯を自分のあごにつけこう言った。
「私か? 私の名はロゼ・アルターネイティブ。
私はこの世界の神だった者だ。 現状一部の記憶失われてますがね。」
「はい……?」
少女はその発言に対し首を傾げ、
創はロゼの方を向いて心配そうする。
「ロゼさんそれ言っていいんですか……」
慌てながら創はロゼに数歩近寄る。
愁は再びロゼと創を交互に見て少し戸惑う。
「あの……それは冗談として言ってるのですか……?
それともそう言う設定があると言う事ですか?」
そう言われてロゼと創は同時に少女の方を向く。
そして創はちょっと上を向いてどう言ったらいいのかを考える。
「そう言う設定とかじゃなく、この世界を生み出した張本人じゃい。
人や建物、魔法や武器、過去の歴史も何もかも生み出した神そのものです。」
ロゼは迷いもなく真顔でそう言った。
「あのロゼさん!?
実際そうですけど普通に言っても伝わるわけないじゃないですか!?」
ロゼの肩をつかみ、創は焦りながらそう言う。
するとロゼは創の方を向いて意味深な表情をし、小声でこう言う。
「そりゃ世界を融合させた神堕 愁と別人であるかどうか確認しないと。
まぁたぶん違うんだろうけどさぁ、反応を見る限りは。」
そう言いロゼは少女の方を見る。創はその反応を見て同様に少女見る。
少女はどう反応したらいいか分からない、そんな表情をして彼女たちを見ていた。
「そりゃそうでしょうよロゼさん。愁ちゃんがそんな事しませんって。
あと普通、初対面の人に私は神です、なんて言ったら引かれますよロゼさん。」
「的確なツッコミをどーも。
だが小説だのなんだので目の前に神が現れるの普通だぜ?」
「確かにそうですけどもうちょっと他に言い方なかったんですか……」
「こういうのはもうド直球でいいんだよ。
後々神だったのか~! っていうよりも最初に神って言っておいて
私というやべぇ奴の接し方をアイツに造らせるんだよ。
あいにく私は神堕 愁との相性は最悪っぽいけどな。」
そんな会話をしていると少女はいつしか真顔になってカタカタと震えていた。
その様子を見てすこし固まっている彼女達に向かってこう言った。
「とりあえず、ここから出ませんか……? こんな中話をするのは何ですし……」
そう言われ彼女達はお互い向き合い、目をパチパチさせる。
ロゼはニコッと笑って少女を見てこう言った。
「まぁそうだな、ここじゃ何だから出ますかね。」
「ええ、ここから出たらいろいろあなたに言いたいことがたくさんあるので。」
少女はすこし怒っているのかすこし言葉を強めに言う。
「あの、愁ちゃん……
この人おかしな人なのであんまりツッコまないであげてください……」
「そうですか、おかしな人……ですか……
それでは何故創さんはロゼアルターネイティブに関わっているんですか。」
少女がそう言うと創はきょとんとした表情をし、ロゼを見る。
彼女は期待の目をして創を見る。
「なんとなーく、頼もしいから……ですかね……?」
ロゼはそれを聞いて少し照れながら懐中電灯を下に向ける。
「ま、まぁこういう感じで信頼されてるんだ。
君は創の親友なんだろう? なんとなーく彼女の考えることが分かるはずだよ。」
ロゼのその発言を聞いて少女はロゼの真正面まで近づいて、小声でこう言った。
「ええそうですね、創さんは誰かの助けがないとどうにもなりません。
恐らく創さんを助けてからあなたに執着しているのでしょうが、
これからは私が創さんを助けますので。」
ロゼは鼻で笑う。
「おやおや嫉妬かな? これからは君が助ける、ねぇ?
なら君は創を守るためなら何でもするってことでいいかね?」
「ええ、そういう事です。もちろんあなたの悪戯からも助けるので、
そこは理解しておいてください。」
「やだっつったら君なんて言う?」
「別に何とも。私はただ創さんに寄りそっ…… 助けたいだけなので。」
「一瞬君の欲が出たような気がしたがまぁいいだろう。
私がいなくなったら助けてやれよ? ええっと……誰です?」
ロゼはそう言いながら懐中電灯を少女に向ける。
「神堕 愁です。神が堕ちると書いて神堕。そして秋の心で神堕 愁です。
憶えておいてください。あなたの邪魔をする者なので。」
「邪魔をする者、かっこいいねぇ。
なら私は、君の幻想をぶち壊す者、と言っておこう。」
「なんですか? 右手で殴られたいんですか?」
「ふふっ、あははは!」
創の笑い声がし、ロゼは懐中電灯を創に向ける。
彼女は涙を流し、腹を抱えて大笑いをしていた。
「どうした創。今の会話に笑いの要素なんてないよ?」
「創さん……?」
急に笑い出した創を見て心配する彼女達。
笑いながら彼女達の様子を見た創はすこし落ち着く。
「あっ、いえ、なんか懐かしいなぁ~って思ってですね!
あの時も愁ちゃんこんな感じで言い争ってたから!」
「言い争いを思い出して笑うってどういう事だよ。
ってかさっきの聞いてて君何とも思わないのか……?」
複雑な表情をして創を見る彼女。
懐中電灯を神堕 愁に向け表情を見ると、
彼女は顔を青ざめながら苦笑いをしていた。
「……うーん、どういう関係よ創と神堕 愁って……」
ボソッとそう言い、彼女は懐中電灯を辺りに照らす。
うーん、寂しい。ここ本来だったらモンスターハウスなんだけどなぁ~
なんでただの暗い部屋になっちゃってるんです?
スライム2万匹いたはずだぜ? 近くにも一匹はいたはずだぜ?
いまや影一つないんですが。どうゆうこったい。
上を見ても張り付いている様子はないしどこ行ったよスライム。
( スライムって言っても服を溶かすだけの奴ですがね。 )
そうなんだよなぁ……灯りを出したらスライム一つ一つの個体が音速で動いて
男女構わず服を溶かしに行くっていう奴なんだけどなぁ……
灯り出したら襲ってくると思ったんだけどそもそもいませんでしたね。
あーあ、もう訳わっかんね。
( 懐中電灯で彼女を脅かす必要はあったのですか? )
いやまぁただ遊んだだけなんですけどね。
彼女も彼女で服とかされてしまったらいいのにって思ったけど
スライムがなんかいなくなってたからさぁ……
( なんでいなくなったんでしょうね…… )
ロゼは部屋全体を見回し、
紫の星の中に目があるマークが上にある通路を発見し、そこを照らす。
クトゥルフに至っては正常であってほしんだが……
はーあ。どこまでこの世界は想定内なんですかねまったく。
人をからかうのはほどほどに。




