這い寄らない混沌 6:43~
6月のこの暑さは太陽のせいでしょうか……
図書館内 AM 6:34
フードの子に別れを告げ、私はこの世界のことについてまた調べ始めました。
手元にある『アロディルデ王国昔話』を読んでしばらくしていると、
その時に謎の恐怖心を一瞬感じ、しばらくゾッとしてました。
周りの人を見るに同じく恐怖を抱いているようでした。
図書館の敷地 AM 6:43
ふふふ……ふはははは。
青い太陽出たね。これで勝った。
花弁がでたらどうしようかと思ったけど良かったよ。
ロゼは青い太陽を凝視しながら不吉な笑みを浮かべていた。
周りの人たちは太陽を凝視し口をポカーンと開けている。
まるで心が浄化されたかのように。
残念ながら今のところニャルラトホテプに対抗する手段はクトゥグァしかいない。
アイツの好物であるマグロは手元にないし、
ネクロノミコンもありゃしないし。
いろいろ魔法知ってるけど魔力ねぇし。
挙句の果てには何のスキルも持ち合わせてねぇし。
るんるん気分でサンドイッチ作ってるんじゃなかった。
と、そんなことを思いながら青い太陽の様子を見るロゼ。
太陽からはフレアが吹き上がり迫力があった。
召喚にそんな時間かかったっけな……
2分ぐらいで降臨するはずなんだけど……
ふとニャルラトホテプのほうを見るとドロドロの要素はほぼなくなっている。
あの状態でも動けるはずだがおそらく太陽を見て警戒しているのだろう。
……特に変化のない時間がしばらく流れる……
あれ? 何も起きないよ?
太陽に至っては何の変化もなくフレア出してるだけだし、
周りの人たちは太陽を見続けているし、
ホテプはそれに警戒しているし、
創は相変わらずおろおろしていた。
うん。思ったより想定外なことが起きてるっぽいね。
謎に現界しているニャルラトホテプ。行動原理不明。
太陽を見て放心状態の彼ら。すいませんねそういう仕様にしちゃって。
降臨にかなり時間がかかっている。なんで?
そして図書館にいた___
うん。入口付近もああだしこの事態が収束するまでは大丈夫だろう。
この間にコテージで準備を整えますか。
創のもとに歩み寄って早口気味で太陽に指をさしこう伝えました。
「呪文は成功した。ぐっちょぶだ創。
私の想定ではあいつがこれを見続ける限り動くことはない。
だが念には念を入れてだ。私は心ちゃんと一緒にいろいろ準備をしてくる。
君はここにいる人たちを避難させてくれ。」
創は真剣な顔に切り替わって静かにうなずきました。
そうして彼女は太陽を見続けている人たちに避難するよう呼びかけ始めました。
真剣な時には真剣でありがたい。
私は心ちゃんを体内からにじみだして、
瞬間移動でコテージへと向かった。
「おーい!あ、あの、聞こえてますかー!」
避難を呼びかけてもみんな全く反応してくれません!
私のことなんてそっぽ向いてあの青いのを見続けています!
あれのせいで反応してくれないんだとは思いますが……
これは無理やり引っ張っていくしかないかもしれません……!
私は両手で近くにいる人たちの手を引っ張っていきました。
意外と力が抜けているのか引っ張りやすかったんですが……
「あのすいません!そこをどいてもらっていいですか!」
図書館敷地の入口にも人がかなりいました。
しかもあれを見ているせいかまったく動こうとしません。
これじゃあ避難しようにも避難できません!
あたりを見渡してもあの青いのを見る人ばかり。
避難しようとしても入口がふさがっている。
とりあえず隅に人を移動させましょう。真ん中よりはましなハズです。
私は掴んでいた人たちを図書館敷地の入口付近に引っ張り、
ほかの人たちも同様に引っ張っていきました。
ふと図書館入り口にいるニャルラトホテプを見ました。
ドロドロではなくなっていて、変な人になっていました。
なんですかねあの被り物……あの手……
よくみると図書館の入口にもアレを見ていると思わしき人がいました!
近づきたいですけど近づけません!
でもニャルラトホテプ動かないので大丈夫ですよね!
そんなことを思いながら
辺りにいる人たちを次々と隅へと引っ張っていきました。
図書館内部 AM 7:02
なんでしょうか。図書館の入口あたりが騒がしいです。
じゃまだとか見えねぇとかそんな言葉が響いています。
外で良くない何かと戦闘でもやってるんでしょうか。
少し気になってきました。
入口のほうを見るとかなりの人だかりが……
青い光……?
入口に近い人たちは何をしているんでしょうか……
ずっと口を開けたまま外を見ています。
あっ、男の人が無理やりどかして入り口に……
なるほど。あんまり外に出ないほうがよさそうです。
どかした隙から見ようとした人も動きを止めましたね。
……どかされた人たちが困惑しているようですね。
どうやら外にある何かを見ない限りは大丈夫なようですね。
とはいえまだ外にいる何かの正体がわかりません。
見ていたあの人にいろいろ聞きに行きましょう。
図書館敷地 AM 7:32
「あと……十六人!」
そろそろ疲れてきました。
あれがいつ動くかわからないので急いで隅にやってるせいか疲れてきました。
隅に追いやっている人は相変わらずあの太陽を見ています。
私が見ても何もないですが……
たぶん呪文を発動した人だけが利かないとかそういうことなんでしょう。
? じゃぁロゼさんは何で普通に動けたんでしょう?
そうやっていろいろ考えても分かりませんでした。
とりあえず避難させることだけを考えてあと4人というところまで来ました。
残りの人を避難している時にこんなことを思いました。
避難させた後、どうしよう、と。
図書館入り口の人たちを避難しようと思ってもニャルラトホテプが怖いですし、
敷地の外にいる人をどかしても太陽を見る人が増えるかもしれませんし……
うん?
アレを見ているからああなっているっていう事は見せなければいいのでは?
今避難させた女性の人の目を手でふさいでみました。
「うわぁ!? なにこ……」
……
ふさいだ拍子に急に動いてビックリしました。
ビックリして手を離したら急に止まったので二重にビックリしました。
やっぱりアレを見なかったら動かないようです。
だから何だって話です。一人一人塞ぐの大変ですし。
うん?
後ろに回転させればいいのでは……?
私は女性の人の腰を掴んでぐるっと回そうとしました。
全然動きません……
腕や足は動くのに体そのものがアレの方向から全く動きません。なんでですか。
ふと目をふさいでみました。
「ねぇ!? な……」
……
何か目を隠すものがないとろくに動けないみたいですね。
どこかに目を隠せる何かありませんかね……
隠せる……何か……
そうだ。服を脱がせて目を隠しましょう。
<>
図書館内部 AM 7:24
「はぁーいもしもし騎士のみなさーん。
ルルイエ図書館にて異常発生~
来れる人は図書館集合! 図書館内にいる人の避難準備、
戦闘用の魔力の準備をしておいてくださーい!」
さてと、これで騎士の人たちはここに来るはずだね。
まさかロゼに教えてもらった騎士の電話番号が役に立つとは……
図書館入り口付近の様子を見ながら騎士に(匿名状態で)連絡した麻央。
彼女はとある男性に接触している一人の学生らしき人物を見ていた。
「……気長に待つしかなさそうだね。」
麻央は手に持っていたスマホを触り、昨日の夜に届いたメールを再確認する。
『下の写真の人物を南防壁待機所まで連れ出してほしい。
そこまで来たらもう一度連絡をしてほしい。
手段は問わない。君の思う通りにやってくれ。
この人物は主に繁華街に沿った大きな図書館に出没している。
報酬は君が好きな物をなんでも5つほどあげよう。
君だけが頼りだ。頼む。』
という文字の下に、制服のような服を着ている
黒髪ショートヘアのジト目の子が歩いている写真が添付されていた。
その子は今、男性と話している子であった。
にしても最近女の子をなんとやらの命令が多いなぁ……
別にいいんだけどさぁ……
彼、何を思ってこの子たちを……
と、不思議そうに思いながらメールの一覧を見ていると、
男性と喋っていたターゲットの子がこちらへと歩み寄ってきた。
よし、来た来た……
「あの、すいません。この図書館の出入り口はあそこだけしかありませんか?」
ポニーテールの司書の人にそう聞きました。
「申し訳ございませんがお客様。
出入口は今のところあちらにあるお一つしかございません。
ですがこのロケットランチャーで図書館の裏の方をぶち壊し、
新たに一つの出入口を作ることができます。」
そう言って何もない背後から
大きなロケットランチャーを見せびらかしてきました。
どこから取り出した、というツッコミはさておき、
「図書館を破壊していいんですか。」
そう聞くと司書は笑顔でこう言いました。
「ええ何も問題ありません、
最悪外にいる訳の分からないやつのせいってできますし、
裏には本もないし壁だけですのでぶっ飛ばしても何の問題もありません。」
……まぁ、出入口が確保できるのなら。
「なら大丈夫ですね。
私も手伝うのでぶっぱなしましょう。」
「じゃぁ裏の方に行くからついてきて。」
そういい、奥のほうに走り出し、こちらに手であおいできました。
私はそれに応えるように司書の人と図書館奥へと走りました。
図書館敷地 AM 7:41
「みなさーん! 焦らずゆっくり来てくださーい!」
最後に隅に避難した男の人がアレを背にしてみんなを避難させています……
あの人、隠した服を取って外しての繰り返しで少しイライラしましたが、
完全に隠せた後、その人にいろいろ説明したらなんか快く手伝ってくれました。
手でいったん目を隠して後ろを向かせて入り口に向かわせる……
って言うその人の提案の元、今ひたすらそれをやっています。
入り口に近い方に寄らせて結果オーライですね。
「みんなー!カニ歩きだー!」
楽しそうに避難してますね……
ていうかあの人何者なんですかね。
私みたいな語彙力がない人の指示をすぐに受け入れて……
なんでしょう……体操のお兄さんみを感じます……
敷地入り口の方はいつの間か
騎士の人が仕切って人が通れるように整備されていました。
兵士も同様にアレを背にして行動していました。
私たちが誘導した人たちを敷地に出すと、
騎士の人たちが誘導してくれているようです。
全員アレを背にしながら行動しているのでなんか鼻で笑っちゃいましたけど。
ニャルラトホテプの方を見ても何の動きもありません。
何をやっているんでしょうかアレは……
敷地で遊んでいた人たちはみんな避難を終えて、
体操のお兄さん的な人は私に、
『ありがとう!』と言って騎士の人たちの誘導についていきました。
「創!大丈夫!?」
ひと息ついたと思ったら、
アイギスさんがムーンウォークをしながら近づいてきました。
器用ですね。鎧を付けているにもかかわらずめちゃくちゃうまいです。
「は、はい……大丈夫は大丈夫なんですが、
図書館の中にまだ人が……」
「ええ!? ど、どうしよう!?」
後ろ向きのまま慌ててるのがよく分かります。
実際、どうすればいいのか分かりませんからね。
「おいおい簡単な事じゃないか。
敷地の壁に沿って図書館に向かえりゃいい。」
「あなたは……!」
入り口の方からロゼさんがムーンウォークでやってきました。
アイギスさんはその様子を見て驚いているみたいです。
背後からでもなんとなーくそう感じれました。
「ロゼさん……一応避難はできたんですがニャルラトホテプが……」
そう言おうと思った途端、
図書館の方から大きな爆発音が聞こえました。
驚いて振り返ると図書館の後ろの方で煙が上がっていました。
下を見ると、ニャルラトホテプが図書館入口のほうを見ていましたぁ!?
ふとロゼさんの言葉を思い出しました。
『あいつがこれを見続ける限り動くことはない。』
ま、まずいです! あのよく分からないのが動き出すかもしれません!
いよいよ這いよる混沌が動き出します。
来週ぐらいから諸事情で忙しくなります。
ですが出来る限り休みなく投稿していきます。




