この世界のルールに浸れ。5:54~
ここから物語を読み始めてもいいかもしれない。
いや、ていうかここからがスタートなのかもしれない。
三章タイトルの伏字の部分は……
あなた自身がこの物語を読み、考えて埋めてください。
サンドイッチ完食後。
AM 5:54
「……と、言うわけで、
私は盾とか剣とかじゃなく、魔法で勝負したいんです。」
「はぁ……痛いのは嫌だからって……
まぁ妥当っちゃ妥当だわな。
離れた所で魔法打ちやすいし、
離れていれば相手の攻撃は当たることはないからな。
今大事なことだから二回言うぞ。
いいか離れていれば____」
「分かってますよ! 回避するために俊敏性も必要です!」
「あーはいはい。そうですね俊敏性も必須ですね。」
(うん、まぁ実践して自分で考えさせた方がいいかもしれない。)
ため息をついて彼女に指をさす。
「じゃ、始めましょうか。創ぇ。」
創はパラメータビジョンを展開する。
そのビジョンに手を突っ込み、一冊の赤い本を取り出した。
本を開き、ぺらぺらとページをめくりながらそれに書かれている魔法を見ていく。
「にしてもよく150種類も魔法を考えましたね……
私こんなに考えられませんよ……?」
「うん? 私が作った魔法800種類ぐらいあるみたいだよ?」
それを聞いた彼女はすこし興奮気味になった。
「800種類もあるんですね!!
じゃぁ魔法ばんばんいろいろ使えるじゃないですか!!」
「ばんばんいろいろて……
まぁ、一応君の望み通りに作ったらしいからそれくらいはあるさ。
それと平然とその本読んでるが、幻聴とか幻覚とかないのか?」
創はロゼの顔を真顔で見る。
そして目をパチパチさせて再び本を見る。
「何ともありませんけど。」
「君ほんと危機感ないんだね。まぁいいんだけどさぁ……」
ロゼは木の陰に背中を付け創にこう指示する。
「さて、まずは基本的な魔法……最初の2~5ページのどれかかな。
それをやってみようか。初魔法頑張れよぉ!」
「は、初魔法……ですか……頑張ります……!」
創は表紙から本をめくり始め、見開き2、3ページを開く。
2ページには『テスト:ファイアー』
3ページには『テスト:ウォーター』
次のページをめくると、
4ページには『テスト:ウィンド』
5ページには『テスト:ランド』
と、それぞれの魔法の詳細が一ページずつ書かれていた。
詳細の分はほぼ同じで、
『基本的な4属性の魔法のテスト。
【火】がライターのように灯ると言うイメージで指先を前に出し、
てすと、ふぁいあー と唱えてください。
魔法を止める際はイメージをやめ別の事を考えるか、
指を下げるか、指元を何かで隠してください。』
と書かれていた。
彼女はものすごく興奮していた。
世界を造っていた頃、あれは魔法と言うよりゲームみたいだった。
だがこれはたぶん本当の魔法。きっとすごいのだろう、と。
今から打つ魔法。どれにしようかなと迷っている創。
するとロゼが、「いやまぁ全部撃ってもいいのよ?」と笑みを浮かべながら言う。
「そうですね! 全部撃っちゃいましょう!」
そう言い本を一旦地面に置き、呼吸を整え指を前に出す。
「テスト!ファイアァ!!」
そういうと指元に大きな火が灯った。 熱い。 なにこれ超熱い。
「アッツ!あついです!ちょロゼさん水を持ってきてください!」
創は腕をぶんぶん振り回し火を消そうとするが消えない。
(説明、ちゃんと読んだ?)
苦い顔をして彼女はその様子を見ている。
「はい、テストウォーターっつってみ。」
「あっ水!て、テスト!ウォータァ”ー!」
唱えると今度は指から勢いよくジェット並みの水が出てきた。 なにこれすごい。
そう思った時には水は指からでなくなり、
彼女は自分の出した魔法のすごさに浸たった。
「ふぅ……魔法、すごいですね! っ、て……あれ?」
創がロゼのほうを見ると彼女はびしょぬれになっていた。
「はい。想定内です。次はウィンド唱えて乾かしてください。」
そう言われて創は興奮したまま息を整えこう唱える。
「テスト!ウィング!」
指から……何か出てきていている……?
彼女は指元をみても何かが出ている様子はない。
左の手で指をさわっても風が出ているという感触はない。
「ういん ド ね。ウィングだと翼になっちゃうから。」
「……あ、そうでした。」
すこし恥ずかしそうにしている彼女を見てロゼはにやにやと笑う。
「いいか創ぇ。魔法で一番やっちゃいけないのは呪文を噛むこ___」
「テスト!ウィンド!」
ロゼの言おうとしている事をぶった切るかのようにそう言うと
指の先からさわやかな風を感じた。
前を見ると木々やロゼがすごい突風に見舞われていた。
彼女の服が風でばっさばっさと揺れまくっている……
「わぁ……これテストレベルですかぁ……」
「あー乾く乾く。これくらいしないと乾かんよ。
ちなみにこの世界の魔法っていうのは
それを出そうとする根気だのやる気で威力が変わったりするからね。
やる気満々な君だからこんなやばい威力が出ているかもしれない。
ところでそんなに魔法を出し続けて大丈夫か?」
と、言っているが風のせいか全く聞こえない。
「ロゼさんの服が乾くまで出します。
私が濡らしちゃったのでケリをつけさせてください。」
聞こえないはずの声に創は返事をする。
「けりをつけるの意味が違うと思うがマジでやめたほうがいいぞ。
魔法って無限に放てるわけじゃないんだから。」
「……!!」
創は指を下げ魔法を打つのをやめる。
「ま、魔法のテストはこれでいいだろう。魔力は自然回復するはずだから安心しな。
あとは実戦で何とかやったらいい。魔力の上限はレベルを上げれば何とかなる。
確か私が作った設定だと何回もやり続けると魔力消費が減ったりぃ、
攻撃の威力とか効果が向上するって作ったはずだからね。」
「今の魔法でどれだけ魔力が減ったんでしょうか……」
創はパラメータビジョンを展開し魔力消費量を見る。
魔力のゲージは4分の1ほど減っており、
上の数字を見ると52から17まで減っていた。
「こっ、こんなに減るんですか……!?」
「まぁ初めて使う魔法だから燃費が悪いってのもあるからなぁ。
ところでその横の経験値ゲージは増えたかい?」
そう言われ経験値ゲージを見ると156経験値増えていた。
創はそれを見てすこし興奮し震えている。
ロゼは少し乾いた服を手でパンパン叩き、ため息をつく。
「君が楽しそうで何よりだよ……」
<>
AM 6:12
「さてと創、君が言う愁ちゃんの異世界行動パターンってなんだい?」
ストレッチしながらそう聞くと創はすんなりとこう言ってきた。
「異世界に行ったらどうしますか? って聞いたときに愁ちゃんが
『まぁ、まずはその世界の情報を集めますかね。
書庫や図書館へ行っていろいろ把握します。』
と言ってました。多分図書館です。」
「めっちゃ的確に覚えてんだなぁ……」
的確過ぎないかい?
わざわざ声のトーンまで変えて話すって記憶の読み込み早いねぇ。
まぁ学生時代の思い出が愁によってほとんど塗りつぶされてるから……
そうなるんだろうけどねぇ……?
複雑な表情をして彼女を見つめる。
「親友ですしやりとりはいろいろ覚えてますよ。
ところでロゼさん。この世界に図書館とかありますか?」
「あー城にあった資料だと、34館ぐらいあったな。
まぁ情報が欲しいというのなら一番でかいところに行くだろうね。」
「一番でかいところ……?」
「繁華街にある、国立ルルイエ図書館だ。」
「え……ルルイエ?」
「名前は気にするな、異世界でよくありそうな名前を付けただけだからな。」
「まぁそんなことだろうと思いましたよ~」
創は ぽけー としながらそう言う。
「とりあえず繁華街の図書館に行きましょう。
もしかしたら愁ちゃんがいるかもしれないですから。」
「じゃ、行きますか。
ルルイエ図書館は君が行った武器屋より先にある。
移動が面倒だからで瞬間移動で行くぞ~」
「瞬間移動で行くってどういう……?」
そう言うとロゼの体から黒い靄がにじみ出る。
「ああ……瞬間移動ってそう言う……
えっずっとロゼさんの中にいたんですかマインドさん!?」
驚きながら創は不規則に動く靄を見る。
「この黒い靄はマインドの子供みたいなものです。
マインドもといコルプスは現状いろいろやってるんで
その代理としてこの子供マインドちゃんが私についてくれています。」
そう言いながら体から出た靄に対してにこやかな笑顔を向ける。
靄はロゼの周りをすばやく飛び回っている。 うれしそうなのだろうか。
「ちなみに子供マインドは生まれたてなので心もできたてなのです。
優しくしてあげてね。創。」
「えっと……よろしくです……マイン…ドさん?
あのロゼさん。この子の名前ってマインドさんでいいんですかね……?」
「名前か。そうだな。よし創名前つけてやれ。」
「私がですか!? ええっと、そうですねぇ……」
さぁて創はどんな名前を付けるんだろうねぇ。
今まではほとんど私が命名していたけども彼女のネーミングセンスはどんなもんかな。
ニヤニヤしながら創を見つめるロゼ。
「じゃぁ、心ちゃんで!」
数分も立たないうちに創は元気よく名前を言う。
「こっころ~ うん。シンプルでいいじゃないか。」
「じゃぁ行きますか。いざ図書館へ!」
そう言うと靄は彼女らを覆うほどに膨張し彼女らの周りに舞う。
創は靄による感覚に囚われしばらく強く目をつぶる。
感覚がすこしましになり目を開けると敷地を区切るような壁が目の前にあった。
「うう、やっぱりこの移動の仕方は慣れません……」
「大丈夫か創。この程度で屈しゥウォエ”ってったら、
この世界をめぐるのは超難関になるぜぇ……」
「ロゼさんもこの世界巡るの難関になりそうですね……」
ロゼは口元に腕を持ってきてすこし気持ち悪そうにしていた。
創達は図書館の敷地入り口に入る。
「ここがルルイエ図書館ですか……おおきいですね……」
図書館の敷地はとても広く、まるで豪邸かのようだった
建物を見るに装飾などは特になく、シンプルな洋館のようだが
どうやらこの図書館の敷地内の一部は公園のようで
子供や学生、サラリーマンらしき人物が楽しく遊んでいた。
「楽しそうですね……自分が死んだっていうアレはないんでしょうか……」
「隕石衝突の時点で死亡確定みたいなもんだから衝突する前にみんな嘆いてるよ。
しかも隕石衝突で一瞬で体もとい地球が吹っ飛んで痛覚もなく死んだからなぁ。
恐怖とか感じる前に『あれ? ここ異世界?』になってるからね。」
「痛みもなく、ですか……
私電柱にぶつかって一瞬でしたがものすごく痛かったですよ?」
「そりゃ痛いだろうなぁ。コンクリだもんなぁ。
ほら入るぞ創、この図書館で探すの結構時間かかるんだから。」
そう言い子供たちを見ている創の手を掴み図書館入り口に引っ張っていった。
図書館に入ると中はとても広かった。
壁一面に本棚があり、長い机がそれぞれ壁と壁の間に置かれていた。
読書をしている人も多々、本を手に取ろうと手を伸ばしている人もいる。
創は辺りを見回し図書館の内装に対し圧倒していた。
「どうだい創ぇ。私が作ったと思うこの図書館はぁ!!」
「と思うって何ですか。ロゼさんがこれ作ったん……ああ、記憶が……」
「かわいそうな人を見るかのような目をしないでくれるか創。
私はこうなりたくてなってるわけじゃあないから、な……?」
創の後ろ、図書館奥に茶色いフードをかぶったカイングが、
制服のような服を着ている
黒髪ショートヘアのジト目の子の胸をさわさわと触っているのを目撃する。
その少女は若干恥ずかしそうにしているが嫌がっているような様子はない。
それどころか少し嬉しそうにしている……?
「こっ……かっ、カイングちゃんなにをやっているだ……?」
ロゼはいろいろと動揺しながら声を震わせた。
次回、久しぶりのカイングちゃん……?




