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医務室ではお静かに。

お静かに……お願いしまーっす……


「「「……」」」


「何か言いたいことがあるんじゃないでしょうか。」


城内医務室の窓側のベット付近にて。

看護服を着て少し不機嫌になっている彼女はベットから起き上がり、

ベット横に座っていた。

そしてベット横の床に、ロゼ、麻央、ノウンを順に正座させていた。

ノウンと麻央は不服そうな顔をしていたが、

ロゼはツインテールに戻っており、満面の笑みを浮かべ、

ピースをしているロゼの遺影を抱え悲しげな表情をしてうつむいている。

麻央の服は灰色のワンピースになっていた。


『「なんとなく分かります。私の説明が下手だったと言う事ですよね。」』


ノウンのすこし不機嫌な声が創の脳内に伝達される。


「ええ、そこもあります。ですが私が言いたいのはそこじゃありません。

 まずお見舞いに来てくれたことは感謝します。

 で! 私、一週間半ほど原因不明の昏睡状態にあったそうじゃないですか!

 ナースの人から聞いて驚きましたよ! 何があったんですか私!」


そう言うとノウンは麻央の方を向く。

麻央はそれに気づいていないのか微動だにしない。

ノウンはひじで麻央の脇腹をつつき、視線をこちらに向け首を縦に振る。

すると麻央は焦りの表情を見せ首を横に振る。


「まぁそれは後ででいいんですよ。まず気になるのはですね……」


そう言い、彼女はロゼの方を見る。


「ええっとですね。

 まずロゼさんが勝手に世界を造ったことに対してはもう怒っていません。

 怒っていることは他にあるので。」


ロゼは動じずに悲しそうな表情をし続ける。


「ふざけてるんです? なんで自分の遺影を抱えているんですか。」


「いや……これはクローンの私の遺影です……」


「クローンのロゼさん死んだんですか……」


「ええ……兵士を追い払った際、力尽きてしまいました……」


苦い顔をしてロゼを見る彼女。

ノウンと麻央は顔を合わせ同様に苦い顔をしていた。


「ちなみに今のロゼさんって本人ですか?

 それともクローンですかね。」


「クローンボディです……

 あとボディ云々の都合で1週間ぐらいここらに来れなかったので

 昏睡したとかそういう話は初耳でした……」


「GWEのスキルはついていますか?」


「ついていません……クローンボディに至っては全部スキルつけ忘れました……」


「一万年ぐらい何やってたんですか。」


「……すいませんでした。」


そう言いさらにうつむく。


「でですね。まずノウンさんに聞きます。

 あの説明でとりあえず……何となくやばいと言う事は分かりました。」


『「もとよりやばいという認識を持たせるための説明ですし。」』


「で、なんであんな場所で眠らせて説明を始めたんですか?」


そう言われたノウンは前かがみになり、ロゼの方を見る。

それに気づいたロゼは咳ばらいをし、ドヤ顔でこう言った。



「特に! 意味はない!」



「分かりました。言えない事情があるんですね。」



「うん。そういう事。」


ロゼは遺影を腕の置き場所にし、満足そうにしてる。


「いや、そんなんでよく納得できるね……」


麻央がぼそりとそう言う。

そのぼそりと言ったことが彼女の耳に入り、麻央の方を向く。


「まぁロゼさんとは長い付き合いですからね。なんとなく分かるんですよ。

 で、一番言いたいことがあるのは麻央さんです。

 なんであの時、適当なことを言ったんですか?」


そう言われ、麻央は静かに唸る。


「もしアレで死んでいたら後でなんていうつもりだったんです?

 人の生死を適当に自分の判断で決めないでください。」


「でも命令で強引に連れて来いって……」


「あなたは死ねと命令されたら死ぬんですか……?

 命令だけがすべてじゃないんです。

 命令だけで動くのならロボットと同じです。

 人なら自分の意思と、誰かの命令で動いてください!」


「はい……」


麻央は若干弱気になりながら返事をする。

その様子を見ていたロゼは半笑いをしてにやにやしながら創と真央を交互に見る。


「創がなんかまともなこと言ってらぁ。」


「昔、先生が言ってた言葉です。

 命令されるだけの人間になるな! って、印象に残ってましたし……」


ロゼは鼻で笑い、両手を広げおどける。


「うん。やっぱ創の学校の先生ってよくわからない人ばっかりだね。」


(てっきり、人の命も心配せずに、自分の欲だけを貫き通すな! とか、

 そういう事を言うと思ったんだけど……まぁいいや。)


「はい。で、です。

 なんで一週間半も昏睡状態だったのかって話ですよ。

 ナースの人はノウンさんと麻央さんにここに運んできたとだけ聞いたんですが……

 何があったんですか?」


『「昏睡状態に至ってはまったくもって分かりません。

  2人の睡眠状態を解除したはずなのに

  創さんだけ寝たまんまだったのでびっくりしました。

  あと睡眠解除した証拠にここに麻央さんが。」』


そう脳内に伝達しながら、麻央の膝をポンポンと叩く。


「うん。私らが起きた時、

 ロゼがなんか死んでいて創が寝たまんまだったからびっくりしちゃったよ。

 その場にいたコルプスが創を城の医務室に連れてけって言って

 ロゼの死体を連れてどっか行ってさらに訳わからなくなったよ。

 いやなんで昏睡状態だったんだろう?逆にこっちが聞きたいぐらいだよ。」

 

「コルプスさん……

 あのロゼさん。昏睡状態に対して何にか知らないんですか?」


そうロゼに言った瞬間、



「あの~! 入っていいですか~! 」



医務室のドアから大きく、幼稚な声が聞こえてきた。


「え? だ、誰ですか……?」


創はその声を聞いたことがなかった。

声の方がするドアを見て不思議そうにする彼女。

しかし3人は一瞬ビクッとし、

ノウンと麻央はゆっくりとドアから目をそらし床を見ていた。


「創、ちょっと待ってくれ。すこし用事ができたぁ!」


少し怒ったような表情をしていたロゼは、

遺影を投げ捨てドアの元に駆け寄り、医務室から出ていった。


「え、ロゼさん!? 」


「おいおいおい待て! 入ろうとするんじゃない!」


医務室のドアからアホ毛が二本生えているピンク髪の子がダッシュで入ってきた。

と思ったら、ドアのほうから手が伸び少女の襟をつかまれ、

医務室から引っ張られていった。


「あの……ロゼさん? その子は一体……」


少し首元を引っ張られた少女を心配しながらそう言った。

そしてロゼは、ゆっくりとちいさな女の子の両肩をつかんで医務室に入ってきた。

彼女はとても悔しそうな顔をしており、今にも涙を流しそうだ。


「こんにちは!初めまして!」


少女は虚ろな目をしながら笑顔で創に手を振っていた。

その少女は小学生くらいの身長(125cmぐらい?)であった。

ボタン付きの白いローブを着ているようだが、

首元のボタンしか留められておらず、中の水色のTシャツと、

灰色の半ズボンが見えている。

足元を見るに灰色のソックスを履いており、運動靴を履いていた。


「こ、こんにちは……」


すこしきょとんとしながらも創は手を振り返事をする。

ふと横を見ると麻央とノウンは全力でその少女から目線をそらしていた。

創はその様子を見て心配そうに話しかける。


「あの……どうしたんですか……?」


「今あんまり話しかけないで……かかわると面倒だから……」

『「苦手なんです……ああいう子供は……」』


「子供って面倒なものじゃないんですか……?」


と、麻央とノウンで会話をしていると、


「創……いいか?」


ロゼの悔しそうな声を聴き、彼女の方を見る。


「えーっとですね……この子がぁ……

 GWEという物を作った張本人……


 神堕ぁ……聖でぇーす……」



「えへへ~そうなの~」



創は目をパチパチさせ、そのまま無言で麻央たちの方を向き頭を抱えた……



<>





「あの……いいですか?」


「なぁに?」


少女は元気のよい声で返事をしてきた。



「いろいろと……言いたいことがあるんですが……」


「うん……いろいろと言いたいのは分かるよ……」

『「いろいろと……おかしいですよね……」』


麻央とノウンの怯えた声が前から聞こえてきた。


「創。もうどんどん言っていいぞ。 

 この子は被害者だからな……一応……」


ロゼは未だに悔しそうにしている。

創はその言葉を聞いて、しばらく無言になる。

そして頭を抱えるのをやめ、苦い顔をしながら少女の方を見る。


「えっとですね……あなたがGWEを作ったんですか?」


「そうだよ~! すごいでしょGWE!」


少女の元気のいい声と共に二本のアホ毛がピコピコ動いていた。


「あなたが世界を融合させて戦わせたりしているんですか……?」


「うううん。それはシュウちゃんがやったの。」


少し元気がなくなり、アホ毛は少ししょげた。


「シュウちゃん……?

 ええっとですね……聖……ちゃん? さん? 」


「ちゃんで!」


アホ毛は上に立った。


「聖ちゃん……いろいろ言いたいことがあるのは分かる?」


「うん! なぁに!」


「……」


少女の元気のよい発声と、

その少女に色々言いたいことが頭の中で渋滞し、創の発言力が低下している。


「まぁいろいろ、私が説明しよう……

 この子はGWEを作っただ(・)け(・)の子なんだよね……

 融合とか戦わせようとしているのは……

 この子の話によれば『かみだ しゅう』って言う人らしいです……」


「そうなの。」


元気がなくなりアホ毛がしょげていった。


「神堕 愁……ですか……」


その言葉を聞いた途端、創は頭が割れるほどの頭痛に見舞われる。

創は頭を抱え息が荒くなり、麻央の居る方へと倒れてしまう。


「創!? 大丈夫!?」


麻央は創を抱え、心配そうに体を揺さぶる。




           かミだしゅウ。わたシのしんユう。



「!!」


そんな自分の声が聞こえたその時、創は頭痛が治まる。

彼女の目の前には麻央の心配そうな顔があった。

彼女はゆっくりと立ち上がり、麻央に礼をする。

そしてロゼの方を向き、困惑した表情をしてこう言った。



「愁ちゃんがそんなことをするはずがありません!!」



 

それを聞いたロゼは大笑いをし、少女の肩を外し創の元に歩み寄る。


「何を確証にそれを言うんだい? 

 君は『かみだ しゅう』を知っているのか?」


「知っています! 私は愁ちゃんの親友なんですから!」


「親友ねぇ。学生時代の?

 ああ、たぶんあれだぁ。 発音が同じなだけで字が違う別人とかじゃない?

 ちなみにかみだのかみだは神様の神で堕落の堕だからね。

 しゅうのしゅうは秋の下に心で愁。君の親友はこんな名前だったかい?」


それを聞いて彼女は目線をそらす。


「同じ名前です……

 ですがきっと別人です。愁ちゃんはそんなことは絶対に……!!」


「まぁ、名前がちょうど同じで別人って言う可能性があるからな。

 なんならその別人の親友に会いに行って確認しようか?」


「別人なら現世にいることになるんですが……

  !! まさか戻れる方法があるんですか……!?」


するとロゼは腕を組んで上を向き、こう言った。




「あーうん。戻れないけどね?


 ていうか、戻る必要なはいよ?」



「戻る必要はない……? それってどういうことですか……?」



「現世の地球は2(・)0(・)1(・)9(・)年(・)1(・)0(・)月(・)2(・)7(・)日(・)に(・)巨(・)大(・)隕(・)石(・)が(・)衝(・)突(・)しちゃいましたっ!

 つーまーりー、全人類で異世界転生しちゃってるのデース。」



「……はい?」



10月27日……?



私が死んで4日後に隕石が……?



「ええ!2019年10月27日をもって、

 現世の人類は隕石によってたぶん完全に滅亡しました!

 それにより地球にいた全人類!

 たぶんこの世界のどっかに転生or転移してるよぉ!?

 良かったねぇ”みんなして異世界に行けるなん”てぇ”~

 あーはっはっはぁ!! ざっけんなクソ神がぁ”!!」



やけにテンションが高いロゼ。

少女は満面の笑みでニコニコしていたが、

それ以外の3人は皆あんぐりしていた。

人類が滅亡したらみんな異世界にいくんでしょうかねぇ……?



もとより異世界って死後の世界なんでしょうか。


異世界って現世で言う天国なんでしょうか。



それとも地獄なんでしょうか。






すくなくともここは地獄だ。

なんせここにはアイツがいる。

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