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『人』がそんな完璧に説明できるはずもなく。:前編

雑 説 明 回。


語彙力が無い説明はいろいろと面倒になる。

残念ながら少女は語彙力が無い。


だって『人』だもの。しょうがないね。

久しぶりの学校。3ヶ月ぶりの授業……?


 ホームルーム:「自己紹介」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「初めまして。私の名前は『ノウン』。

 あなたに伝言を伝えた人です。憶えていますか?」


「あ、あなたがノウンさんですか……!

 あの、世界が融合しているってどう言う……」


彼女はちょっと慌てた。

ノウンと名乗る少女はジト目の表情のまま動じていない。

彼女の声はすこし辛辣であったが可愛らしい声をしていた。


「それに関しても順序立てて説明します。

 とりあえず今は、私と言う存在を知ってもらいませんとね。」


そう言うとチョークを持ち、何かを書き始めた。

人から波が出ている絵……

人が燃えているような絵……

人と人の脳から言葉が出ている絵……

どれも絵心がなく、気持ち悪かった。

書き終わると黒板をトン、と叩き創の方を向く。


「まず私は超能力者です。

 テレパシーやサイコキネシスなど色々使えます。」


「あの声……テレパシーだったんですかぁ、

 変なところから声が聞こえたからびっくりしましたよ……」


創は驚く様子もなく普通に話す。


「すいません。口で喋ろうとすると炎が出てしまうので。」


「炎?でもいま口で喋ってませんか?」


「夢の中なのでそう言う制御が利くのです。

 あっ、言い忘れてましたけどここは夢的な場所です。

 あちらの世界とは何ら影響がないので安心してください。」


そう言って、黒板に手を置き勢いよくなでる。

すると黒板の絵が一瞬にして消えた。


「夢ですか。なんで夢って見るんでしょう。」


彼女は首をかしげる。


「ええ、夢だからなのでしょうか、

 あなたの言動や反応がおかしくなっていますね。」


「え?私いつもこんなですよ?」


ノウンは腕を組み、ふと上を見上げた。


「じゃぁあなたよりおかしなことを言いましょう。

 私は今、夢の外で何人いるでしょーう?」


「はい? 一人じゃないんですか?」


「せいかーい。分身の43人に誤魔化されませんでしたね。さすがです。」


創の方を向くとすごい嬉しそうであった。


「えへへ。やりました!いえーい!」


「……なるほど。あなたにおかしさで勝つのは難しそうです。」


その様子を見て一瞬考えるぞぶりをし、教卓に手を置く。


「どんとこい!相手になってやりますよ!」


「……超能力者としての能力で43人ほど分身していた理由としては、

 GWEで適当にいろんな世界を巡って、

 気に入った世界に私の分身を一体ずつ置いて

 暇なときに冒険しようと思っていたのです。」


「はへ? どういう事です?」


彼女はアホっぽい顔をして首をかしげる。


「あなたに分かりやすく例えるのならば、

 たくさんいろんなゲームソフトを買っておいて、あとから順々にやっていこう。

 とはいえ中身をちょっと確認してセーブデータをつくっておこう。

 という感じです。まぁそのセーブデータ勝手に進行するんですが。

 そのソフトを遊ぶ上でいちいち他のソフトを終わって起動しないといけませんが。

 私の趣味だったのであまり気にしないでください。」


「なるほど。分かりやすいです。

 ちなみに最大何人まで分身出来ます?

 10人ほどお持ち帰りしたいんですけど。」


「……こんなんで伝わるんですね……さすがロゼです。」


ノウンは目線をそらし、小声でそうつぶやく。

その言葉に反応したのか創はこう言った。


「ロゼさんですか。最高です。」


「ええ、夢の中とはいえ目を覚ましても鮮明に憶えますからね?

 自分でおかしなこと言って後で恥ずかしくなっても知りませんよ?」


「私に恥なんてあるわけないですよ。」


真顔のままノウンを見つめる。


「ええ、たぶん何言っても聞きませんでしょうね。

 で、です。

 その分身から他の世界がどうなっているかの事情を知ることができました。

 様々な世界が融合していると言う事と、

 『かみだせい』と名乗る人物がその世界同士で戦わせようとしている事と、

 この世界と他の世界で融合した時間がとんでもなくずれていると言う事と、

 その融合した世界の神の記憶を徐々に消えている事と、

 創さんがあの兵士たちに狙われていると言う事が。」


「ええ、さっぱり分かりません。」


「まず順々にあなたに分かりやすく説明していきます。

 とはいえこの世界の状況は完全に把握できている訳ではないので、

 脳裏にあたりに置いておいてくれていいです。

 あと私は説明が下手なので雑になったり、

 後で付け足しすることがあると思います。

 まぁ説明を聞いて大体やばいと言う事だけわかってくれればいいです。」


「はぁーい」


幼い園児の様な返事に頷いたノウンは、

淡々と真顔で説明を始める。



※ 説明が下手な彼女の話に少々お付き合いください。



『現時点のこの世界の状況』について。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「まず、この字を見てください。」


そう言い、黒板を手でたたく。

すると今まで書かれていた字、図が一瞬に消える。

そしてノウンは『神堕 聖(かみだ せい)』と黒板に書いた。


「はぁ……それがその人の漢字ですか……」


創はその字を見てきょとんとしていた。

ノウンはその様子を見てすこし意味深な顔をする。


「……? まぁいいでしょう。知らなくて当然です。

 神堕 聖はGWEを作った第一責任者ですからね。

 しかも接触するまで名前が分からないですし。

 私も最近名前を知りました。」


「へぇ……その人がGWEを作ったんですね……

 その人が世界同士で融合させて戦わせようと……」


「ああ、ちゃんと聞いていますね。

 その神堕 聖がなぜ世界同士て戦わせようとしているか。

 


 それは一切分かりません。」



「だって人間だもの。」


真顔でそう言った。


「ええ、しかも戦う上でのルールの説明もしていないんです。

 融合した直後、神堕 聖を名乗る人物が、

 『他の世界と戦へー そして他の世界を自分の世界にしろー

  全部自分の世界にできたら唯一神になれっぞー』

 と言っただけで目的も何もかも意味不明なのです。」


「私のボケをスルーですかあなた。」


「ええ。なんだそのボケは、と、ほとんどの人が思いました。

 そのボケに対しツッコミもせず、

 いろんな世界の人たちはとりあえず侵略したり、略奪したり

 人を殺したり他の世界にツッコんでいきました。」


「……殺し合いですか……それで私を狙ったと……」


ノウンは眉をぴくっと動かす。


「いえ、それはまた別件の様です。それに関してはまた後で。

 そんな殺伐とした状況の中、

 私の分身が確証的なルールを発見していました。

 他の世界の主のGWEを奪い、

 自分の世界の主のGWEを自分の世界の陣地で

 ごっつんこさせると言う物です。」


「ご、ごっつんこ?」


「GWE同士合わせることによって他の世界が自分の世界になるみたいです。

 その際、他の世界の主GWEが自分のGWEに取り込まれ一つになり、

 自分の世界の魔法や魔力、パラメーター、

 ルールや概念が融合した他の世界に適応されるみたいです。」


「はぁ、つまり陣取りゲームと言うわけですね。」


「まぁ平たく言えばそうです。

 変わるタイミングはごっつんこした直後なので、

 変わる瞬間を見れるのはごっつんこした人、

 それを見ていた人しか分かりません。

 融合した世界にいた分身からその世界の状況を聞くに

 一時期、急にいろいろ変わってパニックになっていたそうです。」


「そりゃあパニックになりますわな。だって急だもの。」


「で、その陣地の間には平地だの森だの山だの湖だの、

 世界観の違う陣地同志でくっつける接着剤のような役割を果たす、

 様々な世界を融合した奴が作ったと思われる未開の地があるそうです。

 その場所に対しては現在5体の分身に調査してもらっているので

 詳細な情報は不明です。残念でした。」


「はーいしつもーん。自分の陣地、他の陣地って大きさどうなっているんです~?

 ていうか、どこまでが自分の陣地とか分かるんです~?」


少しのんきそうに創は言う。


「陣地の境界線に水色のホログラムみたいなものがあるのですが、

 大きさはまだ分かりません。ちょっと広大すぎるので。」


「生温いルールやのぅ」


彼女は呑気にそう言う。


「あと補足として、ごっつんこGWEに関しては

 それを実証した人たちと私の分身と私とロゼさんしか知りません。」


「ワタシ、イマ、シッタ」


なぜかロボット的な言動をする。


「でしょうね。

 侵略奪略人殺しを止めるために、

 ごっつんこGWEを言おうとした可愛げのあった私の分身は

 その世界の人たちに殺されたんですけどね。

 嘘言ったからとか、生意気って言う理由で。

 しかもひどい方法で殺されました。くそが。」


「うぉっと、口が悪いですよー」


茶目っ気にそう言い、両ひじを曲げ両人差し指でノウンをさす。


「口が悪くなるほどえげつない殺され方をしたんですよ。

 人をおもちゃのように扱いやがって。くそが。」


ノウンは真顔のままであったが、なんというか怒りの覇気を感じた。


「何のための超能力なの?」


「分身は一部の能力しか使えないんです。

 テレパシーと瞬間移動ぐらいです。」


「なんで瞬間移動で逃げなかったの?」


「いろいろ事情があったんです。

 思い出したくないのであまり触れないでください。」


彼女は若干しゅんとした。




『記憶について』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さきほど、その世界の神の記憶が徐々に消えていると言いました。」


「つまりロゼさんの記憶、私の記憶も消えていると?」


「……冷静ですね……『記憶消えてるの!?やばい!』とか言うと思ってたんですが……

 まぁいいでしょう。」


「テンションの落差。」


彼女は真顔でそう言った。


「あなたには言われたくありません。」


少女は力強くそう言う。


「あ、はい。」


「まぁなんというか、みんな徐々に記憶が消えているんです。

 というか、記憶を埋め込まれているっぽいです。

 分身がGWEを持っていた人達に話しかけたら、

 GWE? なにそれおいしいの? みたいな反応をされました。 

 しかもこの世界に何があったかと聞くと、

 たぶん、その世界の伝説の話をされました。

 と言った感じで、こう、自分が作った世界の一部となるのです。」


「要はその世界に自我もなにもかも取り込まれると……」


「しかもロゼまで消えていました。

 記憶が完全に埋め込まれる前にロゼは新しく生成したボディに、

 自分の意識となくなりかけの記憶を詰め込みましたが。」


「ええ?じゃぁあのメガネは偽物?」


「本人の意識を持った偽物……

 なんて言えばいいんでしょうね。」


「でも私記憶埋め込まれてますかねぇ?

 全然そんな感じしないんですが。」


「まぁ徐々にすり替わっていくそうなので……

 そうですね……小学生時代憶えています?」


そう言うと創はうつむきながら語り始めた。

 小学生の頃の思い出を。


「私は愛知県の山藤小学校に通っていました。

 卒業式の日に学校が爆発したことを鮮明に覚えています。」


虚ろな目をしながら微笑んでいる。


「いやなにがあったんですか。

 しかもいきなり卒業式って、小学生時代速攻で終わってるじゃないですか。」


「小学生の思い出なんてそんなありませんよ。

 まさかいい思い出があったとでも言いたいんですか?」


虚ろな目のまま首をすこし傾ける。

その様子を見たノウンはため息をつき、創の横の席に座りに行った。


「じゃぁ次に中学生の頃で、 

 とはいっても一年半ほどらしいですけど。」


「山藤中学校に通っていました。

 50m走で8秒台を取ってちょっと有名になりちょっとちやほやされました。

 まぁ、ちやほやされただけで友達はできなかったんですけどね……」


「……なるほど。友達はいなかったと。」


「ええ、ほんと、なんでいなかったんでしょうね……」


彼女はすこし落ち込みながらそう言う。


「友達がいない……ですか……」


そう言いながらしょげたような表情をする彼女。

自分の頬を手のひらで叩き、真顔に戻る。


「まぁ、もしものことがあった場合のために、

 後で今の記憶を自分で保存してください。」


「ようはセーブですね。分かりました。」


急に彼女は満足げな顔でノウンを見てきた。


「ええ、セーブです。セーブデータもとい

 新しい身体に自我、記憶を移動、保存してください。」


「新しい体……

 ちょっと胸盛っていいですか?」


ニヤニヤしながらそう言う。


「残念ながらもう身体の修正は効きません。

 この世界が急ピッチで造られる前に、

 ロゼは記憶が消えてしまう可能性を想定して既に身体が作っていたのです。

 意識と記憶を転送、保存できるクローンボディが。」


「あははは。クローンって違法なんだよ知ってた?」


「まぁロゼは焦ってすぐにクローンボディに

 自分の記憶と意識を転送したのですが、

 その時にGWEのスキルやいろいろつけ忘れて、

 普通の人になっているんです。あーあ。」


「要はもうロゼさんは頼りにならないと。

 なるほど、あの人バカなんですか。」


急に渋い顔をして創はそう言う。


「ええ、バカなロゼは自分でバカバカバカ! と言ってましたね。

 可愛くありませんでしたが。いらっとしましたが。」

 

ノウンは自分の頭を拳でポカポカしながらそう言った。

 






                  ・・・後半へ続く

次回、魚介兵士についてとかの説明。

しかし語彙力の無い説明。

しかも創は頭がおかしくなっている。

ツッコミも何も無いストレス溜まりそうな後半をお楽しみに。


……なお、城の前の状況もあります。




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エマージェンシーコールが解除されようがこの小説の投稿頻度は平常運転です。

もしかしたら、つらくなってくるかもしれませんが。

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