人生って、誰かに物語られているの?
ふと、自分の人生が誰かによって形作られていると思ったことはないでしょうか。
実際作られた人生かもしれませんし、ただの重妄想かもしれません。
ええ。妄想に浸りすぎるには良くありません。
度が過ぎると現実と自分の妄想の世界でごっちゃになってしまいますよ……?
……引きずり込まれている。
ひたすら深くまで足元を引っ張られ引きずり込まれている。
そして狭い。服とか顔とかが土で擦れる。
何かに掴みかかろうとしたけど何にも突起がないからつかめない。
ていうか引きずり込まれている中、突起があったら引っかかっている。
穴の側面の土を掴もうとして指を攣っちゃった。
息苦しさはもう慣れたけど足が攣りそう……
はぁ……
あれからどれくらいの時間がたったんだろう。
1日とまではいってないけど7時間ぐらいは経っているハズ。
ていうかどんだけ深いのさ。
この引きずり込まれる速さを見ても、
もう5000mぐらい行ってると思うんだけど……
あー……行ってないかな……もう分かんないや……
彼女は深く、深く地面の底まで直下で引きずり込まれている。
足元には彼女を掴んだ根っこがいまだに絡みついている。
バンザイをしているような状態で引きずり込まれたため、
彼女のフードポンチョが少し土の摩擦でめくれ上がっている。
穴はとんでもなく狭く、大人が入れる広さではなかった。
そんな狭い穴をとんでもない速さで無理やり引っ張られ、
彼女に身体と精神に大きな負荷がかかっている。
光もない暗い穴。視界は役に立たない。
聴覚を利かせてもただただ引きずり込まれる音が聞こえるだけだ。
彼女は目をつぶり、音もできるだけ遮断し静かな状態でいようとした。
なお、穴に引きずり込まれ2時間しかたっていない。
狭いところに長時間いたせいで彼女は感覚がおかしくなっているようだ。
そしてその感覚からようやく解放される。
大量の土がこぼれる音と共に、
彼女は一瞬グワングワンとおかしな感覚に見舞われる。
その際、目元に光が入り少し目を開く。
その光はとても眩しく、一瞬目をパチパチさせる。
そして眩しさが収まり周りの景色を見ると……
地面に青白い地面と白い光る球体。
空を見上げると海があった。
「……?空に……海……?」
その景色を茫然と見ている彼女。
「……っ!?逆!?」
彼女は今、体がさかさまになっていることに気づく。
足元に絡まっている根のせいで逆さになっているようだ。
「なんで海が……ていうか、あれもしかして太陽……?」
彼女の体は、真夏の太陽から放たれたような光の暑さを感じていた。
手を目元に持っていき、眩しさを軽減しようとするがその時、
足元に絡まっていた根が離れてしまい、
さらにそこから海の方へと落ちていってしまう。
そしてその落下の影響で彼女がかぶっていたフードが取れてしまった。
彼女の髪は赤髪で金色のメッシュが入っており、
アホ毛が2本前髪に生えており、彼女の目は青色だった。
そして、彼女の頭にオオカミの耳が生えていた。
「あ、やヴぇ……」
その時、彼女の意識が薄れてしまう。
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「いやぁ~ほんと、ここは気楽でいいなぁ。
ブゥルッラックな職場とは大違い。ここは楽園だよまったく。」
そんな事を口ずさんでいる、
パラソルの陰でビーチベットの上で全裸で寝ころんでいる、
赤い髪をしてサングラスをかけた一人の男。
「そう!やかましいと言われた男!
スパイダー……ん”んぅ、リッチオート尾張だっ!」
急に彼は大きな声で自分の名前を叫ぶ……
「たぶんだが今ので視点が切り替わったろう。
やぁ。お久しぶりですね。
あのバーを作る時に会ったよね?憶えてるかい?
変な実況だけどあれはあれでいいと思うんだ。
え?良くない?評判悪かったって?
いやいや私は悪くない。悪いのはウェドなんです。
ウェドに関しては私の物語の脚本している奴に言ってくれ。
まぁ脚本している奴って神なんだから言いようがないんだけどね。ははは。」
彼は何かを呟いている。
まるで誰かに話しかけるように。
彼がいる場所はヤシの木が2生えているだけの小さな島であった。
その島は砂浜しかなく、彼一人しかいない。
彼の声以外のを除くと海のザザーンと言う音と風の音しかしない。
周りの景色を見るときれいな海が……海しかない。
彼がいる小さな島以外、島らしき姿はなく、
どうやら絶海の孤島の様だ。
ちなみに彼の服らしきものは辺りにない。
海に流されたのかそれとも……
「一応何度も言っておこう。
私は君が誰か分からないが確かにいると言う事は分かる。
君とおしゃべりをするのは三人っきりの時だ。
そうでないと変な奴と思われちゃうからね。もとより私変な奴だけど。
あと人の人生にぐだぐだ言っちゃいけない。
私とそこにいる透明人間とのお約束だ。いいね?」
そう言って彼はある方向に手のひらで指す。
そこには少し大きな足跡ある。
踏まれた足跡の砂は風で吹き荒れ消える様子はない。
まるで誰かがそこに立っているようだ。
そんなゆったりしている彼{ら}の遠くでとんでもなく大きな水しぶきが上がる。
その音で彼はちらっとそれが起きた方向を向く。
「ほい、物語の進展が出たね。おしゃべりはまた今度!」
そう言い彼はベットから立ち上がり、水しぶきの方を見て静かに驚く。
そして咳ばらいをしてこう言った。
「おお……やぁーっと来たのか……」
しばらく水しぶきを見ていると、さらに水しぶきが上がる。
それは彼の方に近づきながら起きているようだった。
「あっ、あいつフード外してやがる。
でも仕方がないよなぁ、高いところから水に落ちたらやばいんだもの。
コンクリート並みにね。水舐めたら死んでまうでよ。」
そんなことをすこし笑いながらつぶやく彼。
彼の目の前で最後に起きた水しぶきと共に、
フードが外れている狂暴そうな姫路が姿を現す。
「あーあ、えらいこっちゃ。」
目つき悪くなっている彼女は着地し彼に爪で素早く攻撃してきた。
それを華麗に避ける彼は彼女の様子をうかがう。
彼女はその様子を見て攻撃をやめ、
地面に手をつきオオカミのような姿勢を取り彼を見る。
そして威嚇なのかガルルルルと鳴く。
「なぁーんかいつもと違ってご立腹ですね。
あれかな?やっぱり連れてこられるのに不満があったとか……」
彼は優しい表情でそう言う。
すると彼女は勢いよく彼にとびかかってきた。
が、彼に届く前に彼女は空中で浮遊する。
彼女は浮遊した状態で手足、頭を動かしている。
彼女の足の周りにはさきほどの誰かが立っているような足跡から
誰かが走ってきたような跡がある。
「これで話は多少通じるかな……?
おーい姫路ぃー?意識あります?」
彼は彼女の前で手を振ったり大声を出したりして彼女の様子を見る。
しかし彼女に変化はない。
彼はその場で寝ころび、あくびをする。
「まったく……自我が失うほどのストレスどこで抱えてきたよ……
あと……1分半ぐらいか……」
<1分半後>
彼女は未だに空中で手足を動かしている。
「あれ?時間、間違えたかな?
上からの落下で3分ぐらいで、今のくだりで2分ぐらい。
ごーたすに。5だよなぁ。5分でフードが自動装着されるはずなんだけど……」
彼は立ち上がり、彼女の後ろに回り込みフードの様子を見る。
彼女がいつもしていたフードに特におかしな点は見受けられない。
「フードの外見異常なし!ぶっ壊れたかな!
うん!私が被せてあげよう!」
彼は何故かとても楽しそうであった。
彼がそう言うと彼女は急に手と足で十字の状態になり、頭は動かなくなる。
よく見るとすこし震えており、動こうにも動けないみたいだ。
そして彼は彼女の横から彼女のフードを被せようとする。
が、オオカミの耳ですこし引っかかってしまう。
しかも浮いてるせいで被せづらい。
「あー届かない。もうちょい下げて。」
そう彼が呟くと、
彼女は勢いよく砂浜に突き刺さり、膝まで体が埋まった。
フードポンチョは埋まっておらず、埋まっている部分でめくりあがっている。
そうして彼は彼女に楽々とフードを被せることができた。
「よし、これで止まんなかったらかなりやばい。」
彼がそう言った直後、彼女は膝が動かないまま砂浜に倒れる。
その際フードポンチョが腰の部分まで大きくめくれ上がる。
そして彼女はすーすーと吐息を立て始めた。
「ふふっw態勢がひどいですねぇw」
その様子を見た彼は笑う。指をさしながら。
彼女は青いズボンを履いているのだが、
彼女の腰部分から尻尾が生えており、
その尻尾をフードポンチョで隠すかのように上向きになっていた。
ズボン以外に中に着ている服は見えない。
つまり彼女はフードポンチョを脱ぐと半裸に、
ズボンも脱ぐと全裸になってしまうのだ。
「半裸。全裸には勝てない。」
彼はそんなことをボソッと言う。
しばらく彼女の様子を見て彼はこう言う。
「いやぁ…… しばらく放置しないといけませんからねぇ……
もう一度寝ましょうかね。暇ですし。」
そう言いながらビーチベットに向かい、それの上で寝始めた。
少し大きな足跡の動きは彼女の横で止まっていた。
そしてその付近の砂が少し凹み、
少し大きな手形の砂の跡が近くにできる。
どうやら『見えない何か』は座っているようだ。
まるで彼女を見守るかのように。
次回、繁華街、創視点。
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