魔法という物はテンションが上がる。
コルプスとサラリーマンのテンショウが武器屋の屋根の上を通過。
その通過した際に武器屋の天井から音がした。
武器屋で寝ていた創はその音で目を覚ます。
そして彼女は寝ていたたことに対し少し驚いた。
「ね……寝ちゃってましたか……」
彼女はため息をつき、机の上に置かれたいたボトルを手に取り不安そうな顔をする。
「これ……飲んじゃったけど大丈夫ですかね……」
彼女はこれを飲んだ時のことを思い返す。
確かこれはスポーツドリンクみたいな味だったはず。
飲んだらなぜか爽やかな雰囲気になって、
そのまま眠くなって……眠くなって……?
あと……なにか増えた気がして……
なにかって、なんだろう?
「……ステータスがぁ……増えたんですかね……?」
そう言い彼女はボトルを机に置いてパラメータビジョンを開き、
【能力値】を見てみる。
すると、あるパラメータゲージが52増えていたのが分かった。
その52増えたゲージの名前は【MP】という物だった。
「これは……!魔力ですか!」
MP、つまり魔力。
それを見て創は興奮した。
「魔力……!いいですね!」
語彙力がなくなるぐらい、魔力という物は興奮するものである。
彼女の思っていることをざっくりとまとめるとこう。
『魔力を手に入れた→魔法使える→すごい。』
と、魔力のゲージが増えて静かにテンションが上がる創。
そして彼女は、魔法を使っている自分の姿を妄想し始めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
巨大な赤色のロボットがこの国に攻めてきた。
ロボットにより王国の防壁が壊れ町が火の海に。負傷者も大勢いる。
その大きな脅威に立ち向かう創。
彼女は赤いローブを着て茶色い杖を持って城の展望台で身構えている。
「大丈夫です!私ならあれを止めれます!」
後ろにいるカイングに微笑みながらそう言う。
彼女はいかにもお前に託した、という目で創を見てゆっくり頷く。
その様子を見た創も頷き、巨人の方を睨み杖の先を巨人に向ける。
そして彼女は目をつぶる。
「愁ちゃんが好きだったあの魔法……ここで使いますよ!」
そう言い目をカッ開き、ある呪文を言う。
「ティミオルゴ・テオス!」
その瞬間、杖の先から水色のレーザーが出る。
そのレーザーは赤いロボットの頭を貫く。
攻撃が効いたのか、赤いロボットの体勢が崩れた。
「うぉぉぉぉ!」
創は杖を力ずよく握る。
するとレーザーは太くなり、赤いロボットの胴体を吹き飛ばす。
ロボットは足と手だけを残して崩壊する。
それを見た創は杖の握る力を弱め、
杖から閃光を出すのをやめる。
「ふぅ……やりましたね!」
笑顔でカイングの方を向く彼女。
カイングはそれに対しやさしく微笑む。
その直後、あたりから歓声が聞こえてきた。
歓声を聞いた彼女は、
少し照れながら杖を天に掲げ目をつぶり、
彼女はただただ歓声に浸る。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「えへへ……いいですねぇ……」
彼女はとろけた顔をしながら上を見て妄想に浸っている。
すると、急に控室のドアが勢いよく開く。
彼女はドアの方を見て驚きながら叫ぶ。
そのドアから、店主がよろよろと入ってきた。
そしてその店主はその場で仰向けに倒れてしまう。
「だ、大丈夫ですか店主さん!?」
「大丈夫ですよ……クレーム対応で疲れただけなので……」
「お……お疲れ様です……」
彼女はすこし頭を下げた。
しばらくして。
「あの……見なくてもいいんでちょっと字だけ確認したいんですけど……
ペンと紙をくれませんか……?」
「ペンか……」
店主は懐から現世にあるような普通のボールペンを取り出し創の方に向ける。
「これと、あと壁に貼ってあるメモをどれか適当に取って裏に書いてください……」
「ありがとうございます。」
創は椅子から立ち上がり、店主の持っていたペンを受け取る。
そしてメモがたくさん貼られている壁の前に立つ。
壁に貼られているメモのほとんどが商品の情報が書かれているようで、
商品の名前と値段、そしてその詳細が書かれていた。
だが彼女はメモの内容も見ずに適当に一枚をぺりっと剥がし、机の前に立ちメモをそこに置く。
そして彼女はそのメモを裏返して字を書こうとした時、
それに書かれていたとある文章が目に止まる。
『~を読むと事実上すべての初級魔法が使えるようになる。なおこの~」
(え!?初級魔法すべて!?)
創はそのメモをじっくり見始めた。
『
初級魔法ブック超大全2019
値段:2万7500円(税抜き)
2019年までに使用されている初級魔法150種が記された本。
全256ページ。魔法の名前、呪文、効果、詠唱のコツ、
その魔法の起原、使用例など一つずつ詳しく説明。
この本を読むと事実上すべての初級魔法が使えるようになる。
なおこの本を読む際、幻聴、幻覚が聞こえている症例がある。
この本を売る際は顧客に前もって注意しましょう。 』
「幻聴……!幻覚……!」
そのメモを見てその商品が欲しくなる。
ただ幻聴と幻覚の文字を見て迷う。
それがなかったら創は速攻それを買おうとしている。
「って違う違う。確認しないと……」
創はそのメモを裏返して、先ほど読めなかった字をボールペンで書く。
『委ねる』と。
そしてそのメモを店主の顔の上に見せびらかす。
「この字なんですけど、分かりますか?」
「あー『ゆだねる』ですね……」
世界を……ゆだねる……?
「ゆだねるってどういう意味ですか?」
創はポカーンとしながら店主に問いかける。
「創さん……?まぁいいですけど……」
店主は不思議そうな顔をする。
「何かを任せるっていう意味だったり、
託すっていう意味みたいなものですかね……」
その発言をした直後、彼女の口角が上がる。
「なるほど……世界の危機を……運命をゆだねられたんですね……!」
そして店主に見せたメモを裏返し店主の顔に近づけこう言った。
「この本欲しいんですけど、どこにありますか!」
<>
コンビニ武器屋店内、本置き場にて。
テンションが高い声が聞こえてきた。
「はいはーい!かわいいあなたが探しているものはこちらですよ~!」
その声の主は店主と同じ白と青のシマシマ模様のエプロンを着ている、
茶色い髪のポニーテールの女性店員であった。
その店員の名札を見るに伊佐美 麻央と書かれていた。
麻央は、赤い本の方に手のひらを向け、
創の顔をにっこりと笑いながら見る。
その本はいかにも魔法の本、魔導書であった。
創は照れながら頭を抱える。
「あの……一応聞きますがあなたも転移者でしょうか……」
「ええ!トラックにぶつかりそうな商介を助けようとして
私も巻き添えを喰らいました!」
「いろいろ……散々な目にあいましたね……」
創はうつむきながら辺りを見回す。
武器屋の客をざっと見ると、
やはり転移者と思わしき人物と兵士の姿しか見えない。
転移者の服装はバリエーション豊かで、
よりその辺のコンビニの景色と同じように見えてきた。
兵士と飾られた武器以外を除いて。
「この武器屋って転移者と兵士専用なんですかね……」
「まぁね~この武器屋、何故か転移してきた人と兵士しか見えてないみたい。」
「限定的すぎませんか!?」
創は店員の方を向いてそう言う。
「うーん……そんなこと言われてもそうなってるとしか言いようがないし……
その辺の人を店に引き込もうとしたら空き地じゃないの?
みたいな反応されたし……」
店員は人差し指を顎につけてそう言う。
「兵士と転移者しか見えない……
あれ?じゃぁなんでカイングちゃんこの店の事を知ってたんですかね……?
まぁ兵士から聞けば分かるとは思いますが……
空き地に指さしますかね……普通……?」
彼女は首を傾げ小声でそう言う。
「お客様ぁ?結局この本お買い求めになられるんですかぁ?」
店員は小悪魔的表情で創の顔に近づく。
彼女は急に近づかれビクッとする。
「は、はい!買います!」
創は赤い魔導書を手に取り、内容をパラ見する。
見た感じ内容はさっき見たメモ通り呪文や説明など書かれている。
「まぁ時間もたっぷりありますし、後でじっくりで見ましょう!」
そう言い魔導書を閉じ、それを胸に抱え興奮する。
「あ、麻央さん。ブルーハワイみたいな色をしたポーションってあります?」
店員の方を向くと彼女はスマホをいじっていた。
「oh……スマホゥ……」
創はそれを見て目元をピクピクさせる。
「あの……何でスマホを持っているんです……?」
「ええ?転移ボーナスで持ってきたんです!
これが無いと生きていけませんからねぇ^~」
(転移ボーナス……ロゼさん付けたんですか……)
転移する際に前世の物をどれか一つ持っていくか、
一部能力を向上させる転移ボーナス。
それの有り無しはGWEで変更できる。
いつぞやのロゼとの会話で
『転生者にボーナスつけんなぁ!』
みたいなことを言っていたので創はロゼのその意見を尊重し、
転移ボーナス、転生ボーナスをオフにしていたのだが
何故かそれがオンになっているみたいだ。
なお転生ボーナスも転移ボーナスも大体同じである。
転生で物を持ってく場合、生まれた家の家宝となるだけの事。
(まぁいいですけど……前世の物がなにかによってはとんでもないことに……)
創はそんなことを思いため息をつく。
「ちなみに聞きますが、そのスマホのバッテリーどこで充電するんですか?
この洋風の世界でコンセントもとい充電器はないと思うのですが……」
「充電器あるよ?」
「え。」
店員はエプロンのポケットから、
スマホの充電プラグが伸びている片手の手袋を出す。
「これを付けると自分の魔力を電気に変換して充電されるみたい!
いやぁ~すごいよね~最初はこんなものあるなんて知らなかったんだ~!
この世界は転移してきた人に優しいね!
世界観はさておきだけど!」
「さておきですよほんとに!」
彼女は若干嬉しそうにツッコむ。
「でですよ!ブルーハワイのボトルてどこにありますか?」
「ああ、飲み物売り場にあるよ。」
「分かりました!ありがとうございます!」
店員に礼をし、魔導書を持ち飲み物売り場に向かおうとする。
「おい!さっきのあの子じゃねぇか!」
と、嬉しそうなこえを上げる一人の男性。
すると創にわらわらと転移者の客が寄ってきた。
「へっ!?な、なんですか!?」
彼女は急に寄られ戸惑ってしまう。
「ちょっと君!さっきのジャンプ凄かったよ!」
「あなた凄いですよ!?みんな転移したばかりだって言うのに!?」
「ねぇねぇ。どうやってあんなジャンプでできるのぉ?」
客は彼女を称賛しているようだた。
「ジャンプ!?私そんなことしてませんよ!?」
「またまたぁ、屋根から屋根までぴょーんとしたじゃないか。」
「まさか……ジャンプではなく飛行……!?すげえ!?」
「あ、あの……何をしたか分かりませんが、ありがとうございます……」
彼女はとりあえず感謝をする。
ピロリン♪
「ん?メール……?」
麻央が触っていたスマホに一通のメールが届く。
彼女はそれのメールの内容を見る。
その直後。
「あ”!?あっア”ア”ぁ”!」
「う”っ……う”ぅぅ……」
彼女に寄っていた転移してきた客が頭を抱えもがき苦しみ始めた。
「え!?ど、どうしちゃったんですか!?」
彼女はその様子を見ておろおろする。
「はぁぁい!創さんちょっとおいで~!」
「うわっ!?」
創は麻央に手を引っ張られ、
客の密集から抜け出しレジカウンターまで連れられる。
「あの!あの人達大丈夫ですか!?」
「大丈夫、大丈夫!死んだ恐怖が一気に来ただけ!」
「はい!?」
店員の表情を見ると笑顔であった。
しかしその裏で焦りの表情も見える。
周りを一瞬見回すと寄っていた人だけでなく、
創を除く武器屋にいる全ての客がもがき苦しんでいた。
彼女は現状が理解できず困惑する。
「ほら!とりあえずその本ここに置いて!
ここにあなたが探してたポーションも用意して置いたから!」
レジカウンターに先ほど彼女が飲んだボトルが10本並んでいた。
創は言われるがまま魔導書をカウンターに置く。
そして麻央はレジを操作し、カウンターに魔法陣を展開させた。
「あっ!その本幻聴とか幻覚とか聞こえるらしいけどいいよね!」
「よくはないですけど構いませんよ……?」
「お金ある!?カウンターに適当にお金をばらまいて!」
「ば、ばらまくって……」
創は懐から3万円分の紙幣をだしカウンターに置く。
するとそのお金がぱっと消え、75円分の小銭がぱっと出てきた。
「消費税5%!税務署に直!はい!お買い上げありがとうございましたぁ!」
そう言って高速で茶色い紙袋に10本のボトルと魔導書を入れ創に渡し、
麻央はレジカウンターを飛び越え創の手を掴み武器屋の出入り口を蹴破る。
その蹴破った衝撃で創は少し叫ぶ。
武器屋から出た後、麻央はそのまま彼女を引き連れ城の方向に走り出した。
繁華街では、武器屋にいた客同様、頭を抱えもがき苦しんでいる人が大勢いた。
そうでない人は苦しんでいる人を心配していた。
「あの!本当に今何が起こってるんですか!?」
彼女は慌てながら麻央に聞く。
「話はあとだよー!今は城に急ぐべし!」
「城!?なんで城に!?」
「それもあとでぇ〜今はただ目指すのみ!」
「は、はぁ…」
今何か聞いても答える事はない。
城に向かうと言っていたが
どのみち城に向かう予定だったため問題はない。
とりあえず創はしばらく黙っておくことにした。
そうして、彼女達は繁華街を駆けていった。
次回、ロゼが目を覚まします。




