第53話『蒼天の森』 後書き:MAP
第50話『頂上決戦』でグレムサKに指輪を奪われた後のお話です。
「なんだ、負けちゃったのか! だらしないなぁ」
リディスはテーブルに頬杖をついたまま、わざとらしくため息をついた。
「俺の話、ちゃんと聞いてたか!? 指輪を持って逃げたんだって!!」
俺の脳裏に、グレムサKのお尻と耳障りな笑い声が蘇った。
思わずしっぽがぶわっと膨らむ。
「ん? それって、負けじゃないのか?」
「いや、だから……勝負には勝ってたんだ……」
しおしおと垂れ下がるしっぽを見て、横にいたラースがくるりと回転した。
「決闘の場所を選んだのはグレムサKさんです。
おそらく、最初から逃げるつもりで誘導したのでしょう。
我々は、はめられたのです!」
ラースはぴたりと止まり、身体を明るく明滅させる。
「元気を出してください、クロ。今回は仕方ありませんよ!
大切なのは、ここで学んだことを活かして、同じ失敗を繰り返さないことではないでしょうか」
「……たしかに、そうだよな。
あまりにも馬鹿馬鹿しくて油断していたが、それもヤツの作戦だったのかもしれない。
グレムサK……恐ろしく狡猾なヤツだ。
だが手口は分かった。次は、絶対に勝つ!」
「おお、いい心がけだな! ……で、《灼熱の谷》はどうやって越えるんだ?」
リディスの無邪気なツッコミに、俺とラースは固まった。
その後、《溶光石》の探索に3日、《耐熱の指輪》の作成に5日を費やした。
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リディスに作ってもらった指輪のおかげで、ようやく《灼熱の谷》を抜けることができた。
しばらく進んでいくと、通路の先が明るくなり、広大な森が姿を現した。
木々の間では、青い光が揺れている。
エリアの入り口に《刻印の刻まれた石柱》が二本、道を挟むように立っていた。
ラースが近づき、嬉しそうにくるりと回転する。
「ここが目指していた《蒼天の森》のようです!
そしてこっちは、ゼ……ヴェ……星……超越? かすれて読めませんね」
「ゼヴェ? 相変わらず、よく分からないなぁ──ん?」
足元に微かな振動を感じる。
そう思った瞬間、低い地鳴りと共に周囲がビリビリと揺れる。
グゴゴゴォォォォォ……
「な、なんだっ!?」
思わず身構える。地面が波打つように揺れ、身体がぽよんと跳ねた。
以前遭遇したグラヴォルクが頭をよぎり、《千里眼》と《ウィズセンサー》を発動する。
「と、とりあえず近くにヤバい生物はいないようだ!」
やがて揺れは小さくなり、あたりは静けさを取り戻した。
改めて、周囲の様子を確認する。
エリア中央には巨大な建造物があり、出入口は二つに分かれている。
そして、片側の奥で特殊な魔力の反応がある。
「中央になにかあるな。ラースのパーツかも!」
「先ほどの揺れのこともあります。気をつけて行きましょう、クロ」
森の中を進んでいくと、食用植物の《セイルミント》や《フローネの果実》を発見した。
片っ端から《収納膜》へ放り込んでいると、再び地鳴りが起こった。
グォォゴゴォォォ……
「またか」
「やはり、ここは地震が多いエリアのようですね」
遠くに目をやると、木々の隙間から建造物の壁が見えている。
「しかし、ちゃんと近づいてるのか?
でかすぎて距離感がつかめないんだが……」
「大丈夫です、ここはちょうど中間地点くらいですよ!」
さらに進み、ようやく巨大な壁の下に着いた。
「こりゃ、本当にでかいな」
近づくと、青黒い菱形の金属片が規則的に組み合わさって出来ているのがわかる。
この壁を見ていると、妙に背筋がぞわぞわする。
「人工物でしょうか。この模様、どこかで見た気がします」
「ひょっとして、記憶が戻ってきたのか!?」
「分かりませんが、もう少し観察すれば何か思い出せるかもしれません」
ラースと話していると、建造物の入り口にたどり着いた。
奥は薄暗い洞窟のようになっているが、どこにも危険な生物は見当たらない。
「よし! とりあえず入ってみよう」
内部は緩やかな登りが続き、ところどころに岩や土が堆積している。
「外とは雰囲気が違うな。ラース、何か思い出せそうか?」
「いえ、特に見覚えはないですね」
「うーん、ダメか。……って、あれ?」
話しながら進んでいくと、通路が土砂で塞がれていた。
隙間から向こう側をのぞくと、映像を再生できる《ルーミナ結晶》が落ちている。
「さっき感じた魔力はあれだったのか。
この土砂……《バーストスタンプ》で崩せないかな?」
「ふふふ、クロ。ここは任せてください!」
ラースは淡い光を纏って後ろへ下がり──前方へ向けて勢いよく加速した。
鈍い衝撃音とともに土砂が弾け飛び、道が開ける。
「これぞ必殺、《マシナリークラッシュ》です!」
「おぉ! すごいじゃ……なあっ!!?」
そのとき、低い地鳴りとともに洞窟全体が大きく揺れた。
ゴオオオォォ……
「っ!?」
天井から細かな塵がぱらぱらと降ってくる。
咄嗟に壁に手をつくと、ジュッという音と共に痛みが走り、思わず飛びのく。
「熱っ! なんだこの壁!?」
様子を伺っていると、揺れはすぐに収まった。
警戒しながら《ルーミナ結晶》を手に取り、収納膜にしまう。
……ズズズズ……
突然、洞窟の奥へ向けて、突風が吹き抜けていった。
……ゴゴゴ……
今度は外へ向けて、湿り気を帯びた生温かい風が吹き出してくる。
足元の砂や岩から滴る水滴が、一定のリズムで震えている。
視界の端で、岩壁が不自然に隆起し、また沈み込んだ。
「なにやら、周囲の様子がおかしくないでしょうか!」
「あ、あぁ。なんというか、巨大な生き物の中にいる……ような……?」
「「……まさか!?」」
ラースと同時に叫んだ瞬間、大気が一気に奥へと吸い込まれる。
「うおおっ!?」
全身が引っ張られ、足が地面から浮きかける。
慌てて床に爪を立てるように踏ん張るが、風圧で体がばたついて、制御が利かない。
このままじゃ持っていかれる……ヤバい、ヤバい、ヤバい!
吸い込みがふっと弱まった瞬間、反射的に入口へ向かって駆け出した。
「ラース! 出るぞ!」
「クロ! さきほど見た壁の模様を思い出しました! あれは──」
「分かってる! ともかく、外だ!」
頻繁に起こる地震、遠近感がつかめないほど巨大な構造物、2つの出入口……
バラバラだった情報が一つに繋がっていく。
最後のピースが、かちりとはまった。
星々を消し去る、青黒い鱗の巨影の映像。
ここは《龍の体内》だ!!
背後で異常なエネルギーの収束を感じる!!
俺は必死で地面を蹴り、無我夢中で外へ飛び出す。
瞬間──視界が閃光に包まれた。
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■クロ
身体強化系:《高速木登り》《高速滑空》《千里眼》
便利系:《サーチ》《鑑定》
皮膜系:《収納膜》《防御膜》《隠密膜》
尻尾系:《ファントムテール》《スラッシュテール》
肉球系:《ジャンプスタンプ》《ショックスタンプ》《エアスタンプ》《ヒールスタンプ》《バーストスタンプ》
ヒゲ系:《ウィズセンサー》《ウィズスピア》
Extra:《跳星バースト》
■ラース
スキル:《マシナリードライブ》《マシナリージャンプ》《マシナリークラッシュ》《ウルトラアルティメット・ギャラクシーバースト》
パーツ:《言語パーツ》《通信パーツ》《観測パーツ》《偏重計測パーツ》
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ここまでのエリア構成です
次回2026/7/18、0:10頃、次話を更新予定です




