表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/48

第43話『翼の記憶』

 ******(ラース視点)


 私はアルネの後ろにつき、《樹影(じゅえい)根域(こんいき)》を《マシナリードライブ》で進んでいる。


 ふいに、アルネが口を開いた。


「……そういえば、クロってどんな人なの?」


「クロは、共に危険を乗り越えてきた仲間……そう、相棒です!

 とても、頼りになります!

 ダットさんは、どんな方なんですか?」


 アルネは振り返り、瞳をきらりと光らせた。


「クロと同じかな……ダットも、すごく頼りになるんだよ。

 気弱に見えるけど、本当は誰よりも強いんだ……」


 アルネは胸の前で、包帯を巻いた手首を握り、言葉を続けた。


「私ね、小さい頃、遺跡の奥にこっそり忍び込むことが好きだったんだ。


 そこは巨大な石群がたくさんあって、とてもキレイなんだけど……。

 古くなった遺跡は本当に危険だから、入ることを禁止されてた。


 でも、そんなこと昔はよくわかってなかったんだよね。


 ──描きたい景色があったら止まれなくて」


 ******(回想)


 ある日、遺跡に忍び込んで、壁に絵を描いてたんだ。

 そしたら、突然、頭の上の岩が崩れ落ちてきたの。


 揺れと音に身体がすくんで、はっと見上げた時、巨大な岩が目の前に迫ってた。

 “避けられない”って思って、目をつぶったの。


 そしたら、すごい衝撃音がして、体にびりびりとした感覚だけが伝わってきて。

 恐る恐る目を開けて、上を見たらね。


 岩石は砕け散って、ルーミナ菌がキラキラと舞い散って……そこには“翼”が広がってた。


 その中心にいた人は、そのままふわっと降りてきて。

 振り向いて、すぐにダットだと気付いたよ。


 震えながら私の手を握ってきて。


『ごめん……怖かった……?』って。


 その時にはもう、翼は消えちゃってたけど……胸がぎゅっとして、息が止まるかと思った。


 あれが……“運命”の始まり──


 ******


 アルネは、はにかんだ笑みを浮かべた後、再び前へ歩き出した。


「私は、何をやってもダメだけど……ダットは違うんだ。

 ふだんは隠してるけど、私が本当に困ったとき、翼を広げて駆けつけてくれるの」


 横を歩くアルネの頬は、うっすらと赤い。


「とても素敵な方ですね!

 記憶を封印された後、そんなことがあったんですね……」


「……え? あ……そ、そうなの!

 まだ、こっちの世界へ来たばかりで、記憶が揺れてた頃の話……かな」


 アルネは、歩幅をほんの少し速めた。



 少しずつ、周囲の壁や根に紫色の変色が現れ始めた。


「これは……何かに浸食されているように見えますね」


 アルネは時折、爪を噛みながらつぶやいている。


「……“封印”のひずみが、こんなところまで……?

 そんな……まさか! “闇の氾濫”が近づいているというの……?」



 アルネが、足を止めて小さく息を吸った。


「……ここだね」


 視界の先には巨大な円形の広場が広がっていた。


「あれが私たちの村に繋がる大樹(エルグラシア)の根だよ」


 広場の中央部には、天井から地面へと一本の太い根が貫通している。


 地面と根の接触部に、小さな《銀色の塊》が張り付いていた。

 周囲には、細い紫色の管が網のように広がり、一定の周期で脈打っている。


 アルネは眉をひそめた。


「……あんなの、前はなかった……」


 スケッチブックとペンを取り出しながら続ける。


「“観察”と“記録”が必要だね。ちょっといいかな」


 アルネは、ペンをくるりと回して静止した。


 次の瞬間──ペン先が走り、周囲の構造が描き出されていく。

 流線やスピード線が重なり、脈動までもが正確に再現されていた。


 アルネは腰のバッグから、一枚の紙を取り出す。


「……見て。以前はこうだったの」


 そこには、書きあげた絵と同じ構図で大樹(エルグラシア)の根が描かれていた。

 根は薄青く光り、魔力が上へ巡る様子を見て取れる。


 一方、現在の広場では──根には《銀色の塊》が張り付き、その周囲は汚染され変色している。


 アルネが右目を押さえる。


「くっ……大樹(エルグラシア)の魔力不足、雷角鳥(ラカ)様の衰弱、“影界の封印”の揺らぎ……

 すべては、あの《銀色の塊》が原因ね。

 ……上への道も、浸食された根で塞がれているみたい」



「なるほど……《銀色の塊》を破壊すればいいということですね。


 お任せください! あの程度であれば、容易に粉砕可能です!」


 魔力を全身に纏い、下部パネルを高速で回転させる。

 最高速で《銀色の塊》へ向かって走り出すと、即座にアルネの声が遠ざかった。


「何か様子が……ちょっと待っ──」


 ──その瞬間。


 前方の地面が、ぐぐっと隆起した。


「あっ」


 突然、急角度の上り坂が目の前に現れた。

 止まることも避けることもできず、勢いのまま宙へ放り出される。


「あーーーー!」



 私は、美しい放物線を描いて飛んだ。


 《銀色の塊》を──


 完全に飛び越えて。



「ああっ……これは計算外──!」


 猛烈な勢いで広場の向かいの壁が迫ってくる。


 ドォンッ!!


 衝撃が走り、私は壁にめり込んで停止した。

 細かい破片や砂煙が周囲を覆う。


 アルネが砂埃を払いながら、慌てた様子で駆け寄ってきた。


「ラ、ラース!? だ、大丈夫!?」


「多少驚きましたが、問題はありません」


 私は広場の中央へ視線を向けた。

 地面はなおも隆起と沈降を繰り返している。


 更に周囲の岩盤が寄り集まり、《銀色の塊》を包み込むように盛り上がっていく。


「……なるほど。

 《銀色の塊》が周囲の地面の変動を制御し、身を守っているようです。

 しかし、あれでは攻撃が困難ですね」


「……うーん」


 アルネは外周を見渡し、小さく呟いた。


「……“円環”……“螺旋”……」


 アルネは少し沈黙した後、ぱっと顔を上げた。


「だったら……こういうの、どうかな」


 アルネはニヤリと笑い、腰のバッグからスケッチブックとペンを取り出した。

------------


■クロ

身体強化系:《高速木登り》《高速滑空》《千里眼》

便利系:《サーチ》《鑑定》

皮膜系:《収納膜》《防御膜》《隠密膜》

尻尾系:《ファントムテール》《スラッシュテール》

肉球系:《ジャンプスタンプ》《ショックスタンプ》《エアスタンプ》《ヒールスタンプ》《バーストスタンプ》

ヒゲ系:《ウィズセンサー》《ウィズスピア》


■ラース

スキル:《マシナリードライブ》《マシナリージャンプ》《マシナリークラッシュ》

パーツ:《言語パーツ》《通信パーツ》《観測パーツ》《??パーツ》


---


気に入っていただけましたら、お気に入り登録をお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼ツギクル
★押してもらえると嬉しいです★
(ランキング集計されてるらしいです) ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
ラースのクロへの信頼値がめちゃ高いですね。 微笑ましいです。 (*´ω`*) アルネも一応はダットを信頼している……のかな? ひょっとしてラブコメの波動もあったり? (・–・;)ゞ あぁ! 勢いを…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ