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ストロベリームーンの影 ~B-FLYER 誕生編~  作者: SHIRUSHI08


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8/12

第8話 昼休み

昼の時間になっても三人の時間はまちまちだけれど、業務の合間にサッサと連絡は取りあっている。

まあ、方法はいくらでも。


夜のことも考えて、お昼は近所のうどん屋さんで軽く済ませようってことだけは。

(長引いたりすると一緒にとはいかないからね。)


顧客相手の話だから、延びることなんてままある。

上手な人ならうまくやるみたいだけど、私にはまだそこまでの腕はない。


なので、たいていは水咲さんがお店に先乗りして、場所を取っててくれるので、そこに佳奈と私が合流するってのが主流。

(先輩に場所取りさせてるみたいで、申し訳ないなぁ。)


でも今日はたまたま私が一番乗り。

席を立つ時に二人には『先に行くね。』ってサイン送っておいたから、すぐ来ると思うけど……。


店に入って見回すと、時間が時間だからか、そこそこのお客さんがいて、ちょっと席の確保が難しそうだなと考えながら、とりあえず注文の列に並ぶ。


今日のメニューは釜玉明太入り、これに決めている。

少々のねぎをトッピングして、出汁で頂くのが私流。


ラッキーなことに、注文の品を受け取った私は、偶然見つけた空いたばかりの4人掛けのテーブルを飛びつくように確保。

(何とか抑えた。)


一人で4人掛けテーブルを占拠してるって、傍から見たら嫌なやつだものね。


皆、席は欲しいから、『ここ空いてますか?』と聞いてくるお客さんもいる。

その度に『すみません。連れがありますので。』と断らないといけないのも苦痛だよ。


そう思いながら入り口を見ると、二人が連れ立って入ってくるのが見えて一安心。


少し腰を上げて、ここにいるよ。と二人に見えるように手を振ってアピール。

気付いた二人も軽く手を振り返したのを見て、私は座り直すと箸を手に取って

(いただきます。)

といくらかの麺を口にした。


「けど、なんでもっと早く言わないのよ。」

水咲さんが、持って来たうどんをテーブルに起きながら、佳奈へと口をとがらせながら言う。

「えっ、だって私の誕生日を祝ってよって言ってるみたいで、言いにくかったし……」

そう答えながら佳奈も、席に着く。


そんな二人のやり取りを聞きながら、二人の手元に目が行った。

(ハハ、明太までみんな同じ。) 


ふたりの前には、同じ釜玉明太入りがドンと置かれていた。


「でも結局、そうなった。」

水咲さんは容赦ない。けど、顔は十分笑っているし、当の佳奈も「へへっ」とか何とか上手く流しているし。


「今日言われたから、当然プレゼントなんか用意できないからね。」

『当然でしょ?』と水咲さんは続けるが、私もそれには同意見。


プレゼントしたくても、今日の今日じゃさすがに用意できないし、せっかくだから、佳奈にはしっかり考えて、いいものをプレゼントしたいじゃない。


「ううん。来てもらえるだけで十分」

ゆっくりと首を横に振りながら、佳奈は笑顔を見せる。


そんな佳奈を見て、私と水咲さんはどちらからとなく目を合わせる。

(なんか、いじめ過ぎた?)

水咲さんがそう言っているよう。


「別の日でいいよねプレゼント。忘れた頃になるかも知れんけどね。」

ニヤリと笑いながら水咲さんは佳奈に声を掛ける。


「えー、でも何か悪いし……」


「いいの、いいの。でも私の誕生日覚えといてね。ちょっと先だけど9月7日ね。

念のため言っとくと、おとめ座だから。」


さらに笑みを深めながら水咲さんが佳奈へと念押ししてる。

(私も覚えとかなきゃ、メモメモ…と)


「……その反応、ちょっと、ね。」

水咲さんが佳奈にそう言いながら、最後に私に賛意を求めるように視線が向く。


「いや、意外って言うか……」


「だから、それ。意外ってなーに?」


「いえ、ごめんなさい。なんかイメージ……」

(あちゃ、佳奈、ドツボに入ってるって――)


「イメージって、私のイメージかしら?何かおかしい? どう、美羽?」

水咲さんが話を振る相手に私を選ぶ。


私はうどんを一口すすり終わってから、

「いえ、全然!……微塵も。」

とわざと大仰に答える。


「でしょう?」

よくできましたと言わんばかりに頷いて、再び佳奈へと話しかける。


「佳奈も、今日だと“かに座”ね。――

かに座か。ふ~ん。挟まれないように気を付けよッと。」


「ハハ、ふたりとも、もうその辺にしときません?冷めちゃいますよ。」

私の提案に二人は素直に乗っかかる。


「それはそれとして、少しくらい飲み物とか、食べ物とか買って帰るんでしょ?」

水咲が佳奈に確認する。


「まあ、ある程度ですね。ウーバーとかもありですけど」


「あぁ、確かに楽かもね、それ。」

(ウーバーって便利だけど、ちょっと高いんだよね……)


「どう?美羽」


「はぁ、いいですね。」

おそらく少し引き攣っていたと思う。


次話から少しづつ変わっていきますよ

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