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ストロベリームーンの影 ~B-FLYER 誕生編~  作者: SHIRUSHI08


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7/11

第7話 コールセンター

美羽の職場はカスタマーセンター。職場での一コマです

「美羽、おはよう!」


「おはようございます。三浦さん」


「水咲でいいって言ってるのに。」

ロッカールームで顔を合わせたのは、三浦水咲(みうらみさき)さん。

職場で一番最初に声を掛けてくれた人で私の2年先輩。

結構勢いで押すタイプだと思っている。黙っていれば背も高くて長い髪、服のセンスもおしゃれだし、おそらく何を着てもよく似合う。

静かに立ってるとモデルさんなんだけど、よくしゃべるというかしゃべりすぎるくらい。なので、見た目と実際のギャップが魅力的な人なのかもね。

そんな人に呼び捨てでいいよって言われてもねぇ。


そんな水咲さんつながりで知り合ったのが、私と同時入社の成瀬加奈(なるせかな)さん。

佳奈さんは、もの静かで自分から話すというより、どちらかと言うと聞き上手なタイプかな?なので、水咲さんといいコンビだと思う。


先に出社した水咲さんと二人で飲食コーナーに移動して、始業までの時間を隅の方のテーブルを陣取り、他愛ないことを話しながら時間を潰していると、佳奈さんが飲み物片手にいつも通りに、「おはよー」って少し遅れて合流してきて、少し話したら始業時間なのがいつものパターン。


ただ今日に限って佳奈の出社が早かった。

「え~、佳奈、今日はいつもよりかなり早くない?」

ロッカールームを出て、私達のところに向かっている佳奈を見つけると、さっそく水咲さんが声を掛ける。


「おはようございます。あの……」

何か言いにくいことでもあるのか、佳奈が言い淀んでいるので、

「どうしたの?」って聞いたら

「あっと、実は、言ってなかったですけど、今日は私の誕生日でして……帰って一人でってのも……寂しいのでぇ。」

“今日は”のあとが聞き取れないほどの小さな声になっていたが、私の耳にはしっかりと届く。


「えー、今日誕生日なの。6月生まれとは聞いてたけど――今日なんだ。」

私が驚いたように声を上げるとその横で水咲さんも『うん、うん。』と頷いている。

「そうなんだ、おめでとう。」

「前に言ってくれてたらよかったのに、おめでとう。」

私と水咲さんそれぞれお祝いの言葉を掛ける。


「じゃあ、仕事のあと食事でも行く?そのあと少し――。」

水咲さんは言うと笑みを浮かべながら、手でおちょこを持つような形をとって、顔の前でクイッと飲むようなポーズを取った。

要は飲みに行きますか?と言うわけだが、お酒の好きな先輩である。


その様子を見ていた私は、さっそく頭の中で苦しくなった生活費の計算を始めるが、思いもかけないところから救いの言葉が飛び込んでくる。

「それなんですけど、実は結構大きなケーキとか買っちゃってて、お酒もストックそこそこありますから、良かったら家に来てくれません?」

申し訳なさそうな、その方が助かるんだけど、とどっちとも取れる微妙な表情を浮かべながら佳奈さんが発言した。

(私は大助かり、賛成!)と水咲さんに目をやれば、『え、そうなの?』と楽しみを削がれたような表情を浮かべている。


「えっと、遅くならなければ……いいけど」

薄情なようで申し訳ないが、佳奈さんの家と私の家はほぼ反対方向。

「最悪、泊まってもらってもいいですよ。と言うより、お酒入るし、泊まって。」


(泊まりか……)

ふと揺らぎ始めたけれど、はたと思い当たる。


「いや、同じ服装で次の日も出勤って……」

私が何を言わんとしたのか察した佳奈は、一瞬目を泳がせたが、

「……そうよね。でも、早く動けば時間は結構あるし、早いうちに終われるわよ。」と言う。


「いいんじゃない?別に男のところに行くわけじゃないし。泊りになっても佳奈ん家でしょ?」

水咲さんは事もなげに言うけれど、

「まあ、確かにそうなんですけどね。」と返すしかない私

「決まった。じゃあ、帰りに。」

と言うわけで急遽佳奈の家での誕生日会が行われることになった。

(悪いけどリミットは9時ね。)

そうして一旦その話は終わりになった。


話しも一段落したところで、腕時計を確認すれば10分前

ちょっと早いけど、スタンバイに入るかなと、二人に向いて

「少し早いけど入ります?」と、チラッとセンターの入り口に視線を送った。


「そうします?」

「そうね。」佳奈と水咲さんから返事があった。

「私も資料見ときたかったので。」とそそくさと入り口へと向かった。


自分の席に着くと、昨日からの申し送りや新しい資料に目を通す。

しばらく画面を追いながら読み込んでいく。

あらかた頭に入ったところで、ひと息つく。

ヘッドセットを装着し、笑顔の練習。

相手に顔は見えないが、声の印象が変わるらしい。

次に発声練習。早口言葉も少し。


こうすることによって、ハキハキと明瞭な言葉でお客様に受け答えできるし、聞き違いなど、受け答えにまつわる余計なトラブルを被らないためでもある。

「よーし、では」

肩をグルンとゆっくりと回し終えたら丁度始業時刻となる。


見つめる画面上に『受信中』と表示されると、手元のマウスを操作して『接続』をクリックする。

「はい。お待たせしました。佐伯が担当いたします。本日はどのような……」

今日も一日、お客様との攻防が始まる。

(どうか、カス邪魔ァに出会いませんように。)



上手く描写できてますかねぇ?

次話は職場での昼休憩に起こる話なんですが、・・・

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