訓練 その1
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「ライザン式王国剣術は、守りに主軸を置いた剣術だ。敵の攻撃をかわし、さばき、カウンターの突きで相手と距離を離す。」
父上が基本的な形を披露しながら、勇者に向けて指導を行う。
勇者は父上の動作をまねて動いているが、どこか動作がぎこちない。
「足を開きすぎだ。もっと閉じろ。」
「分かってるって、ゼータ。」
私の言葉に反応して、勇者が体の形を整えるも、まだまだ不格好に見える。
先ほどの手合わせで、ある程度の力量差を感じ取ったのか、勇者は私の言葉にも真面目に耳を貸す。
「もっと体をねじれ。正面を向きすぎだ。」
「何でこんな面倒な態勢になるんだよ!?正面向いていたほうが剣を振りやすいだろ!?」
「敵に対してさらしている体の部位を少なくするためだ。そうすることで敵の攻撃から守る部位が少なくなる。」
「マジで意味あったのかよ!?正論どうもありがとう!!」
形とは、その動作すべてに意味がある。
動作を正しく認識することこそが、形の修行を行う理由なのだ。
勇者はまだ、その意味を理解できていないらしい。
すると、共に訓練を積んでいたビットが、勇者に向けて絡んできた。
「随分へっぴり腰だな。そんなんで理外の獣相手に戦えるのか?」
「くっ、これから上達するんだよ!」
「上達するまで一体どれくらいかかるのかねぇ。俺たちが爺さんになる前には頼みたいところだ。こんな状態なら、小隊長の方がよっぽど勇者・・・。」
「ビット、口を慎め。」
私は、ビットの言葉をさえぎった。
「勇者殿は訓練を始めたばかりだ。大事なのは、必要な時に勇者としての役割を全うできるかどうか。今はまだ、その時ではない。少なくとも、新米騎士程度に動けるようになってから、勇者として活動してもらうことになるだろう。」
「・・・。はっ!失礼しました、勇者殿。」
私の言葉に、ビットが勇者に向けて表面上の謝罪を行う。
昨今の理外の獣の被害を受けて、ビットもぴりついている様だ。
「勇者殿も気負う必要はないが、今は訓練を積んで、戦い方を覚えるのが仕事だ。よろしく頼む。」
「ああ、わかったよ。」
私と勇者は、再び剣の形を繰り返した。体に染みつけるように、何度も。




