慟哭
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「父上!父上!誰か、早く治療を!!」
倒れ込んでいた父上を抱きかかえ、周囲に向かって叫び声を上げる。
周囲にいた騎士が私に近づいてきた。
・・・本当は分かっていたんだ。
「ゼータ小隊長、落ち着いて聞いてください・・・。」
・・・そこから先の言葉は、言わないでくれ。
「・・・騎士団長は、既に亡くなっています。」
腕の力が抜け、父上だったものが再度地面に突っ伏した。
考えがまとまらない。
頬を伝う涙は、荒れ狂う思考を洗い流してはくれなかった。
内に滾る激情を必死に抑え込みながら、最低限の言葉をこぼす。
「何があったんだ・・・。」
「はい、本日未明、不審な物音を聞いた侍女が玉座の間を調べたところ、既にこのような状態になっていたようです。」
哀れみの表情を浮かべる騎士が、私の言葉に反応して説明した。
彼はうつむく私に対して手を差し伸べる。
彼の手を取って、力なく立ち上がると、ようやく周囲の様子が把握できた。
父上は、国王陛下をお守りするように、玉座を背にする形で倒れている。
周囲が荒れているのは、父上が侵入してきた賊とやりあった結果だろう。
私は、小さく息を吸い込み、目の前の騎士に向き合った。
「侵入してきた賊の情報は?」
「国王陛下が、血液でメッセージを残しておりました。『理外の獣』と・・・。」
「他に被害報告は?」
「ありません。人的被害はおろか、部屋が荒らされているのもここだけです。」
頬を伝う涙を拭いながら、私は必死に考えをめぐらす。
「知性を持つ理外の獣が、何らかの目的をもって王都へ侵入してきた可能性が高い。まだ王都へ潜伏している可能性も捨てきれない。ゼータ小隊も、賊の捜索に参加する。」
こうして、王都中の騎士が賊の捜索に乗り出した。
しかし、数日経過しても、なんの手がかりも得ることができなかった。




