真っ赤な装飾
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王城に足を踏み入れると、いつもと違って物々しい雰囲気に包まれていた。
周囲をよく見てみると、いつもより警備が厳重になっているようだ。
私は、近くにいた騎士に声をかける。
「職務中にすまない。今、王都に帰還したのだが、王城で何かあったのだろうか?」
声をかけられた騎士は私に敬礼をすると、困惑したように話始める。
「はっ!詳しい話は伺っておりませんが、何やら城内に賊が侵入したかもしれないとのこと。そのため、警備を増やして対応中となります。」
「そうか、分かった。職務に戻ってくれ。」
私は、騎士の話を聞き終わると、いつも騎士団長がいる指令室に駆け足で向かった。
見慣れた扉の前に立ち、一呼吸おいてノックする。
「騎士団長。ゼータ小隊、ただいま帰還いたしました。」
しばらく待ってみても、返事はなかった。
部屋の中からは、誰かがいるような気配は感じない。
異常事態のため、父上も現場に出ているのだろうか。
仕方なく、耳を澄まして城内の気配を探ってみると、玉座の間付近に複数の人の気配があることに気が付いた。
早く状況を把握せねば。はやる気持ちを押さえて玉座の間へ向かう。
目的地が近づいてくると、現場が異様な空気に包まれていることが分かった。
玉座の間へ続く扉が開きっぱなしになっており、そこから青白い顔をした騎士たちが出入りしている。
国王陛下の謁見であれば、扉は都度閉じられるはずだ。
無礼を承知で玉座の間を覗いてみると、部屋の中が荒らされており、真っ赤な装飾が施されていた。
・・・いや、装飾などではない。玉座の上で力なく倒れている遺体が、現状を嫌というほど突き付けてくる。
「国王陛下!!」
衝撃のあまり、玉座の間に飛び込む。
すると、先ほどまで見えていなかったが、玉座に続くカーペットの真ん中にも、血まみれの遺体が転がっていた。
その顔には、誰よりも見覚えがあった。
「・・・父、上?」
父上のそばには、お土産として渡した鈴が転がっていた。
真っ赤な組みひもは切断され、地に落ちた鈴は何の音も発することはなかった。




