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さっさと世界を救ってこい ~勇者が魔王を倒すまで、人類防衛戦線~  作者: だごみすと


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勇者の説得

ご感想やブックマーク、評価等をありがとうございます!

大変励みになります!

 

 熊型の理外の獣の攻撃で、バリケードにわずかな隙間ができてしまった。

 その隙間から、猿型の理外の獣が集落に侵入してくる。

 舞台は、あっという間に乱戦に移行し始めた。

 状況を察知したムンガが、集落中に向けて叫んだ。


「騎士殿!女子供を連れてユークリードへ!お頼み申す!」


 熊型の理外の獣は、依然バリケードを壊そうと体当たりを続けている。

 これ以上は持ちそうにないと判断した私は、小隊に声をかけた。


「撤退だ!集落の南側からこの戦況を抜け出す!勇者殿、活路を開くぞ!」


 そう言いながら勇者の方に目を向けると、勇者は必死に戦っているムンガに注目していた。

 嫌な予感とは当たるものだ。


「ゼータ、悪い。ちょっと時間をくれ。」


 そう言うや否や、勇者は壊れかけのバリケードに向けて突っ込んでいった。

 穴が開いた両端に手を当てて、全身に青白い光をほとばしらせながら、バリケードを押し込んでいく。


「ぐぬぬぬぬ、こんにゃろー!」


 勇者は、力ずくで理外の獣が侵入してくる穴を塞ぐと、ムンガに向かって大きく吠えた。


「ムンガさん!あんたが大事にしているものは、この土地だけじゃないんだろう?他にも沢山あるはずだ!」


「確かに、この土地に眠る英霊も、私の愛する家族も、大切にしているものは数多くある。しかし、そのどれも捨てきれないから、こうして戦っているんだ!」


「そんな言い方して、あきらめてんじゃねぇ!本当に全部大切なら、全員でこの地に帰ってくるやり方を考えるんだ!」


「ユークリードの民ではない勇者殿に、何が分かる!」


「分からねぇよ!でもな、あんたらがこの地をどれだけ愛しているかは、痛いほど分かったんだよ!その覚悟を無駄にするような蛮行は、見ちゃいられねぇ!」


 勇者の言葉に、ムンガは一瞬たじろいだ。

 しかし、次の瞬間、荒々しい激情にかられた声で怒りを露わにする。


「ならば一体、一体どうすれば良いというのだ!愛するこの土地を、汚れた獣たちに蹂躙されていく様を見てろとでもいうのか!」


「俺たちが力になる!今は難しいけど、力を蓄えて、必ずこの地を取り戻すと約束する!だからその時まで、全員で生きてこの場を切り抜けよう!」


 勇者の言葉に、ムンガは息をのんだ。

 激しい葛藤が彼を襲っていることは、その表情を見れば誰でも分かるだろう。


「勇者殿、約束してくれるか。必ずこの地を開放すると。」


「当たり前だ!一緒に戦った戦友だろう!」


「友か・・・。」


 ムンガはふっと笑うと、表情を引き締めて周囲に声を張り上げた。


「全員撤退!ユークリードへ避難する!」


 勇者の言葉に感化された集落の人々が、すぐさま撤退の準備に取り掛かるのだった。


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