ユークリードの誇り
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集落のバリケードの作成は、勇者の力が大いに役立った。
女神様の加護を使用した馬鹿力で、周囲の木を引き抜いて、そのままバリケードに転用したのだ。
彼の活躍に、集落の者たちも表情が明るくなる。
資材を得た私たちは、集落の者たちと手分けして、北側の防御を手厚くしていった。
そうして、木をくみ上げる作業をしていると、一人で何十人分もの働きをした勇者が、ムンガの近くで休憩しているのが見えた。
「ムンガさん、休憩ついでで申し訳ないんだけど、ちょっとこの土地のこと聞いてもいいか?」
「む、貴殿が勇者殿か。もちろん構わんぞ。勇者殿は、このユークリードの土地が、女神様から賜ったものだという話は聞いているか?」
「あぁ、簡単にだけど。」
「それなら話は早い。理外の獣が現れてから、人類の生活圏はどんどん縮小している。そんな中でも、この地に隣接する森からの恵みが、大陸中の食糧事情を支えているんだ。大飢饉が起こった過去だけでなく、今もなおね。そうしてそれは、今までこの地を守り抜いてきた偉大な先祖たちのおかげでもあるんだ。」
ムンガは、目の前に広がる森を見つめながら、真摯に言葉を紡いでいく。
「私はね、勇者殿。この土地だけを守りたいんじゃない。かつてこの地を愛し、守り抜いてきた英霊たちが眠るこの土地だからこそ、守護していきたいんだ。たとえ理外の獣の群れに襲われようともね。」
うまくは言えないけどと付け加えながら、ムンガは照れたように顔を掻く。
その手は、微かに震えて見えた。
そんなムンガを見て、勇者は口を開いた。
「こっちもうまく言えないけど、なんていうか、ムンガさんってかっこいいな。俺も故郷は好きだけど、ムンガさん程覚悟があるわけではなかったから、尊敬するよ。」
勇者の言葉を聞いて、ムンガは頬をほころばせた。
「あぁ、ありがとう、勇者殿。」




