最北端の集落
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ゼータ小隊は、ユークリードの町が見えるところからさらに北上して、最北端の集落がある場所へとたどり着いた。
集落はあわただしくうごめいているが、戦闘を行っている雰囲気ではないようだ。
集落の中に入っていくと、褐色で筋肉質の男性が声をかけてきた。
「応援に駆けつけてくれて助かったよ騎士殿。私はこの集落の長をしている、ムンガだ。よろしく頼む。」
ムンガが差し出してきた手を取り、挨拶を返す。
「小隊を率いている、ゼータです。集落の中がせわしない様ですが、何をされているのでしょうか。」
「今回の理外の獣の襲撃は、今までのものとは比較にならない。集落の者たちと手分けをして、バリケードを制作しているところだ。悪いが、騎士団の方々にも手伝ってもらいたい。」
生存率を上げる行為は、騎士団としても歓迎するところだ。
私は、深くうなずきながら言葉を続ける。
「それは構わないが、今回の襲撃、防ぎきれるとはとても思えない。早々に退避することをお勧めする。」
私の言葉に、一瞬苦い顔をするムンガだったが、すぐに表情を戻す。
「悔しいが、我々も同じ結論だ。騎士殿に負担をかけてしまって申し訳ないが、もしもの時は女子供を連れてユークリードの町へ逃げてくれないか?」
ムンガの言葉に、今度は私が表情を崩す。
彼らにとって、この地を出ていくことは、相当の覚悟が必要だろう。
今回の襲撃は、それほど深刻に捉えているようだ。
「承知した。貴殿らはどうする?」
「なに、今まで通り、この地を守るために最後まで戦い続けるさ。」
「・・・皆で王都へ避難するという選択肢もあるんだぞ。」
「笑わせるなよ。この地に生れ落ちてから、覚悟はとうにできている。」
ムンガは、獰猛な肉食獣のような笑顔で強がって見せた。
その強さが、私には眩しく見えた。




