ガンズロッドでの報告
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王都に到着して早々、私は騎士団長である父上にガンズロッドでの出来事の報告を行っていた。
「炭鉱夫が消失していた件は、やはり理外の獣が関係していたか。」
予想していたのか、父上は特別驚いたりせずに目の前の書類を処理している。
王都へ避難してきた者たちや、王都へ移住しようとしている人々の対応に追われているようだった。
「はい、鉱山内部、鉱山周辺をくまなく捜索しましたが、最初に遭遇した鉱山の一角のみ、異常なほどの数で理外の獣が群れを成しておりました。また、逃げていった一群を追いかけると、人の言葉を操る理外の獣と遭遇、ジャック殿が切りかかるも、空を飛んで逃げられてしまいました。」
父上の手がピクリと止まる。
目線を書類からこちらに移し、確認をとるように復唱する。
「人の言葉を操る、理外の獣だと?」
「はい、奴は魔王から名前を与えられた、三死獣バードラッドと名乗っておりました。鉱山内でも何かを企んでいた様ですが、しばらく調査をしても異常は見受けられなかったため、帰還してまいりました。」
父上は、こめかみに指をトントンと当てる。
考え事をする際の、父上の癖のようなものだ。
「北の大地が黒い霧に覆われて以降、理外の獣の目撃情報が増える程度で不気味な静けさを発していたが、ここへきて魔王とやらが何かを企んでいることが分かったな。だが、我々のやることは変わらない。理外の獣の被害が大きい場所には避難勧告を出し、王都へ受け入れる。数少ない騎士を分散しないようにして、民を守り続けるのだ。」
父上の言葉に、私は大きく頷いた。
もちろん、父上なら人の言葉を操る理外の獣への警戒も怠ることはないだろう。
「ガンズロッドでの報告は以上です。それで、その・・・。」
「・・・ゼータ、どうした?」
私が歯切れ悪く話すのが珍しいのか、父上が言葉の先を促す。
「その、ガンズロッドで父上にお土産を買ってまいりました。」
私は、懐からガンズロッドの露店で買った鈴を取り出した。
赤い組みひもに括られている鈴が、チリンときれいな音を発する。
父上は、驚いた表情で鈴を手に取る。
「お前から土産を貰うなど、初めてだったか?なんというか、存外にうれしいものだな。」
普段の毅然とした表情の父上とはかけ離れた、朗らかな笑顔に私はほっと胸をなでおろす。
気恥ずかしさはあったが、父上に渡せてよかった。
お土産を買っていこうと言った勇者に、心の中で静かに感謝をささげた。




