王都へ帰還
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勇者の刀を作成してもらった後も、しばらくガンズロッドに残り、異変がないかを探っていた。
鉱山内部だけでなく、鉱山周辺にまで調査の手を延ばしたが、やはり目立った異変は見受けられなかった。
人の言葉を操る理外の獣に、その獣が裏で行っていた何かについて気にはなるが、これ以上時間を無駄にすることはできない。
ゼータ小隊は、ガンズロッドで起こっていた炭鉱夫消失事件を解決したと判断し、王都へ帰還することとなった。
出発の際に、領主であるザラードが見送りに来てくれていた。
「騎士団の皆さま、我が領地の問題を解決していただき、誠にありがとうございました。もし、我々でお力になれることがあれば、何なりとご相談ください。」
朗らかな笑顔を振りまきながら、ザラードは握手を求めてきた。
大量の理外の獣が殲滅され、町の経済の中心である製鉄産業が息を吹き返したのだ。
彼の心中は、ようやく穏やかになったところだろう。
私は、ザラードの手を取って硬い握手を交わす。
「調査にご協力いただけて、こちらも感謝しております。我々が掘り出した鉱石もそこそこの量だったかと思いますので、騎士団へ卸していただける品に関しては、その分差し引いていただけると考えてもよろしいか?」
皮肉のように続けた言葉に、ザラードが手を頭に当てて大げさに反応する。
「ゼータ殿は抜け目ないですな。なに、初めにこちらから言い出したことですから、もちろん勉強させていただきますとも。騎士団長殿にも、よろしくお伝えください。」
ザラードが手を離すと、今度は勇者に対して目線を送る。
勇者が腰に下げている刀に注目しているようだ。
彼は、懐かしそうな顔をしながら、勇者に対して語り掛ける。
「勇者殿、古来から受け継がれてきた刀はお気に召していただけましたかな?理外の獣が現れてから、新たに作られることがなくなってしまい、現存する刀は数えるほどしかないのです。私も、コレクションとして一本保存しておりますが、その程度です。まさか、この時代に勇者殿の武器として一振り作られるとは、夢にも思っていませんでした・・・。」
しみじみと語るザラードに対して、勇者が刀を目の前に持ち上げる。
黒い鞘に収められている美しい刀身が、頭の中に蘇るようだった。
勇者は、刀身を見せつけるように刀の鍔を軽く押し上げると、口を開いた。
「これ以上ないって程、気に入りました。この刀があれば、どれほどの理外の獣に囲まれても、一緒に切り抜けられる気がします。いい親方を紹介してもらい、ありがとうございました!」
勇者の言葉に、満足そうに頷くザラード。
自分の治める町から、歴史に名を残すような武器が作られて嬉しそうだ。
彼は、勇者の姿を目に焼き付け終わると、再度こちらに向き直る。
「では、騎士団の皆さま。王都へ向かう道中もお気をつけて。」
「ザラード殿もお元気で。」
手を振るガンズロッドの町の人々を背に、私たちは王都へ向けて歩き出す。
今回の遠征で、勇者は己の武器を得た。
それは、今後理外の獣や魔王と戦う中で、強い助けとなるだろう。
一歩ずつ、明るい未来に向けて歩いている、そんな気がした。




