お土産
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刀を作成してもらってから数日、その刀をしまうための鞘をこしらえてもらって、ご満悦の勇者とともに町へ繰り出していた。
今日は鉱山の見回り組から外れた休みの日だが、勇者殿はいったい何をしに行くのだろうか。
疑問に思う私に気が付いたのか、勇者が口を開く。
「いやぁ、俺ガンズロッドに来るの初めてだからさ、観光がてら両親とか世話になった人たちにお土産でも買っていこうかなって思ってさ。」
能天気な勇者の様子にため息をつく。
非番とはいえ、任務でガンズロッドに訪れているのだ。
気を引き締めてもらわないと困る。
「今日は非番ゆえ多くは言わんが、もう少し緊張感を持ってもらいたいものだな、勇者殿。」
そんな私の言葉に、勇者はおどけたように言葉を続ける。
「まぁ、鉱山の異変のことも、俺の武器のことも解決したしこれくらいはいいだろう?ゼータも、両親とかに何か買っていかないのか?」
無邪気な勇者の言葉に、一瞬言葉を詰まらせる。
彼に悪意がないのは分かっている。
「・・・父上はともかく、私の母は物心つく前に亡くなっている。」
「・・・知らなかったとはいえ、悪かった。」
申し訳なさそうな表情をする勇者に、私は肩をすくめて気にしていないというポーズをとる。
実際、私の記憶に母の面影は残っていない。
それに、感傷に浸る前に、理外の獣との命のやり取りで、日常が一杯一杯だった。
現在、生きている中で血がつながっているのは、父上のみだ。
そう考えると、勇者のように感謝を形にするのも悪くないように思えた。
「・・・これをくれ。」
私は、露店に売っていた小さな鈴を手に取った。
赤い組みひもに括りつけられた小さな鈴は、涼し気な音色を響かせている。
「お、お土産か?」
店主が勘定をしている間、勇者が冷やかしにやってくる。
「あぁ、気が変わった。父上に買っていこうかと思ってな。」
「へぇ、意外だな。でもいいじゃん、そういうのも。」
勇者がにへらとだらしない顔で笑う。
不思議と、私も悪い気はしなかった。




