【Side 勇者】独断専行
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「小隊長!民間人の子供が、理外の獣から逃れるために、近くの森の中へ逃げて行ってしまったそうです!」
「まずいな、この辺りは理外の獣の目撃情報が多い。何匹かいる可能性が・・・。勇者殿、先走るな!」
ラビ姉の言葉を聞いて、俺は森の中へ向かって駆けだした。
一般人の子供が危険な目にあっているかもしれない。
そう思うと居ても立っても居られなくなり、ゼータの制止を振り切って全速力で進む。
後から思い返せば、人にはできないことをやり遂げた高揚感から、自分には物事を解決できる力があるのだと、誤解していたのかもしれない。
「助けに来たぞー!!いたら返事をしてくれー!!」
草木をかき分けて、必死に捜索していると、木の幹に寄りかかって震えている子供を発見した。
「大丈夫か?集落に現れた理外の獣は、俺が倒した。さぁ、皆のもとへ帰ろう。」
できるだけ優しく声をかけていると、周囲の草むらがガサガサと音を立てて揺れた。
注意深く観察していると、黒い煙を纏った理外の獣が3匹、こちらに襲い掛からんと体勢を整えている最中だった。
「・・・!? 逃げろ!!」
俺はあらん限りの大声で叫ぶと、襲い掛かってきた理外の獣に向けて剣を引き抜く。
狼型の理外の獣2匹と、山猫型の1匹が、同時にこちらに襲い掛かる。
俺は、地面に転がって回避すると、続けざまに剣を振り抜いた。
破れかぶれの俺の攻撃をひらりと躱した獣が、隙だらけの俺の腕に噛みつこうとしてきた。
喰われる、そう思った時、視界外から剣先が延びてきて、理外の獣を吹き飛ばした。
「勇者殿、貴殿は一つ勘違いをしている。」
「ゼータ!!」
いつも通り仏頂面のゼータが、俺と理外の獣の間に割り込んだ。




