初陣
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さらに数日北上して、目的の集落が見える位置まで迫っていた。
目的地が見え、緊張の糸が解けそうになった時、集落から耳をつんざくような鐘の音が聞こえてきた。
理外の獣が町に現れた時の合図だ!
「ラビー!小隊を連れて民間人の保護に当たれ!勇者殿とビット、トレモロは私に続け!理外の獣との戦闘に入る!」
大声で小隊へ指示を出し、飛ぶような速度で集落へ近づく。
出入り口付近には、逃げ惑う民たちがごった返していた。
「ライザン王国の騎士だ!通してもらおう!」
強引に集落に侵入すると、集落の中心で広場になっている場所に、この地域で巡回中だったであろう騎士と理外の獣が戦闘を行っていた。
狼型の理外の獣は、体中に黒い煙を纏っており、口元が赤く塗れていた。
戦闘中の騎士は、利き腕を負傷しているように見える。
「ゼータ小隊だ!助太刀する!」
「!? 頼む!!」
負傷した騎士と入れ替わるように、理外の獣の前に躍り出る。
すると、後ろの騎士もろとも屠り去ろうとでもいうように、理外の獣がその大きな爪を振り回した。
「うおぉぉぉお!」
私は、無理やりその懐に入り、渾身の刺突を行う。
理外の獣は弾かれたかのように、後方に吹き飛んだ。それでも・・・。
「あんな刺突を受けて、傷一つないのか・・・。」
「それが理外の獣だ、勇者殿。」
剣を振りながら、ひきつった表情の勇者に声をかける。
「さて、ここからが勇者殿の仕事だ。守りは私たち騎士が行う。勇者殿は隙をついて、理外の獣に攻撃を加えてくれ。」
「了解!」
こちらの様子を伺っていた理外の獣が、再び私に突進してくる。
そいつの頭に剣を添えて、後方へと力を逃がすように受け流す。
待ち構えていたトレモロが、渾身の突きで勇者の目の前へ理外の獣を吹き飛ばす。
「くらえ!」
勇者が首元へ斬撃を放つも、剣先は理外の獣に食い込まなかった。
「女神様の加護を使え!」
私の言葉に思い出したかのように、全身が青白い光に包まれた勇者は、その勢いのまま剣を理外の獣に突き立てる。
ズブリ・・・!
今まで何物にも傷つけることができなかった理外の獣が、赤黒い血をまき散らしながら息絶えた。
「「「ウォーー!!勇者殿、万歳!!ライザン王国、万歳!!」」」
その姿を見ていた騎士たちが、一斉に声を上げる。
偉業を成し遂げた当の勇者は、手に残る感触を確かめるように手を握っている。
そこに、民間人を守っていたラビーが報告に来た。
「小隊長!民間人の子供が、理外の獣から逃れるために、近くの森の中へ逃げて行ってしまったそうです!」
「まずいな、この辺りは理外の獣の目撃情報が多い。何匹かいる可能性が・・・。勇者殿、先走るな!」
ラビーの報告を聞いた勇者が、一人森の中へ走って行ってしまった。




