遠征の道中
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「北上するにつれて、目に見えて人里が減っていくんだな。」
目的の集落への移動時、興味深そうにきょろきょろと辺りを見渡していた勇者が、野営中に声をかけてきた。
「白い霧に覆われていた、北の大地に溢れているとされている、理外の獣の影響だ。早い段階で王都への移住を決意した者たちも多い。特に現在では、霧が黒色に変色して以来、理外の獣の目撃情報が多発している。もはや、人が住める土地ではなくなってきているのかも知れん。」
「そっか・・・。早いとこ解決して、故郷に返してあげたいな。」
私の説明を聞いて、勇者が未来に思いをはせる。
「それは、勇者殿の腕にかかっているな。」
「へいへい、きびきびと頑張りますよっと。それで、今晩の夜食も、あのかったい携帯食料なんだよな?」
「当然だ。人が持ち運べる荷物量には限界がある。効率よくエネルギーを補給し、日持ちもする携帯食料が、遠征時の我々の食事となる。」
「うぇへぇ・・・。王都を出てから何度も食べてるけど、あの硬さにはなかなか慣れないんだよなぁ。ゼータは美味しいと思ってるのか?」
「・・・。必要な措置だと理解している。」
「やっぱり、ゼータも美味しくないと思ってたんだな!」
返答に困った私を見て、勇者はころころと笑う。
「俺の故郷のシルフィーナは海に面してるから、漁業が盛んでな。うまい魚介類がたくさんあるんだ。ぜひ、騎士の皆に食べてもらいたいね。」
「・・・大陸が平和になった暁には、そうなる日を望んでも良いだろうな。」
私は、いつか来るであろう平和な日常を夢見て、勇者の言葉に反応した。




