遠征
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「本日付で、正式に勇者殿がゼータ小隊に加わることとなった。」
「エースです。よろしくお願いいたします。」
勇者がゼータ小隊の数十人に向かって頭を下げる。
既に訓練で面識のあるビットが、勇者に声をかける。
「勇者殿、最初に比べたら随分と精悍な顔つきになったみたいだな。よろしく頼むよ。」
「はい、よろしくお願いします。」
ビットと勇者ががっちりと握手を交わす。
「この小隊には、シルフィーナ出身の者もいる。分からないことがあれば、その者に聞くのも良いだろう。ラビー!」
「・・・えっ?」
私が小隊の一人を呼ぼうとすると、勇者が疑問の声を上げた。
その理由はすぐにわかることになる。
「えっ君久しぶり!まさか小さかったあの子が勇者になるとは。」
「げっ!ラビ姉だ!」
「げって何よ。久しぶりに会う幼馴染にそれはひどくないかしら?」
「お前たち、知り合いか?」
二人の様子を見て、口をはさむ。
「はい、小隊長。シルフィーナの町で、子供のころよく遊んでいました。」
「遊ばれていた、の間違いでは?」
勇者が情けない表情で愚痴をこぼす。
「そうか、顔見知りなら話は早い。ラビー、騎士団のことを勇者殿に叩き込んでおくように。」
「承知しました!」
「俺に拒否権はないのか!?」
頭を抱える勇者を放っておいて、小隊に向けて次の任務を告げる。
「我々ゼータ小隊は、理外の獣の目撃情報が多発している、北の集落へ向かう。現地で作業を行っている騎士団に合流し、民の避難をサポートする。また、作戦中、理外の獣が現れた場合、勇者とともにこれを討伐する。質問があるやつは居るか?」
小隊全員を見渡し、無言の同意を確認する。
「よろしい、では目的地に向けて、出発する。」
私たちは、北の大地に向けて遠征を開始した。




