手合わせ
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「はっ!」
勇者が打ち込んでくる訓練用の模造刀を、私はバックステップで躱す。
今日は勇者と久しぶりの手合わせを行っている。
出会った当初に比べれば、多少は見ることができる動きをしている。
私は、試すように勇者の顔面に向けて剣による刺突を放った。
勇者は驚きながら丁寧に剣を合わせて、こちらの攻撃を受け流す。
そのままこちらの様子を伺おうとする勇者に対して、流された剣をコンパクトに引き寄せながら、斜めに切りつける。
勇者は反応できずに、模造刀の刃をもろに受けてしまった。
「ぐぇっ!?」
「足を止めるな。敵は待ってくれないぞ。」
勇者に対して、冷静に指導を行う。
私の言葉を聞いた勇者が、左右にステップを踏みながら連撃を放つ。
相手のリーチを見切って、スウェーで躱すと、剣の打ち終わりを狙って思い切り模造刀を振り抜いた。
キィィー・・・ン!
勇者の手から刀が離れ、地面に突き刺さる。
無手になった勇者に対して、私は剣を突き付けた。
「また一本だ。女神様の加護がない状態なら、新米騎士くらいの実力にはなったか?」
「・・・はぁ、はぁ。それは褒めているのか?」
「もちろんだ。」
勇者には女神様の加護の力で、尋常ならざる怪力を発揮する術がある。
それは、彼にしかない大きな強みだろう。
「とはいえ、まだまだ精進は必要だがな。」
「へいへい。ゼータ様の言う通りですよ・・・。」
勇者が肩を落として、がっくりとうなだれている。
しかし、勇者も騎士の動きを理解しつつあるようだ。
騎士同士の連携が必要な理外の獣戦において、仲間の動きが分かっているほど戦いやすくなる。
「そろそろ、現場に出てもらう頃合いか?」
私は、誰に言うでもなく、ポツリとつぶやいた。




