理外の獣の目撃情報
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私は、目の前の報告書に目を通して顔をしかめた。
年々、理外の獣の目撃情報が増してきている。
特に、豊かな森に囲まれた東の町、ユークリードの症例が顕著だ。
大陸各地に騎士団を派遣し、見回りを続けているが、それだけでは手が回らないことが多い。
可能ならば、危険な土地からは退去して、王都に移住してもらう方が望ましい。
しかし、王都から再三避難勧告を通知しているが、ユークリードの土地に住む人々は、断固として移住を認めようとしない。
それには、歴史的な背景があることは分かっていた。
ユークリードの土地は、かつてこの大陸で大飢饉が起きた時、女神様が慈悲を賜った土地と言われている。
その証拠に、ユークリードでしか見ることのできない動植物が数多く存在している。
そのような土地柄か、ユークリードの民は女神様に対する信仰とともに、土地に対する信仰にも厚い者が多い。
どれほど理外の獣の被害が増えようとも、女神様から賜った土地を捨てるとは何事かと、強い憤慨をあらわに抗議を受けたことは数知れない。
幸い、豊かな森の恵みで満足しているのか、理外の獣の目撃情報に比べて、それに対する被害は少ない。
とはいえ、徐々に数を増やしていると見られる理外の獣相手に、このままでいることは、致命的な間違いを侵すことになるかもしれない。
再度、避難勧告の通知を送るか?
ユークリード側の意向を無視して通知を送り続けて早数年。
そのたびに関係が悪くなるユークリードに対して、私はため息をついた。




