実験 その1
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今日は、勇者が賜った女神様の加護の訓練を行う日だ。
城内の皆が興味深そうに、勇者に目線を送っている。
「やぁやぁ勇者殿。私は女神様の加護について研究している、ルーシーというものだ。どうぞ良しなに!」
勇者と握手した手をぶんぶんと振りながら、白衣を着た女性が挨拶をする。
長い茶髪を無造作に下ろしている彼女は、普段は女神様の加護の研究を専門としている。
今回、彼女が理外の獣対策に抜擢された。
「いやぁ、私が生きている間に、実際に女神様の加護を見ることができるとはね!生きてきたかいがあったものだよ!さぁ、ずいっと、ずずずいっと見せてくれ!」
「は、はぁ・・・。」
テンションの高いルーシーに促され、国王陛下の謁見で見せた時と同じように、全身に青白い光を纏う勇者。
その姿を見て、ルーシーは目を輝かせる。
「ほうほう、これが女神様の加護ですか!なんとも神々しいお姿!この状態になると、身体能力が大きく向上するのですよね?」
「ああ、普段はできないようなことも、できるようになる。」
「普段はできないようなこと!?具体的には?空を飛んだりですか?」
「え、いやぁ、それは試したことはないけど、多分無理かも・・・。金属を捻じ曲げるくらいしかやったことないかも。」
興味津々なルーシーにたじろぐ勇者。
彼女は気にせずに、ポンポンと言葉を投げかける。
「なんと、それはもったいない!今後は色々と試していきましょう!そういえば、勇者様がその姿になったくらいから、教会にいるような実にすがすがしい気持ちになった気がします!ひょっとして浄化作用などもあるのでは・・・。」
「ルーシー殿、それくらいにしてくれ。今回の目的はこれだろう。」
暴走気味のルーシーを静止して、私は勇者に真剣を手渡した。
「剣に女神様の加護を乗せられれば、理外の獣討伐に大きく貢献するだろう。加護が持続するようなことがあれば、勇者以外にも理外の獣を討てる可能性がある。」
「剣に女神様の加護を注ぐ感じでやればいいか?ちょっと待ってろ・・・。」
勇者が剣を手に持って、静かに目を閉じる。体を覆っていた青白い光が、手から剣に移動していく。
バキッ!
次の瞬間、頑丈な剣がばらばらに砕けてしまった。
「そう簡単にはいかないか・・・。」
砕けた剣を見つめながら、私は静かにつぶやいた。
理外の獣対策、その第一歩は不発に終わってしまった。




