訓練 その3
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翌日、訓練場に向かうと、既に勇者とジャックがそろって待っていた。
なぜか勇者は、昨日の訓練の終わりよりも、くたびれているように見える。
すると、ジャックが昨日と同じように不機嫌そうに口を開いた。
「形なんか気にせずに全力で剣を振れ。以上。」
踵を返したジャックの肩に、勇者が手を置いて引き留める。
苛立たし気なジャックが振り返ると、どすの利いた声で勇者に喋りかけた。
「・・・。おい何の真似だ。さっさと素振りに取り掛かれ。」
「・・・124回。」
「あぁ?」
「124回が俺の限界でした。」
勇者の言葉に、私は感心した。
どうやら勇者は、夜通し剣を振っていたようだ。
ジャックが真剣な顔になり、口を開く。
「手を見せてみろ。」
ジャックの肩に手を置いていた勇者は、その手のひらを彼に見せる。
勇者の手のひらは、皮がズル剥けになり、赤く血がにじんでいた。
その様子を見て、ジャックはにやりと笑う。
「ほぅ。少しは根性見せたじゃねぇか。」
「・・・これで貴重な一日分、取り返しましたよね?」
「こいつ、生意気言いやがる!」
カカカとジャックは笑い声をあげる。
ひとしきり笑い終わると、ジャックは剣を引き抜いた。
「前言撤回。今日は俺の攻撃から身を守ってみろ。躱すなり、剣で受けるなり何でも構わん。」
「ちょ、俺、剣を持つのも痛いんだけど!」
「問答無用!日が暮れるまで続けたら、最後は昨日と同じように全力で剣を振るように!124回を下回ったらぶっ飛ばす!」
「このおっさん、鬼だ!!」
勇者が泣き叫びながら逃げ惑う。
「おら、勇者の小僧だけじゃ物足りねぇ。騎士団長の息子とやらもこっちにこいや!」
「・・・。胸を借りるつもりでやらせてもらう。」
父上が刃を交えて、その実力を評価した相手だ。私も油断せずに襟元を正す。
その日、私は勇者とともにめちゃくちゃにしごかれることとなった。




