追跡
「ドールちゃん……ヤスデが、カルボ島の、ある一点に止まったよ」
コヨーテがそう言って、私を起こしてきた。
ヤスデを追い始めてから五日、遂にヤスデを追える。
「……なるほど」
深夜四時、ヤスデの行方を追っていたコヨーテ、当番制であり、本来なら五時で私に交代予定だったのだが、方針が決まった。
「えっと、カルボ島の中央部分で……赤色が薄くなってる?」
「地下に潜っている証拠です。もう少し様子を見ても良いとは思いますが、とりあえずカルボ島に向かいましょう」
「うん」
私の言葉にコヨーテが頷く。
隣でぐっすり寝ているジャッカルとウルフを起こして、私はカルボ島に向かうための飛行機を手配した。
「うーん、行くのー?」
「はい。カルボ島で偵察をします」
「わかった」
寝起きのジャッカルとウルフだが、すぐに準備を終えた。
出発だ、カルボ島へ行くために、まずは空港へ向かう必要がある。
「さっきまで慎重だった気がするが、急に大胆になったな」
「地下深くに潜っている様子でしたので、あそこが本拠地だと考えてよろしいかと」
「理解した」
疑念を向けてくるジャッカルに、自分の考えを述べる。
期限が迫っている中、慎重に行動しすぎて機会を逃さないように、確実に仕留めなければならない。対象を抹殺するという行為も同様で、相手の行動をしっかりと見極めていきたい。
「本当に大丈夫なのかな」
「コヨーテには何か懸念があるのー?」
「そ、その……何でもないよ」
「言ってよー、気になるなー」
「えっと……」
「何か気になる事があるなら、言ってください」
何かを言い渋っているコヨーテを催促する。
「そうだぞ。何か思った事があったら言う、それが鉄則だろ?」
ジャッカルも同意した。
「あー、その……」
「早く言いなさいよー」
「うぅ……あの人、怖くて」
瞳に涙を浮かべながら、コヨーテは言葉を絞り出した。
「怖いー? この間会ったときはそんな素振りなかったでしょー」
「その、怖い夢を見て……」
目を閉じて、頭を抱えているコヨーテ。よく見ると、鳥肌が立っている。
余程ぞっとする思いをしたらしい。どんな夢か連想する事ができないが、恐怖を感じている事だけは伝わってくる。
「どうして言ってくれなかったのさー?」
「ご、ごめんね……」
ムッとした表情のウルフに、コヨーテは申し訳なさそうに肩をすくめた。
「まあ良いだろ。何か事情があったんだろうし」
「……まあ、そういう事にしておくよー」
「ウルフちゃん……」
こういう時でも本名を呼ばない特殊部隊の一員を誇りに思う。
「出発します」
「わかった」
「はーい」
「う、うん」
私の掛け声に、メンバーは三人三色で頷いた。
◇◇◇◇◇
「空港って広いよねー」
「何を今更」
ウルフの呟きに、ジャッカルが返す。
空港というのは、よく利用する。エディアカラ諸島に向かう他に、任務の遂行場所に向かう時に公共交通機関を利用して移動するのだが、上が出してくれるのはお金だけで、プライベートジェットのような交通手段は用意してくれない。
「空港は人が多いから、やっぱり苦手……」
「あそこに高身長白人男性がいるー」
「勇気出して話しかけてくるね!」
「やめてください」
「はい……」
興奮気味に足を運ぼうとしたコヨーテを引き留めた。不満そうにしながらも、彼女は座ってくれる。
席に座って大人しく待っている間、私は隊員達の足枷を担当する。広い空港の搭乗待合室、四つの椅子が並んだ所に座って、待機している必要がある。ウルフが指を差した白人男性というのは、席を立ってこちらの方に向いていた。先程のロビーには人がたくさんいたが、ここにはそんなにいない。
カルボ島に向かうためのフライト、利用者は少なく、その男性も向かうという事になるのだが、今日の乗客は私達とあの男性だけだ。目的地を同じとする人がいる事に驚いている様子で、監視されていると勘違いするくらいには凝視されている。
「カルボ島なんて、ほとんどの人がいかない所に用があるって事だよな。やっぱり自然観察とかか?」
「偵察とかもあるよねー」
「何を偵察するんだよ」
「この子が知ってるってー」
「知らないよ!」
私の左隣に座っているコヨーテが小さい声で吠えた。さながら子犬みたいな彼女に、愛おしさを覚える。
「ふーむ……」
白人男性……にしては白過ぎるような。短く黒い髪は、カツラだと言わんばかりに違和感がある。それに、夏なのに厚着であり、極寒の冬にしか着ないようなジャンパー、ふかふかしてそうなズボン、首を覆い隠すマフラー、そして違和感がある髪を隠す意図がありそうなニット帽……真っ黒なサングラスと真っ白な紙マスク。身長が二メートルくらいあり、横目で見ていてもその高さが伝わってくる。
この世界に似つかないような様相をしているからか、相手はこちらを睨みつけているように見えてきた。
「どうかしたのか?」
「……いえ、何でもありません」
私の反対側に座っているジャッカルに心配されたが、それを否定する。
忌々しい目が黙る。何かを訴えてこないし、心配する必要は何もない。
「あんた、リーダーの事が好き過ぎるんじゃなーい?」
「別に良いだろ」
「かわいいね、ジャッカルちゃん」
「どういう意味だそれ」
「ふふ、相棒ですから」
「……まあ、否定はしないでおく」
頬を赤らめながら、ジャッカルは目を逸らした。
「……」
◇◇◇◇◇
飛行機のフライトというのは、あんまり好きではない。
小さい旅客機、収容人数が八人程度であり、私は廊下側の席に座る。その隣、窓側の席に座るのは決まってドールだ。通り道を介して反対側に座っているオオカミ小隊の黒人どもは、気分で席を変えている。
空というのは、本当だったら届く事がないはずの頂であり、意図も容易く来れて良い場所なはずがない。
「あの」
冷ややかとも、熱いとも言えない、友達に話しかける時のような、同胞を見つけたスズメみたいな好奇心を含んだ声。
それに惹きつけられるように、
「どうした?」
無意識で声を発した。
「もし任務を終えたら、クワガタ採集でもやりましょう」
「良いけど、急だな」
「カルボ島、事前に調べていたのですが、昼行性のクワガタがいるようです」
「ノコギリクワガタとかか?」
「いえ、ミヤマクワガタ系統らしいですね。カルボ島というのは、年間を通して涼しいらしいですし」
「標高はそんなに高くないと思うんだが」
ミヤマクワガタといえば、本当に自然が豊かな場所でないと見かけない奴だ。
森林、その奥地にしか存在できないのであろう、テロムでは北側のローラシア地方でしか確認されていない。南側のゴンドワナ地方は草原生態系が中心であるので、そもそも森林性の奴らが少ないのだが。
カルボ島は、赤道の延長線上にある。それなのに、不思議なものだ。
「おそらく、ローラシア地方で起こった巨大台風によって、この島に運ばれたという情報がありました」
「そうか」
「人類がまだ足を踏み入れていない地、そこにいたかもしれないクワガタです」
「ほほう」
得意気に、ドールは息まいた。
「エディアカラ諸島、カルボ島……これらは、ローラシアの巨大森林について、謎を解明するルーツになり得るらしいです」
「島に辿り着いた虫を調べて、本土の生態系を推測するってのか?」
「そこまではわかりませんでした」
会話を途切れさせないためだろう、ドールは「えっと、えっと……」などと唸っている。
飛行機の中でくらいゆっくりしたい――あけすけに自分の気持ちを言っても良いのかもしれないが、ここは助け船を出してやる事にした。
「カルボ島はあまり詳しくないが、エディアカラ諸島にはあまりカブトムシはいない。なぜだかわかるか?」
「それは……」
「仮説としてあるのは、本土のカブトムシは生体重が重い種類が多く、風に飛ばされにくい。台風の規模はわからないが、生体重が軽い方の、体サイズが小さいクワガタなどの昆虫が、飛ばされた結果流れ着いた、というのがある。他には、カブトムシの幼虫は基本的におがくずなどしか食べないが、クワガタの幼虫は腐った木を食べる事が多くて、それが飛ばされた結果、島に定着したっていう説だ」
話のネタを考えさせるために、あえて長話をした。
言っていてアレだが、これは私の思いつきだ。実際に、木に産卵して、そのまま木を食べるカブトムシの幼虫もいる訳だし、体重差に起因して風に飛ばされるっていうのも、凄まじい規模であったらしい台風を考えれば、あまり違いはない気もする。
実はまだ見つかっていないだけで、「カブトムシがいました」なんてなる可能性は十分にある。
「……」
しかし、ドールは黙り込んでしまった。
話のネタを提供してもらうどころか、逆に私の言った事をまともに受けて思考の沼にハマってしまったらしい。全く、らしいと言えば聞こえが良いが、会話をしたいのなら改善してもらいたいものだ。
「おい」
「……はい?」
「お前は、話を変えようって思わないのか?」
「でも、せっかくあなたが話題を出してくれたのに……」
「そういうところだぞ」
鋭い指摘に恐れをなしたのか、ドールは唸る。
至極残念そうに、悔しそうに、私を見つめ返すリーダーだが、それは助けを求めている証拠だ。
「……んで、クワガタ採集の話に戻るぞ」
「……はい」
会話が下手な友達と、飛行機の中で会話をしていた。
「……」
◇◇◇◇◇
「ねえねえ」
「何ー?」
「任務が終わったらここで昆虫採集しよう。ヒメマルカツオブシムシの幼虫を捕まえたい」
「ダルいからやだー」
「一緒に来てくれないなら幼虫を服に放つからね」
「はぁ……」
気怠く、ルカちゃんが言う。
コードネームがウルフ、本名が早谷瑠香であるわたしの幼馴染。任務中とか、プライベートではあまり本名では呼ばなくなったけれど、里帰りとか二人きりのオフの日とか、そういう時に限ってはルカちゃんって呼ぶし、ルナって呼ばれる。
「来てね、約束だから」
「約束って、あんたが勝手に決めただけなんだけど」
本当に、ルカちゃんは気乗りしていない。
どれだけ嫌なんだろう。いや、ただめんどくさいだけ。こういう時は、押すに限る。幼馴染の性格は、よく知ってるから。
「そっちだって、わたしを良いように使ってるくせに」
「わかったから、行くから」
観念したように、ルカちゃんが手を挙げた。
断ってもお気に入りの衣服を食べる幼虫を放たれるし、わたしに粘着される事をわかっている。子どもの時にそれをやって、泣かれた。
「ホント、好きだよねー」
「約束を守ってくれるからね」
「アタシも最近は約束を守っているはずなんだけどー?」
「条件付きでしょ。あの子たちは条件なしに守ってくれるから」
わたしは、約束を破る人が嫌いだ。ルカちゃんは、昔から約束を破る事が多かった。
酷い話で、連絡なしに待ち合わせ場所に来る事がなくて、その度にわたしは泣いていた。五時間も待った事があって、その時は本気の激怒をした記憶がある。絶交を考えたし、件の虫を衣服に放ってやった。
「……まあ、昔のアタシは、嫌な奴だったと思う」
「ふんだ。今更謝られても許してあげないから」
「そう言われると、言い返せないなー……」
苦笑いをしながら、ルカちゃんは言葉を零した。
「その点、ヒメマルカツオブシムシは、仲間との約束を絶対に守るからね。良い子たちだよ」
「単にそういう周期性なだけだと思うんだけど」
「でもそっちにはないよ」
「あはは」
真顔で乾いた笑いを発し、ルカちゃんは静かになる。
石像と違わないような無表情、考え事をしているっぽい。言葉もなく、ぽっかりと中身がいなくなってしまったようで、どことなく不気味だ。
「三月から五月、そのときには絶対に同じ花に集まって、交尾をして、また一年後に集合する。良い子達なのに、害虫扱いされてるのは気に食わないよ」
「……いや、騙されないからね」
その言葉の真意について深く考えずに、わたしは話を逸らした。
◇◇◇◇◇
フライトでの会話を楽しんだ後、カルボ島に着く。
まるで異世界、大陸と違う様相を持つ島。空港から降りてすぐ外に出れば、森に迷い込めるだろう。
「ここのね、鳥の巣にね、ヒメマルカツオブシムシの幼虫が集まってるんだよ」
「別にどうでも良いんだが。というか、鳥がいなさそうなんだが」
「いるもん! 固有種がたくさんいるもん!」
「今は任務中なのです。自覚を持ってください」
言い争っているメンバーたちを収めて、一歩踏み出した。
遠くからもわかる、風に揺られる木々の音。ソファで寝っ転がっているような気持ちよさを感じつつ、空港のターミナルへと運んでくれるバスへ向かう。
「お前も自覚持ってなかった気がするけどな」
「移動中だったので。切り替えをしてください」
「その通りだが……」
「今も移動中なんだけどな」だなんて言いたい風に、ジャッカルが目を細める。
まあ、私自身も、フライトの間はあまり特殊部隊としての自覚が足りなかったのだが、切り替えはしっかりとする。だから、問題ない。
それに、小隊のメンバーは切り替えができていなかったので、言う権利はある。
「大丈夫だってー、アタシ達が任務を失敗してきた事なんてないんだからー」
「そうだよ。今回も上手くいくと思う」
「あんまりライオンだと思い込まなければ良いんだけどな」
あくまで冷静でいるジャッカルだが、任務には自信を持っている様子。
受けてきた任務数は先輩の小隊には劣るだろう。だけど、失敗はゼロで、成功率百パーセント、サルの木登りだ。
「そういえばー、ライオンだと思い込むってー、どうしてそうなのー?」
「意味が、驕ってるって感じだったよね。なんでだろう」
「昔話から由来になってるぞ。ライオンに変身して奢っていた主人公が、トラに負けるやつ」
「『偽物のライオン』だっけ?」と、ジャッカルが私に尋ねてきたので、無言で頷く。
正直な話、ターゲットであるヤスデは危険な存在で、警戒すべき相手だ。私の目がそう言っている。
目隠し越しから見える空は、きっと赤い。ヤスデが、自身を危険だと案じているようにさえ思える。しかし、私たちは特殊部隊。任務は絶対で、遂行しなければ存在価値などない。
「早く行きましょう。素早く行動して、バレる前に絞めます」
「そうだな」
バスに乗る事を促して、私はヤスデの討伐方法を考える。
対象を抹殺する方法として、今までの任務では、コヨーテの射撃だけで終わる簡単なものから、潜入して毒殺、撲殺したりと、自らの手で下す事が多かった。しかし、今回はそれではダメだ。
偶然を装うのではなく、偶然を発生させる。それをずっと――フライト中以外は考えていた。いやだって、ジャッカルとの話の方が大切だし。
「今回の締め作戦ってさー、どんな方針ー?」
「わたしの射撃? それとも潜入?」
気の抜けるような声と、可愛らしい声が聞こえてきた。
正直な話、二人がいればどのような任務であっても成功できる。今までの任務で私の能力を使う事があまりなくて、大体は二人の能力で任務を成功させてきた。
「バスから降りたら、ヤスデの位置を確認します。あと、仮拠点も作らないとですね」
「あるのか?」
「念には念を入れて、森深くに入る前提の準備をさせたでしょう? カルボ島には危険な大型動物や虫類がいないので、問題はないかと」
「虫よけスプレーは完備してるんだねー」
「蚊がいるので」
こちらをからかうように、そして気の抜けたような声を発するウルフに対して簡潔に返す。
虫よけスプレーだけじゃない。ここには最低でも一週間は滞在する予定なので、それ分の食料、非常トイレ、簡易テントなど、サバイバル用品を一式用意した。
小型の輸送バスに乗りながら、説明していく。
「コンディション維持は、パフォーマンスに直結しますから。イレギュラーを発生させないのに細心の注意を図るのは、当然です」
「状態維持は行動を最適にするのに大事だしな、どんな些細な事にも気を付けないと」
私の言葉を、ジャッカルがオウム返しする。
そう思いながら、私は一番後ろの窓際の席に座った。
「話は変わるけど、あの高身長白人男性はどこ?」
「そういえばいないねー、というか飛行機の中にもいなかったしー、別の飛行機だったんじゃなーい?」
「そんな事あるか?」
「……え?」
キョロキョロしながら言うコヨーテに、ウルフは気が抜けたように返し、ジャッカルが疑問を呈した。
急いで私も周りを見渡す。しかし、あの男性はいない。
急に、視界が赤くなってくる。それに、頭がぐちゃぐちゃにかき回されているような、強烈な違和感を感じた。
どこか、どこかがおかしい。でも、それはわからない。誰か、誰でも良い、教えて。でないと、死んでしまう気がする。
「い、いない……どこに、どこに行って……!」
「おい、急にどうしたんだよ」
ジャッカルの心配そうな声で、視界が真っ白に戻る。
「……すみません」
取り乱してしまったので、とりあえず謝罪した。
高身長な白人男性がどこに行ったのか思い当たる節はない。だが、私達の始末対象は別にいる。だから、何も気にする必要なんてないはずだ。
「目が赤くなってたねー?」
「うぅ、怖い……」
ウルフは目をぎらつかせ、コヨーテは萎縮する。
「……」
「何か、心配事があるのか?」
「……いえ、何も」
少しの疑念を抱きつつ、私は任務に集中するように努めた。
◇◇◇◇◇
バス内で、会話は全く発生しなかった。そして、気が付いたらカルボ島のターミナルに到着していた。
私の異様な雰囲気によるものなのか断言はできない。だけれど、声を発し辛い状況を作り出してしまったとは思う。だから、罪悪感を抱いた。
「……とりあえず、荷物を受け取ったら、外に出ましょう。仮拠点に最適な場所を見つけなくては」
私の言葉に、小隊のメンバーたちは無言で頷く。
『カーボン』の組織メンバーが全員いるのか予測できない。
「カルボ島の地図に、ヤスデの位置情報を入れたいです。地図を貰ってきますね」
一刻も早く、ヤスデを始末したい。その一心で、私は空港の、カルボ島全体の地図が置いてある場所に向かった。
空港は、私達とスタッフの少人数しかいないらしい。空港自体あまり広くなくて、見慣れているテロム州のそれと比べると窮屈な印象だ。
「……」
周りを確認して、私は地図が置かれているであろう所の近くで、目隠しを外す。それが地図だと確認できたので、手に取ってから、目隠しをして仲間の許へと向かう。
その際に、しっかりと自分の能力を反映しておいた。
本当は、能力を映してから目隠しをしたら良かったのだけれど、スタッフの人が私の目を見れそうな位置に移動しそうだったので、急いで付け直した。
「とりあえず、確認お願いします」
地図をウルフに渡して、赤い点の位置を催促する。
「……あー」
「どうかされましたか?」
ウルフが、言い難そうにお茶を濁した。
「……赤い点がー、空港のー、入り口付近にあるー……」
「ちょっと前の地図を見せてくれ」
「はーい」
ジャッカルが、ウルフから二枚の紙きれを渡した。
「……わかり辛いが、赤い点が移動してる」
「しかも、全く動いてないよ……」
地図を覗き込んだコヨーテが、怯えながら言った。
「ま、待ってください……今すぐ、周りの確認を――」
「おや、客らよ。奇遇だな」
「――っ」
ターゲットのヤスデが、私達に接近してきた。
短いけれど、この章は一旦終わり




