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七冊目


 こいつらに身体をあげてからこの城には約八百人近くとなってしまった。


 一人でゆったり過ごそうと考えたのは甘かったかもしれん。


 そんな俺には一つの不満がある。


 まだ図書館に一歩も入れていないことだ。


 いつになったら本を読めるんだよ!!



「はぁ……」


「お疲れでしょうか?」



 お前らの所為でな、とは言うまい。


 今俺は約八百人のリストを作っている。


 何に恨みを持ち、何に思念体として乗っかっているかを記録するためだ。


 人にはなったもののそいつらが元の本体から離れることはできない。


 つまり、必ず本体を身に着ける必要があるということだ。


 このメイドたち(ギフター)とは違ってな。


 メイドはこの城が本体故ただ動き回るために身体をあげたことになる。


 だからギフターなのだ。



「それにしても、どんだけいるんだこいつらは……」


「八百三十二名です」



 はー、気が遠くなる作業だ……。



 ロンエル爺さん。


 フランスの臨床心理学者だったが、ぱったりと音信不通になり、その後橋の下から人骨が出てきてロンエル=ミッディアートのものだと特定された。

 その時フランスでは地面から人骨が出てくると多々通報があり、調査すると全てロンエル氏が診ていた患者だった。

 本人に詳細を聞こうにもこの事件の最初に発見されたのは本人であったために迷宮入りとなった事件である。

 さて、ではロンエルの心理実験室とはなんなのか。

 病院の地図には記載されていない場所にひっそりと佇んでいたその持ち主を亡くした部屋は病院で起きた不慮の火災で発見された。

 その部屋に近づく、取り壊すなど対処しようと思った者は何名もいたが誰一人として成功はしなかった。

 どんな結界が張ってあるのかは知らないが、訪れた者全てが気が狂う悪魔の実験室と報道されてしまった。

 それを聞いた親父がこの城の一角へと部屋ごと引っ越したのである。


 最初に聞いたときはなんてことしてくれるんだと思ったが、親父の影響か呪いの類は全く俺には効かない。


 それが唯一の功を奏したと言っても過言じゃない。



 カリコリ兄弟


 兄弟セットで霊体になることは珍しいことだ。

 こいつらの本体は鍵である。

 全く同じ鍵。

 メインキーとスペアキーといったごく普通の鍵だ。


 こいつらは元は脱獄囚で有名だったカリアス=ベック、コリアル=ベックというまだ中学生にも満たない年齢で犯罪をし続けていた兄弟だった。

 カリコリ兄弟の死因は射殺。

 海外の凶悪犯が一同に集まるその牢獄は脱獄しても即射殺が許可されるような場所だった。

 一丁のライフル銃から出た一つの銃弾が二人の心臓を貫いたという。

 ゲームでいうダブルキルである。

 丁度重なった際に殺されたというのだ。

 その兄弟が死んで一年後、カリコリ兄弟の復活ともいわれる程の脱獄祭りが行われた。

 ほぼ全ての囚人が脱獄しようと外に放たれたのだ。

 後の捕まって生きていた囚人にインタビューする記者の音声がこう残っている。


「それほどの脱獄は誰が主犯なのですか?」

 という質問に対し、その元囚人は、

「知らねえよ。朝起きて飯貰おうと思ったら鍵が開いてたんだ。看守が閉め忘れたのかと思ったが全ての牢屋が開け放たれていた。異常に怖くなったが逃げられる時は今しかねえと思ったね」

 と残している。


 また別の記者の質問に答えた者の言葉によって親父が引き取りに行く理由となったのだ。

「誰かが明けるところを見たという者はいないのでしょうか?」

「開けたのは看守だぜ。目が虚ろで話しかけても反応しやがらなかった。悪魔に精神乗っ取られたまま鍵だけを開けていくっていう奇妙な奴だった」

「精神を操れる囚人などに見覚えは?」

「ねえよ。そんなんは囚人として入って来ねぇだろ」

 その記者が書いた新聞には、二つの鍵を手にした看守は知らず知らずのうちに牢獄の扉を開けてしまうらしい悪魔の鍵、とデカデカと見出しを飾った。


 カリコリ兄弟はその鍵に憑いて脱獄の手助けをしていたと親父から伝えられたが、いまいちピンとは来ていなかった。


 今改めて実感しているよ。



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