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五冊目


 結論から言おう。


 あの男の子は呪いの類だ。


 つまり、親父の蒐集物が原因だ。


 これだけじゃ何のことかわからないだろうな。



 俺はあの男の子に付いて行き、親父の蒐集部屋に行った。


 そこで見たものはありとあらゆる呪いの品とありとあらゆる人種。


 なんだこれ。


 どうしてこうなった?



 しかもこの男の子だけじゃ何を話しているか要領を得ない。


 誰か年齢の高そうな奴はいないのか?



 ふと目に留まったのは一人のおばあさん。



「すまない。この状況を把握しているか?」


「おや、旦那様じゃないかい。この老婆に何用ですかの?」


「いや、状況を把握したいのだがよろしいか?」


「状況?はて?私はずっとここにいましたが、何も変わらないよ。一つ言えることがあるとすれば、今まで話してこなかった旦那様が今になって話せるようになったくらいかね……」



 今まで?


 今までにこのようなおばあさんを家で見かけたことなど無いが?



「今まで……すまないが、お名前を伺ってもよろしいか?」


「名前?リエラとでも呼んでくれ」



 リエラ……?


 『リエラ』どこかで聞いたことが……。


 たしか親父が……。



『これはな、イタリアで見つけてきたんだ。ロッキングチェアつってな本とか少し休みたいときに座ったりするんだが、この椅子の持ち主が誰も触れてないのに揺れて気味悪いってんで引き取ったんだ』


『その持ち主のひいばあさんがこの椅子に座って編み物をするのが好きな人でな、大火事になった時逃げ遅れたらしい。大火事があったもののこの椅子だけは煤一つ付いてなくて、無事だったから自分の家に置いてたんだと。ところがある昼に誰もロッキングチェアに座っていないのに前後に揺れるようになったんだと』


『その椅子にはまだそのひいばあさんが座って編み物してるんじゃねえかって考えると、気味が悪くて引き取ってくれだとさ。家族だったのに薄情なものだよなぁ?そのひいばあさんの名前は『リエラ』というらしい。気軽にリエラばあさんとでも呼んでやれ』




 そうだ。


 俺が中学の時に久々に帰ってきたと思ったら椅子ごと持って帰ってきたんだった。



「じゃああんたリエラばあさんか?」


「だからそうだと言っておるだろう?あの坊やが大きくなったものよ」



 成程。


 ならこのありとあらゆる人種は、ここにあった呪いの品や曰く付きのものの思念体とかそんな感じか。


 じゃあさっきの男の子はどこの子だ?



「ああ、居た居た。おい、坊主。お前の名を教えてくれるか?」


「僕?僕はオリアナ」


「オリアナ?オリアナの木車か!」


「?」



 オリアナの木車。


 これはアメリカだったかな。


 子供が泣き止まないってんで木で作られたおもちゃの車を買ったはいいが、子供が乗っても大人が押しても修理に出してもタイヤが動かないから遊べなかったらしい。


 おもちゃ屋に騙されたと思って倉庫に保管してたんだが、倉庫に用事があるからって物を取りに行く際、必ず木車の配置が変わっているらしい。


 変に思ったそこの父親は倉庫にカメラを仕掛けた。


 そこに映し出されたのは、夜中一人でに動き出す木車だった。


 父親は呪われているといい、俺の親父に預けたんだったか。


 どんな経歴があるか分からない木車だったので調べたところによると、オーストラリア産の伝統工芸品だったらしく、ある子供が産まれるという家にあげたはいいものの両親は交通事故で大けがを負い、妊娠していた母親の体内の子供は死産。


 母親は木車を押して一緒に遊ぶと約束していたが、その木車を見る度交通事故の記憶がフラッシュバックしてしまい、泣く泣く元の制作者のところへ返したそうだ。


 製作者も自分の作品を処分できず、海外観光客に売ったらしい。


 それ以来親父が訪ねてくるまで忘れていたとのこと。



 その生まれるはずだった命の名は『オリアナ』。


 オリアナは母親との約束通り今でも遊んでいるという。



 それ、こいつか。



 まあ俺としては人間じゃなくて心底ほっとしている。


 それはいいとして……。



「お前ら、まずはこの部屋から出ろ」


「無理だよおじいちゃん」


「お、おじっ……じゃなくてそれは何でだ?」



 おかしい、外見は若い筈だが……。



「ここにいる人は僕みたいに自由に動けないんだ」


「お前が自由に動けるのは何でだ?」


「僕の本体は車だからね」



 な、なんというめんどくささ……。


 俺が一々運び出せというのか。


 この量を?


 ここにある代物は百を優に超える。


 一日だけじゃ終わらんぞ。



 早く読みたいものとかが残ってるのに。


 やりたいことたくさんあるのに。



「な、成程。じゃあこの中で動けるやつだけついてこい!」


「動ける人は僕とロンエルおじいちゃんとクララ姉さんとカリコリ兄弟、あとは菊紋次さんだけかな」


「それでもいい、ついてこい」


「だってさ」


「ほっほ。こんな老人に働かせるとはお主も鬼じゃのう」


「えー、拙者働きたくないんやが……」


「まだ何も言ってないだろ!」



 なんで頭の中覗かれてんだ。


 この爺さんロンエルとか言ったか?


 ロンエルの心理実験室か……。


 まためんどくさい人を……。



 誰か助けて……。


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