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二冊目


 ここは……?


 白い空間。


 地平線まで白い。


 俺は何故ここにいる?


 天国とやらか?



「ああ、ようやく話ができます」



 誰だあんたは。



「私は管理者です。桜理さんが居た世界とはまた異なる世界を管理しています」



 その管理者が俺に何の用だ?



「あなたに折り入ってお願いしたいことがあります」



 なんだ?



「私の世界での記録者となっていただけませんか?」



 記録者とは?



「記録者とはその世界のありとあらゆることを記録し書籍化することによって歴史を組み立てる係の者です」



 俺は本が好きなだけだ。

 記録も好きだが記録することが好きなのではない。

 断らせていただく。



「いえ、記録するのは世界のシステムにお任せします。桜理さんにお願いしたいのはその記録の把握です。私がやるとバグが発生し、上手くいかないもので……。本好きの桜理さんなら、と」



 本を読むだけならそれでもいい。

 ならその記録の書籍はどこに管理するんだ?



「図書館を作るのでそこに保管しておいてください」



 図書館?

 一般に開放などしたくないし、有事の際はどうする気だ?



「図書館はあなた一人に管理していただきます。そのため、生前の状態では直ぐに亡くなってしまいますので、新たに体を与えることにしています。有事の際とは火事や虫食いの話ですかね?」



 ああ、やはりここは死後の世界なのだな。

 有事の際はそういう風に捉えてくれて構わない。



「図書館には全てにおいて不変と不滅をかけておきます。燃えず濡れず無くならない最高の図書館をプレゼントします」



 まあ良いか。

 図書館なのに一般開放はしなくてもよいのか?



「したいですか?」



 いや、全く。



「ははは、だからですよ。その図書館にはありとあらゆる記録と情報が詰まっています。おいそれと外には漏らさないようにお願いします。漏らすかどうかの裁量は桜理さんにお任せしますけどね」



 あい、分かった。

 それならその図書館に……俺の書斎の本たちも引っ越すことはできるか?



「可能ですよ。それこそ外に漏らさないという約束が守られるのであれば」



 ああ、大丈夫だ。

 そもそも俺は外と関りを持たん。

 安心しろ。



「そうですか、それを聞いて安心です。では、桜理さんの許可が貰ったということで私の世界の説明を致しましょう」



 頼む。



「はい、私の世界は桜理さんが生きていた世界と比べると文明が進んでいません。科学も発展していないところですが、魔法という概念が存在します」



 魔法?

 あのうさん臭い?



「ええ。桜理さんの世界にはありませんでしたね。この世界では魔法があることが常識なのですよ。飲み水一つにしても魔法道具で出しますし、掃除一つにしても魔法を使います」



 成程。

 その魔法は俺でも使えるのか?



「向こうに行けば使えますよ。その理外の指輪さえあれば記録された全ての魔法が使えるはずです」



 これ、そんないいものだったのか。

 他の指輪の詳細は?



「知恵は全ての記録について知識として引き出せる力、運命は使用者の思い通りに世界の修正を可能にするもの、理外は今言ったように全ての記録された魔法を使いこなせるもの、審判はその名の通り真偽を確かめるためのものです。まあ向こうに行ってからいろいろと試してみてください」



 まあいいか。

 では、俺の家にあった蒐集物についてはどうなる?

 一応あれでも親の形見なんだが。



「持っていきますか?でしたら向こうの地下室に送っておきますよ。私にも処分しがたいものが混じってますので」



 おお、ありがとう。



「最後に指輪の力はやりすぎないようにしてください。ほとんど私と同じような力を持っていることになるので」



 了解した。



「あ、図書館の場所はどうします?」



 場所?

 選べるのか?

 なら、人が滅多に現れることがなく静かで平和なところがいい。



「具体的にお願いします」



 俺が生前に住んでたような家で人が来なければどこでも。

 ああ、異空間とかでいいだろ。



「異空間ですか。頑張ります」



 何を頑張るかは知らんが頑張ってくれ。

 今いるようなこういう空間でいいぞ。



「わかりました。頑張ります……」



 頼むぞ。

 人とは喋りたくないからな。



「ええ、ではお元気で」



 おう、また会おう。









「ふう。まるで十代と話しているかのような会話だった。精神年齢の異常さが引き立つな…。さてバグを直して、桜理さんの身体作って、図書館作って、形見送って頑張りますかあ~」


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