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同接3人スタート! 制服姿で異世界配信を始めたら、飯テロで大バズりしました 〜異世界ごはん配信部〜  作者: 原島航平


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第8話:初案件! ドラゴンストーン渓谷へ突撃!

「よし……特別許可証、ヨシ! 最新の環境測定データ、ヨシ!」


 放課後の部室で、まひろがタブレットのチェックリストを手際よくタップしていく。


「今回の『ドラゴンストーン渓谷』は未踏の危険エリアよ。セーフティゾーンは存在しないから、今まで以上に警戒して頂戴。一応、ギルドの公式監視ドローンも私たちのポムドローンと並走する手はずになっているから、万が一の時は救助が入るわ」


「ふふっ、まひろちゃん頼もしいね〜」


 凛がいつもの特大盾を肩に担ぎながら、のほほんと微笑む。


 あおいは腰のメカニカルな日本刀をポンと叩いて胸を張った。


「現金30万円の報酬と、激レアなドラゴン肉のために! 『異世界ごはん配信部』、初の公式案件へレッツゴー!」


◆


『ポムッ!』


 渓谷の入口となるポータルを抜けると、目の前には赤茶けた巨岩が聳え立ち、ムッとするような溶岩の熱気が肌を刺した。


 配信開始の合図とともに、スマートグラスに流れるコメントの速度が跳ね上がる。


 同時接続者数:【12,800人】


>名無しの冒険者:きたあああああ!

>初見さん:公式案件おめでとう!

>名無しの冒険者:企業案件でドラゴン肉狩りとかスケールでかくなりすぎwww

>初見さん:本当にJKがこんな危険そうなとこ行ってるの!?


 配信開始直後から同接一万人超え。


 コメント欄が祭り状態で盛り上がる中、画面中央に色鮮やかなスパチャが打ち上げられた。


>【古参】スライムニキ(¥5,000):公式案件に目をつけられるとは出世したなポンコツ。未踏エリアだから調子に乗って死ぬなよ


「あ! スライムニキ! スパチャありがとー!」


 あおいはポムドローンに向かってプンプンと拳を振った。


「って、ポンコツじゃないもん! 今日の私は一味違うんだから! リスナーのみんな、カッコいいところ見せてあげるからしっかり見ててねー!」


 気合を入れ直し、三人はゴツゴツとした岩肌が続く渓谷の奥へと足を踏み入れた。


◆


「みんな、止まって。前方から熱反応あり!」


 まひろの警戒の声と同時に、岩の影からワラワラと姿を現したのは、体長一メートルほどの赤黒いトカゲ――『フレイムリザード』が三体だ。


「シャアァァッ!」


「気をつけて、火を吐くよ〜」


 凛が大盾を前に構え、素早く前に躍り出る。


 直後、三体のトカゲが同時に口から猛烈な火炎ブレスを撒き散らした。


 だが、凛の超硬質合金の大盾が迫り来る炎を完全にシャットアウトする。


「効かないよ〜!」


「ナイスガード凛! 足止め行くわよ――【アイス・バインド】!」


 凛の背後からまひろがタブレットを操作。冷気の魔法陣がトカゲたちの足元に展開し、灼熱の熱気を打ち消しながら、その足先を一瞬でカチコチに凍りつかせた。


「キチチっ!?」


「あおい、今!」


「任せて!」


 一足飛びにあおいが飛び出す。


 滑らかな足さばきで間合いを詰めると、日本刀の銀光が空を舞った。


 シュシュシュンッ!


 正確無比な三連閃。


 足止めされたフレイムリザードたちは反撃の間もなく、一瞬で光の粒子へと弾けて消滅した。


>名無しの冒険者:うお、うつくしすぎる……!

>初見さん:えっ、連携完璧すぎない!?

>名無しの冒険者:ただの飯テロ部じゃなくて普通に戦闘力高くて草

>【古参】スライムニキ:ポンコツなりに成長したじゃねえか


「えっへん! 見た見た!? ノーダメージ撃破だよ!」


 あおいは刀をチャキンと鞘に納め、得意気なドヤ顔でカメラにアピールした。


◆


 さらに渓谷の最深部――断崖絶壁が切り立つ開けたエリアへと到達した時だった。


 グォォォォォォォオンッ!!


 空気を大きく振動させる、腹に響くような凄まじい咆哮が響き渡った。


 崖の上を見上げると、そこには翼長五メートルを超える巨大な飛竜――『ワイバーン』が、鋭い鉤爪を岩に食い込ませてこちらを睨みつけていた。


「出た……! 危険度B級モンスター、ワイバーンよ……!」


 まひろが冷や汗を流しながらタブレットのデータを読み上げる。


「鱗が尋常じゃなく硬くて、火炎ブレスの威力も桁違い。……本来ならBランク以上のベテランパーティが挑む相手よ」


 あまりの迫力に、コメント欄も緊張感に包まれる。


>名無しの冒険者:うわ出た、ワイバーンかよ!

>初見さん:さすがにこれはヤバいんじゃ……!?

>名無しの冒険者:撤退した方がよくね!?


 だが――。


 すーっ。


 凛が恐れる風もなく、ワイバーンに向かって一歩前に出た。


 その視線は、ワイバーンの太い後脚――むっちりと引き締まった太ももに注がれている。


「……あおいちゃん、まひろちゃん」


 凛がコクリと生唾を飲み込んだ。その瞳が、メラメラと怪しい情熱の炎を宿してキランと光る。


「あの太もも……すごく引き締まってて、絶対に上質な極上赤身肉だよ」


「ゴクリ……! ドラゴンの……ジューシーな赤身肉……!」


 あおいまで目を輝かせて生唾を呑み込んだ。


「ちょっと二人とも、相手はB級モンスターよ!?」


 まひろが叫ぶが、二人の食欲のスイッチは完全にオンになっていた。


「はぁ……もうっ、こうなったらやるしかないわね! あおい、凛、行くわよ!」


「「おーっ!!」」


ギャァァァッ!


 ワイバーンが翼を広げて急降下し、口から巨大な火の玉を吹き放つ。


 凛は両手でしっかりと大盾を持ち直し、腰を低く落として踏ん張った。


「任せて……! ここは通さないよ〜〜っ!」


ドカァァァンッ!!


 激しい爆発と炎が凛を包み込むが、タンクとしての凄まじい脚力と大盾が見事にその衝撃を受け止めてみせる。


「凛、ナイス! 【フリーズ・バインド】最大火力っ!」


 まひろがタブレットを操作すると、ワイバーンの巨体を包み込むほどの巨大な極寒の魔法陣が出現。


 急降下の勢いを殺されたワイバーンの両翼と足元が一瞬で極厚の氷塊で固められた。


「グガァ!?」


「あおいっ!」


「たぁぁぁぁぁっ! 必殺――『放課後・一ノ型』!!」


 あおいが力強く地面を蹴り上げ、空中へ跳躍。


 勝手に名付けた技名を叫びながら、日本刀を全力で振り下ろす!


 超軽量合金の刃が、氷漬けにされて無防備になったワイバーンの首筋を、滑らかな一閃で綺麗に裁断した。


 ――――ズゥゥゥゥン……!


 巨体が地面に崩れ落ち、一瞬の間を置いて、眩い光の粒子となって雲散霧消する。


 そして、その跡地には巨大な魔石とともに、ツヤツヤとした美しい赤身が覗く、巨大な肉塊がドドンと遺された。


『ワイバーンの特上モモ肉』ゲットである。


>名無しの冒険者:きたあああああああああ!!

>初見さん:B級モンスター討伐しちゃったよこの女子高生たち!?

>名無しの冒険者:連携完璧すぎて鳥肌たったわ!!

>【古参】スライムニキ(¥10,000):お見事。今すぐその肉を調理しろ


「ふぅ……! 最高のドラゴン肉が手に入ったよ〜」


 凛が特大の肉塊を愛おしそうに抱え上げ、ほわぁと嬉しそうに微笑んだ。


 あおいはポムドローンに向かって、刀を鞘に納めながらドヤ顔で勝利のピースサインを決める。


「見事、ワイバーン討伐成功ー! というわけでみんな! 明日の配信は……この極上ドラゴン肉を使って『特製ドラゴンステーキ』を作っちゃいます! 絶対に見に来てねー!」


『ポムッ!』


 大歓声に包まれるコメント欄に見送られながら、初の公式案件となる討伐配信は、大成功のうちに幕を閉じたのであった。

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