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同接3人スタート! 制服姿で異世界配信を始めたら、飯テロで大バズりしました 〜異世界ごはん配信部〜  作者: 原島航平


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第7話:クラスで大騒ぎ!? 登録者数4万人のフィーバー配信!

「あおい! ちょっとあおいーっ!」


「うわあっ!?」


 翌朝、あおいが教室の扉を開けた瞬間、待ち構えていたクラスメイトの女子たちが一斉に押し寄せてきた。


「見たよ! 切り抜き動画! 200万再生いってるじゃん!」


「あのドデカい卵のオムライス何!? めちゃくちゃ美味しそうだったんだけど!」


「てかチャンネル登録者数4万人超えてるってマジ!? あおい超有名人じゃん!」


 スマートフォンを突きつけられ、蜂の巣をつついたような大騒ぎになる教室。


「え、えへへ〜……見ちゃった? 放課後部活で異世界配信始めてみたんだよね〜!」


 鼻の下を伸ばしてドヤ顔を決めるあおい。


 ふと気がつくと、まひろと凛のところにも人だかりができていた。


「まひろちゃん、あの神画角のカメラワークまひろちゃんがプログラミングしたの? 天才すぎない!?」


「べ、別に大したことないわよ。基本に忠実な自動追尾アルゴリズムを組んだだけなんだから」


 ツンと澄ましながらも、眼鏡の奥で嬉しそうに目を細めるまひろ。


「凛ちゃんの作ってたオムライス、本当美味しそう〜! 今度お弁当に作ってきてよ〜!」


「ふふ、いいよ〜。早速明日作ってこようか〜?」


 相変わらずマイペースに同級生を和ませる凛。


「あおい! 今日の放課後の配信も絶対見るからね!」


「うん! みんなありがとー! 今日もすっごいの作るから楽しみにしててね!」


 クラスメイトからの生の歓声に背中を押され、あおいたちのやる気は最高潮に達していた。


     ◆◆◆


 そして放課後。


 部室から『始まりの草原』へと潜った3人。


『ポムッ!』


 ポムドローンが起動し、まひろが配信開始ボタンを押した瞬間――。


 同時接続者数:【1,200人】→【4,800人】→【8,500人】……!


「うわあぁぁぁあ!? 数字の増え方がバグってるー!?」


 あおいはスマートグラスに表示された凄まじいカウンターの数字に悲鳴を上げた。


 一瞬で同接が数千人規模へと跳ね上がったのだ。


>名無しの冒険者:きたあああああ!

>初見さん:切り抜きから来ました!

>初見さん:本当に制服JKが異世界行ってるwww

>名無しの冒険者:マジでCGじゃなさそうだな……


 爆発的に増えた初見リスナーのコメントが滝のように流れ落ちる。


 その時、鮮やかな赤色のハイライトとともに、ひときわ目立つ高額投げ銭(赤スパ)が画面中央にどかんと打ち上げられた。


>【古参】スライムニキ(¥10,000):おい初見ども、静かにしろ。まずは今すぐ米を炊け。間に合わなくなっても知らんぞ。あと昨日の肉代の足しにしろ。


「あーーーっ! 『スライムニキ』だーっ!」


 あおいは思わず画面を指さして叫んだ。


 同接3人の地獄の初配信から、毎回欠かさずコメントをくれていた名物リスナー――通称【スライムニキ】である。


>名無しの冒険者:出たwww 古参筆頭のスライムニキwww

>初見さん:1万円スパチャすげぇ!

>名無しの冒険者:ニキの言う通り今すぐ米炊いてくる!

>【古参】スライムニキ:誰がニキだ。あとまひろちゃん今日も神アングル期待してるぞ


「ちょっとスライムニキ、私の名前を気やすく呼ばないで。……でも、スパチャと荒らし対策の協力は感謝するわ」


 まひろがクールに言い放ちつつ、裏で操作するAIモデレーターが、混ざり込んできた悪質な誹謗中傷やスパムコメントを秒速で非表示にしていく。


 まさに完璧なリスナーと裏方の連携だった。


「スライムニキ、1万円ありがとーーー! おかげで破産を免れたよ!」


 あおいはカメラに向かって元気いっぱいに深々と頭を下げた。


「それじゃあ改めまして!祝・バズり記念! 本日のメニューを発表します!」


 あおいはバッと後ろの調理スペースを振り返った。


 そこには、凛が愛用のマイ包丁と特大鉄板をセットして待機していた。


「本日はギルドの市場で買ってきたオーク(異世界豚)の特上ロースを使った……『オーク肉の厚切りスタミナ生姜焼き』でーす!」


>名無しの冒険者:うわあああ生姜焼ききたあ!!!

>【古参】スライムニキ:勝った。今日のご飯は生姜焼きに決定

>初見さん:オークのお肉って美味しいの!?


「はいっ、オークのお肉は豚肉よりも脂が甘くてジューシーなんだよ〜」


 凛が2センチはあろうかという分厚いオークの特上ロース肉を、特製の手作りたれにサッと潜らせる。


 そして、カンカンに熱した鉄板の上へと、一気に投入!


 ――ジュワァァァァァァァッッッ!!


 高感度マイクが捉えた、あまりにも暴力的なサウンド。


 タレと上質な脂が焦げる甘辛く香ばしい匂いが広がっていく。


 ポムドローンが超至近距離まで急降下!


 ジューシーな肉汁が表面でパチパチと弾け、タレがトローリと飴色に煮詰まって肉に絡みつく様子を、画面いっぱいに超高画質で映し出した。


>名無しの冒険者:音と画質が暴力的すぎるwwww

>初見さん:アカン、唾液が止まらん

>名無しの冒険者:画面から匂いがしてくるレベルなんだが??

>【古参】スライムニキ:だから米を炊けと言ったんだ。言わんこっちゃない


「はーい、できたよ〜。めしあがれ〜。」


 凛が炊きたてのホカホカ白米が入った丼の上に、タレが滴るドデカい生姜焼きをドカンと2枚乗せて手渡した。


「いただきまーす!!」


 あおいは大きな口を開け、厚切りのお肉を豪快にガブリと噛みちぎった。


「―――――ふはぁぁぁんっっ!!」


 一口食べた瞬間、あおいの両目がカッと見開かれ、あまりの美味しさに身体をギュッと縮めて悶絶した。


「柔らかぁぁぁい!! お肉がすっごい柔らかくて、噛んだ瞬間に甘い脂がジュワ〜って溢れてくるよ!ニンニクと生姜の効いたタレが濃厚で、ご飯が……ご飯が無限に行けちゃうよ〜〜〜!!」


 ガツガツと勢いよく生姜焼きとご飯を口へかき込むあおい。


 そのあまりにも美味しそうな幸せいっぱいの表情に、コメント欄の初見リスナーたちも完全にノックアウトされていた。


>初見さん:ダメだ、美味そうすぎるwww

>初見さん:クラスメイトがハマる理由が分かったわ。チャンネル登録した

>名無しの冒険者:これぞ異世界ごはん部よ!

>【古参】スライムニキ:ようこそ、沼へ


 最終的に同時接続者数は【11,000人】を突破。


 バズの勢いそのままに、大フィーバーとなった記念配信は最高の盛り上がりの中で幕を閉じた。


     ◆◆◆


「ふぅ〜〜! 美味しかったぁぁ!」


 配信を終え、部室へと戻ってきた3人。


 あおいはお腹を叩いて満足感に浸っていた。


「同接一万人越え……。チャンネル登録者数も、もう6万人になりそうだわ」


 まひろがアナリティクスを見ながら、どこか誇らしげに微笑む。


「学校のみんなも喜んでくれたし、スライムニキも来てくれたし、最高の配信だったね!」


「ふふ、オークのお肉美味しかったね〜」


 のほほんと笑い合っていると、突然まひろのタブレットが『ピロリン!』と聞き慣れない電子音を鳴らした。


「……ん? ギルド運営本部から……公式メール?

」

 まひろが画面をフリックし、記載された文面を目で追う。


 次の瞬間、彼女の眼鏡がカシャリと音を立ててズレ落ちた。


「……ちょっと、あおい、凛」


「ん? どうしたのまひろ?」


「冒険者ギルドの【運営本部】から……『公式案件』のオファーが来ているわ」


「「えぇぇぇぇっ!?」」


 言葉を失うあおいと凛。


「内容は……未踏の危険エリア『ドラゴンストーン渓谷』の先行調査配信。……報酬は現金30万円と、激レア食材『ドラゴンの肉』の優先入手権よ」


「じゅ、30万円の報酬!? 一気に大富豪になっちゃうじゃん!」


「それに……ドラゴンの肉……! 絶対に美味しいよ……!」


 凛の目がキランと輝き、あおいは札束とごちそうを想像して涎を垂らす。


 同接3人から始まった放課後の部活は、ついにギルド公式をも動かす「本物の超大物配信者」への階段を上り始めていた。

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