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同接3人スタート! 制服姿で異世界配信を始めたら、飯テロで大バズりしました 〜異世界ごはん配信部〜  作者: 原島航平


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第27話:コラボ配信再び! 有名冒険配信者と巨大キノコ狩り勝負!

「みなさんこんばんはー! 『異世界ごはん配信部』です! 今日はなんと……チャンネル登録者数一〇万人突破を記念して、超豪華なスペシャルゲストのみなさんが来てくれています!」


 あおいのハイテンションな呼びかけとともに、ポムドローンのカメラがぐっと引いた。


 画面に映し出されたのは、チャンネル登録者数一〇〇万人を誇るトップ冒険配信者のカグラと、彼女と同じプロダクションに所属する人気配信者の二人――魔法使いのルナと、大盾使いのレオだ。


「みんな、こんにちは。カグラだよ。あおいちゃんたちのチャンネルの一〇万人突破、本当におめでとう」


「おめでとーっ! 魔法使いのルナだよ! カグラちゃんから『ものすごく美味しいご飯を作る子たちがいる』って聞いて、ずっと楽しみにしていたんだから!」


「がはは! 大盾使いのレオだ! 今日はよろしく頼むぞ!」


漆黒の革鎧に身を包んだカグラは、つややかな黒髪を揺らし、カメラに向かってクールに微笑んだ。


>スライムニキ:カグラ様きたあああああ! しかもルナちゃんとレオさんもいる!!

>名無しの冒険者:大手事務所のトップ配信者勢揃いじゃねえか! 豪華すぎる!

>ペンギン太郎:カグラ様あいかわらずスタイリッシュで美しい……!

>ソロキャンパー:10万人記念コラボ助かる! 今日のロケーションどこだ!?


「カグラさん、ルナさん、レオさん、来てくれてありがとうございます。……カグラさん、また美味しいものが食べたくて来てくれたんですよね?」


 まひろがくすりと笑うと、カグラは一瞬で耳まで真っ赤になり、照れくさそうに視線を泳がせた。


「あ……うん。実はね……最近ダンジョン攻略が忙しくて、また味のしない乾燥保存食ばかり食べていたんだ……。だから、今日をずっと心待ちにしていたんだよ」


「ふふ、カグラさんたら相変わらず正直ですね〜」


 凛が優しく微笑む。クールなトップ配信者でありながら、実は極度のメシマズで美味しいものに目がないカグラのギャップに、コメント欄も和やかな雰囲気に包まれる。


 今日の舞台は、家ほどもある巨大なキノコが立ち並ぶ神秘的なエリア――『巨大キノコ森ダンジョン』だ。


「さあ! 今日の企画はコラボ特別対決!『秋の味覚! 巨大松茸モドキ狩り勝負』だよ〜! 制限時間内に一番大きくて美味しそうな『巨大松茸モドキ』を獲ってきたチームの勝ち!」


「負けないよー! 私の探知魔法で一番大きいのを見つけてみせるんだから!」


「ガハハ、任せろ! 俺のパワーで最高の一本を引き抜いてやるぞ!」


 引き締まった表情を見せるカグラたち大手配信者チームと、気合十分の配信部チーム。二チームに分かれてのキノコ狩り勝負がスタートした!


◆


――大手配信者チーム(カグラ・ルナ・レオ)。


 無数にそびえる巨大キノコの幹を縫うように、プロの流麗な連携で森の奥深くへと突き進んでいた。


「ルナ、広域探知をお願い。魔力濃度の高いキノコ群生地を絞り込んでほしい」


「お任せあれ! 『広域魔力探知(フォレスト・スカウト)』!」


 ルナが杖を掲げると、淡い青光の波紋が森全体へと広がっていく。


「あったよ! 北西五〇〇メートル、巨大な『痺れシビレダケ』の群生エリアの奥! すごく濃厚な自然魔力反応がある!」


「よし、向かうぞ! ……っと、道塞ぎの障害物か!」


 突如、頭上の巨大傘から黄色い痺れ胞子が降ってきたが、レオが巨大な大盾を構えてバシッと前面を遮断した。


「がはは! この程度、俺の盾ならかすり傷もつかん!」


「助かるよ、レオ!」


 カグラが軽やかに大盾を跳み台にして跳躍すると、背中の大剣を一閃。道を塞いでいたツル状のキノコを華麗に切り払い、道を開いた。トップ配信者ならではの無駄のない洗練された立ち回りである。


>スライムニキ:カグラチームの動き無駄がなさすぎて草www

>名無しの冒険者:さすがソロとはいえプロの探索チーム、連携が完璧すぎる!

>ペンギン太郎:魔法で探知して盾で防いで剣で切る! ガチだ……!


 倒木を飛び越えた先、うっすらと霧が立ち込める木漏れ日の中に――それは鎮座していた。


「あった……! 見て、ルナ、レオ!」


 カグラが見上げる先には、金色に微かに光り輝く、人の背丈ほどもある見事な一本。笠の開き具合、軸の太さ、漂う芳醇な香りのどれをとっても極上品だ。


「すごい……! 完璧な『巨大松茸モドキ』だよ……!」


 カグラは目を輝かせ、傷をつけないよう丁寧に大剣の先で根元を削りだし、見事な手際で収獲した。


◆


――一方、配信部チーム(あおい・まひろ・凛)。


「くんくん……! こっち! こっちからすごく香ばしい、良いキノコの匂いがするよーっ!」


「ちょっとあおい! 匂いって……風上はまったく逆よ!? 勘で突き進むのはやめなさい!」


 直感だけで突撃しようとするあおいを、まひろが必死にジャージの襟首をつかんで引っ張り戻していた。


>名無しの冒険者:あおいちゃんの野生の勘www

>ソロキャンパー:カグラチームに対して配信部チームのノリよww

>腹ペコ通りすがり:あおいちゃんの嗅覚はたまにガチだからバカにできないんだよなぁ


「ふふ、でもあおいちゃんの直感は当たってるかもしれないよ〜」


 凛が足元の湿った土を指さした。そこには、鮮やかな黄金色の苔がびっしりと生えている。


「この黄金色のコケは『キンコケ』と言ってね、極上の『巨大松茸モドキ』の菌糸と共生するコケなんだよ。まわりに生えている紫色の『シビレワライタケ』には触らないように注意して……この根元を掘ってみようか」


「まかせてっ! 『アタッカー流・スコップ掘り』だよーっ!」


 あおいはスコップを手に取ると、驚異的なスピードでサクサクと土を掘り返していった。


――『ザクッ……ポコッ!』


「うわああああっ! 出たーーーーっ!!」


 土の中から姿を現したのは、カグラたちが獲ったものに一歩も引けを取らない、丸々と太った超巨大な松茸モドキの『菌床の塊』! 人の胴体ほどもある極太の軸が、ずっしりとした重みで横たわっていた。


「すごぁい……! 土の中でじっくり熟成された、最高品質の松茸モドキだよ〜!」


「本当に掘り当てちゃったわね……あおいの野生の勘と、凛の知識の組み合わせは相変わらず恐ろしいわ……」


 まひろが呆れつつも感心していると、藪の向こうからカグラたち大手配信者チームが顔を出した。


◆


「あ! カグラさんたちもいたー! 見て見て、私達もすごいの掘り当てたんだよ〜!」


 あおいが誇らしげに掲げた特大キノコを見て、カグラ、ルナ、レオの三人は思わず目を見張った。


「なっ……! 私たちが魔法と索敵スキルを駆使して見つけたものと同等……いや、軸の太さはそれ以上かもしれない……!」


「探知魔法なしでこれを掘り当てるなんて……あおいちゃんたち、すごすぎるよ!」


「がはは! これほど見事なキノコは見たことがないぞ!」


 カグラは手に持った自分の松茸モドキと、あおいたちの松茸モドキを見比べ、柔らかく微笑んだ。


「ふふ……甲乙つけがたいね。勝負は引き分け! この両方の特大キノコを、みんなで一緒に美味しく食べよう!」


「うんっ! 大賛成ーーーっ!!」


◆


 勝負の後は、みんなで楽しい打ち上げタイムだ。


 巨木の木陰にセットされたのは、凛特製の巨大土鍋。


 鍋の中には、凛が事前に仕込んできた『アゴ出汁と極上昆布の特製黄金スープ』がコトコトと煮立っている。


「さあ、お互いが採ってきた『巨大松茸モドキ』を贅沢に手で割いて……投入するよ〜!」


 凛があおいたちとカグラたちの巨大松茸モドキを豪快に割り、鍋へと投入する。


 黄金スープから『シュワァァ……』と湯気が立ち上り、一瞬で周囲に秋の芳醇なキノコの香りが広がった。


「特製『巨大松茸モドキと秋の極上旨味キノコ鍋』、完成だよ〜!」


「「「いただきまーす!!」」」

 あおいは出汁をたっぷり吸った巨大松茸モドキを口いっぱいに頬張った。


――『シャキッ……ジュワァァァ……』


「〜〜〜〜〜っっっ!!!!」


 噛んだ瞬間、極上の弾力とシャキシャキとした圧倒的な歯ごたえ!


 そして、キノコの繊維から溢れ出すのは、濃厚なキノコの香りと凛の特製出汁の深みのある旨味!


「スープの旨味をキノコが全部吸い込んでて、噛むたびにお口の中が出汁の海になっちゃうよ〜っ!」


 続いて、カグラもハフハフと息を吹きかけながら、取り皿のキノコとスープを口に運ぶ。


――『ごくっ……ふぅ……』


 次の瞬間、カグラの美しく整った琥珀色の瞳から、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。


「……っ!! おいしい……! 出汁の旨味を吸ったキノコが、口の中で弾けるみたいだ……! 私……今までダンジョンで何を食べさせられていたんだ……!」


「あはは! カグラちゃん、噂通り本当に感動して泣いてるーっ!」

 ルナが嬉しそうに声を上げながら、自分も大きめのキノコと黄金スープをスプーンですくって口へ運ぶ。


――『パクッ……ハフッ……!』


 次の瞬間、ルナの大きな目が満月のように見開かれた。

「ふぁ……っ!? なにこれ、すごい味旨味……っ! 噛んだ瞬間にキノコの中からお出汁がジュワ〜って溢れてきて、お鼻から香ばしい匂いが抜けていくの……!


 美味しすぎて頬っぺたが落ちちゃうよ〜〜っ!」


 ルナは両頬を押さえて足をパタパタとさせ、すぐさま二杯目のスープを取り皿へ注ぎ始めた。


「がはは! どれ、俺もいただくぞ!」


 大盾使いのレオが、大口で肉厚な松茸モドキを豪快に一口で放り込む。


――『ガブリ……シャキシャキッ……!』


「うおおおっ!? 歯ごたえが凄まじいな! それにこの出汁の深み……五臓六腑にしみ渡るとはこのことか! 塩加減も出汁のコクも完璧で、喉を通ったあとも旨味の余韻が残る! 正直、酒が欲しくてたまらんぞ!」


 大きな体でお代わりを連発するレオ。普段はクールなトップ配信者たちの幸せそうな食べっぷりに、コメント欄は大爆発となった。


>スライムニキ:カグラ様の涙からのルナちゃんのリアクション最高www

>名無しの冒険者:レオさんがマジでお酒欲しがってて草www

>ペンギン太郎:出汁を吸った巨大キノコのシャキシャキ音ズルすぎる……!

>腹ペコ通りすがり:みんなでハフハフ食べてるの最高に美味しそう! 今夜はキノコ鍋にするわ!


「ふふ、みなさん、たくさん食べてくださいね」


「うん……! あおいちゃん、凛ちゃん、まひろちゃん……やっぱり私、君たちの前衛としてこれからもずっと美味しいご飯を食べに来るよ……!」


 涙目になりながら熱い眼差しを向けるカグラに、ルナも「私も絶対またついてくるー!」と身を乗り出し、レオも「がはは! 防壁ならいつでも俺に任せろ!」と胸を叩いた。


 あおいは弾けるような笑顔で答えた。


「もちろん! みんなでまた美味しいもの食べに行こうね!」


◆


「はぁぁぁぁ……! お腹いっぱい! 秋のキノコ鍋、最高の美味しさだったよ〜!」


 すっかり空になった土鍋を前に、あおいは大満足で伸びをした。


「コラボ配信は大成功ね。カグラさんたちのおかげで同接も過去最高を記録したわ」


「ふふ、あおいちゃんたちのおかげだよ。本当に楽しかったよ」


「うんっ! 美味しいキノコ鍋も食べられたし、最高のコラボだったね!」


「がはは! 次は俺たちが美味い食材のあるダンジョンへ案内してやるからな!」


 笑顔で言葉を交わし合う六人(と、凛から小さな茹でキノコをもらって「きゅ〜♪」と満足そうにお腹を叩くツノっち)。


 カグラたちが柔らかくカメラに向かって手を振る。


「それじゃあみんな、今日の豪華コラボ配信はここまで! 次回の配信もお楽しみに!」


>スライムニキ:最高のコラボだった! またこのメンバーで見たい!

>名無しの冒険者:カグラ様たちお疲れ様! 配信部ちゃん10万人おめでとう!

>ソロキャンパー:キノコ鍋ごちそうさま! 次回も楽しみにしてるぞ!


「「「ごちそうさでしたーーーっ!!」」」


――『ピッ(配信終了)』


 秋の深いキノコ森に、みんなの賑やかな笑い声と温かな余韻が、いつまでも心地よく響き渡っていたのだった。

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