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同接3人スタート! 制服姿で異世界配信を始めたら、飯テロで大バズりしました 〜異世界ごはん配信部〜  作者: 原島航平


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第26話:秋の体育祭打ち上げ! 火山で極上ほくほく溶岩焼き野菜

「勝ったーーーーっ!! 優勝だーーーっ!!」


 体操服のゼッケンを揺らし、部室のドアを盛大に蹴破る勢いで飛び込んできたのはあおいだった。


 今日は秋の全校体育祭。


 髪を一つに結び、体操服の袖を大きくまくったあおいは、全力を出し切った興奮が冷めやらない様子でガッツポーズを決める。


「ちょっとあおい! 勝利の喜びは結構だけど、ドアは静かに開けなさい!」


 続いて部室に入ってきたまひろが、乱れた髪を整えながらハァハァと息を荒らげて溜息をついた。


「というかあなた、借り物競走で『部活の仲間』のお題を引いたからって、私と長身の凛を抱えて爆走するなんて誰が想像するのよ!?」


「あはは……! いけるかもって思ったらほんとにいけちゃった!二人とも風を切って楽しそうだったよ!?」


「楽しそうなわけないでしょう! 全校生徒と保護者、それに学校公式の生配信を観ていた視聴者の前でどれだけ恥ずかしかったか……っ!」


 真っ赤になって抗議するまひろの横で、凛が「ふふっ」と優しく微笑んだ。


「でも、あおいちゃんのすごい脚力のおかげで私たちの白組が総合優勝できたんだから大活躍だったよ〜。……というわけで、がんばったあおいちゃんへのご褒美と、体育祭の打ち上げを始めようか!」


「ご褒美!! 打ち上げ!!」


 あおいの目が一瞬でキラーンと輝いた。


 凛が部室の奥にあるポータルのダイヤルを回す。行先は――『火山エリア・中層テラス』だ。


◆


 ポータルを抜けると、そこは地熱でほんのりと温かい岩肌のテラスだった。


 遠くにはポツポツと流れる赤く揺らめく溶岩の河が見え、秋の夕風と心地よい地熱が、体育祭で火照った身体を優しく包み込んでいく。


 まひろがポムドローンを起動すると、体育祭の熱気が残る放課後の緊急配信がスタートした。


>スライムニキ:体育祭おつかれえええええ!

>名無しの冒険者:公式配信で見てたぞwwあおいちゃんが二人抱えて爆走する切り抜き、SNSでバズりまくってて草

>ペンギン太郎:長身の凛ちゃんとまひろちゃんが抱えられてるの可愛かったww白組優勝おめ!

>ソロキャンパー:放課後打ち上げ配信助かる! 火山エリアってことは……焼き物か!?


「みんなこんばんは〜! 体育祭で全力を出し切ってお腹ペコペコな、あおいです!」


「……あおいの爆走で目まぐるしい目眩を味わった、まひろよ」


「ふふ、凛だよ〜。今日は秋の味覚をたっぷり味わえる最高の『異世界野菜セット』を用意してきたよ〜!」


 凛が保冷ボックスから取り出したのは、見たこともない色鮮やかで力強い秋の異世界野菜たちだった。


「今夜の食材は、火山エリアのミネラル豊富な土壌で育った絶品野菜! 紫色に怪しく光る大きな『溶岩マグマナス』に、黄金色の甘い蜜が溢れ出している『マグマ蜜芋』、そして手のひらサイズの香ばしい『マグマニンニク』だよ〜!」


 凛が包丁を入れると、溶岩マグマナスからは新鮮な水分が「ジュワッ」と溢れ出し、マグマ蜜芋からはまるで蜂蜜のような濃厚な蜜の滴がトロリと垂れ落ちた。


「この野菜たちを、地熱でガンガンに温めた溶岩石プレートでじっくり焼き上げるよ〜。仕上げには、特製の『アンチョビ風異世界味噌バーニャカウダソース』を添えてね!」


「お野菜……! 溶岩石で焼いたおナスとお芋……! もう匂いだけでお腹が鳴っちゃうよ〜〜っ!」


◆


 凛がセットしたのは、火山エリアの溶岩から切り出された特製の『溶岩石プレート』。


 プレートが地熱と魔力で熱せられたところで、厚切りにしたマグマナスとマグマ蜜芋、皮つきのまま丸ごと潰したマグマニンニクが並べられた。


――『ジューーーーーッ……パチパチパチ……』


 静かな夜のテラスに、澄んだ焼き音が響き渡る。


 厚切りのナスが溶岩石の熱を吸い込んでしんなりと汗をかき始め、皮目が香ばしく焦げていく。同時に、マグマ蜜芋の糖分が焦げる甘く香ばしい焼き芋の香りと、極上ニンニクの食欲をそそる芳香が爆発した。


>スライムニキ:うおおおお! 野菜の焼ける音がめちゃくちゃいい音してる!!

>名無しの冒険者:溶岩石で焼くナスと蜜芋とか絶対甘くてウマいやつじゃん!

>腹ペコ通りすがり:肉もいいけど、この秋の焼き野菜テロは胃袋に効く……!

>ベジタブル好き:ナスの表面から水分がジュワジュワ浮き出ててヤバい!!


「さあ、焼き上がったよ〜! ナスは熱々トロトロのうちにどうぞ!」


 凛がトングで皿に盛り付けたのは、外側の皮目が香ばしく焼き上がり、中の果肉が透明感を帯びてトロトロに溶けかけている熱々の溶岩マグマナス。


「いただきまーす!!」


 あおいはハフハフと息を吹きかけ、特製バーニャカウダ味噌ソースをたっぷりつけて一気に口の中へ放り込んだ。


――『サクッ……ジュワァァァ……とろん……』


 噛んだ瞬間、まず溶岩石でカリッと香ばしく焼かれた皮目が心地よい音を立てる。


 直後、歯を立てる必要すらなく、果肉からあふれ出した果汁と甘みが「ジュワ〜ッ」と口いっぱいに広がった。


「〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!」


 あおいは言葉を失い、両手を頬に当ててうっとりと目を閉じた。


 ナスの水分と果肉が、まるで極上のスープのように口の中でとろけていく。そこにアンチョビ味噌の塩気とニンニクのコクが重なり、野菜とは思えないほどの濃厚な旨味が爆発した。


「んんん〜〜〜っ! おナスがジュースみたいに口の中で溶けちゃうよ〜っ! 皮はサクサクなのに中はトロトロで、旨味がすごすぎるっ!」


 続いて、まひろが黄金色に輝く『マグマ蜜芋』をフォークですくい、口へ運ぶ。


――『ホクッ……トロン……』


 まひろの目がパッと見開かれた。

「……っ!? なにこれ……果肉の密度がすごくて、まるで高級なスイートポテトを食べているみたい……! 表面の焦げた蜜が香ばしくて、砂糖を使ってないなんて信じられないわ……!」


 冷静なまひろも、ほくほくの甘い蜜芋の美味しさに笑みをこぼし、ふーふーと息を吹きかけながら夢中でフォークを動かす。


「溶岩石の遠赤外線効果で、野菜の甘みが極限まで引き出されているのね……。疲れた身体に、この優しい甘みとニンニクソースの塩気が染みわたっていくわ……」


 熱々のナスと蜜芋をハフハフと頬張る三人(と、凛から小さくカットした焼き蜜芋をもらって「きゅ〜♪」と幸せそうに口を動かすツノっち)。


 肉料理とはまた違う、素材の甘みと香ばしさが際立つ極上の秋の味覚に、コメント欄は大絶賛の嵐となった。


>スライムニキ:あおいちゃんが『ナスがジュース』って言ったの分かる気がするwww

>名無しの冒険者:マグマ蜜芋の断面から蜜が溢れてるの凄すぎるだろ!

>ペンギン太郎:溶岩石プレートの焼き野菜、ヘルシーで美味しそうで最高の打ち上げだな!

>腹ペコ通りすがり:今すぐ焼き芋買いに走ってくるわ!!


◆


「はぁぁぁぁ……食べた食べた! 身体がポカポカして、体育祭の疲れが完全に消えちゃった!」


 あおいは満足気にお腹をぽんぽんと叩き、夜風に吹かれながら満天の空を見上げた。


 地熱で温かいテラス席の上で、三人で並んで温かいハーブティーを飲む。


「ふう……抱えられた時はどうなるかと思ったけれど、こんなに美味しいお野菜が食べられたなら、許してあげるわ」


「えへへ、やったぁ! まひろ、許してくれた!」


「ふふ、秋はまだまだ美味しい野菜がたくさんあるから、次の探索も楽しみだね〜」


 あおいがカメラに向かって元気に拳を突き出す。

「みんな! 秋の『異世界ごはん配信部』は、お肉も野菜もどんどん攻めていくよ! 次回の配信もお楽しみに!」


>スライムニキ:秋の野菜系ダンジョン飯も期待してるぞー!

>名無しの冒険者:爆走からの極上焼き野菜、最高だった! お疲れ様!

>ソロキャンパー:ごちそうさま! 次回も楽しみにしてるぞ!


「「「ごちそうさまでしたーーーっ!!」」」


――『ピッ(配信終了)』


 赤く揺らめく溶岩の光と、香ばしい焼き芋とナスの甘い香りの余韻を残し、秋の放課後の賑やかな配信は、温かな笑顔とともに幕を閉じたのだった。

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