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同接3人スタート! 制服姿で異世界配信を始めたら、飯テロで大バズりしました 〜異世界ごはん配信部〜  作者: 原島航平


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第15話:新たな獲物! 柑橘香る森で鳥狩りスタート!

 大盛り上がりのうちに幕を閉じた学園祭の翌日。


 昼休みの教室、ピザとジュースでプチ打ち上げを終えたあおいたちは、余韻と幸せに包まれながら放課後の部室へと集まっていた。


「はぁ〜、昼休みのピザパーティー楽しかったね〜! クラスのみんなもカツサンド完売で大喜びだったし、最高の学園祭だったなぁ」


「ええ。打ち上げの費用も完売の売上から全額出せたし、クラスの絆も深まったみたいで何よりだわ」


 あおいとまひろがソファーに腰掛ける横で、凛が持ってきていた小さな保冷バッグを開く。


「はい、ツノっち。お留守番ありがとうね〜。特製カツサンドだよ〜」


「ふにゅっ!?」


 凛が取り出したのは、塩分や調味料を一切使わず、水切り豆腐と新鮮なキャベツだけで作った『動物用ボタニカルカツサンド』だ。


 ソファーの上で丸くなっていたツノっちは、目を輝かせて「ふにゅ〜〜!」と歓声をあげると、両手で大事そうにカツサンドを抱えてモグモグと頬張り始めた。


「可愛いなぁ……癒やされる……」


「そういえばまひろちゃん、部活の資金の方はどう? 昨日の配信はお休みだったけど……」


 あおいが尋ねると、まひろはニヤリと不敵な笑みを浮かべ、タブレットの画面をあおいと凛に見せた。


「ふふふ、心配ご無用よ。チャンネル登録者数はついに【8万人】を突破。過去のアーカイブの再生数も伸び続けているし、先月分のスパチャと広告収入がどっさりと部活口座に入金されていたわ」


「うわあああ!? 桁が……桁が多い!!」


「これで当面の食材費や高級スパイスの購入費用、魔導具の維持費は完全に担保されたわね」


 部活動としての金銭的余裕に、あおいが「これで高い調味料も買い放題だ〜!」と踊りあがったその時――あおいのスマートフォンがピコンと音を立てた。


 メッセージの送り主は、トップ配信者のカグラだ。


『カグラ:あおいちゃん、学園祭、お疲れ様。昨日の屋台飯も良かったが……そろそろ異世界でしか味わえない、極上のお肉が恋しくなってきたよ。私の胃袋はいつでも準備万端だ』


「あはは! カグラさん、もう次の異世界こ飯を楽しみにしてるよ!」


「ふふ、相変わらず食欲旺盛ね。ちょうどいいわ、次の獲物のターゲットはもう決めてあるの」


 まひろがタブレットの画面を切り替えると、鬱蒼とした緑の森と、一頭の鳥モンスターの立体映像が浮かび上がった。

「今回向かうのは、中層エリア『新緑の大樹海』。そして狙う食材はこれ――【シトラスドードー】よ!」


 画面に映し出されたのは、体長3メートルほどの巨大な鳥だった。


 鮮やかなエメラルドグリーンの羽毛を持ち、くちばしの形はどことなくグレープフルーツの房に似ている。


「シトラスドードー……? なんだか爽やかそうな名前だね」


「この鳥は、森に自生する野生の柑橘類やハーブを主食にしているの。だから肉そのものにほのかな甘酸っぱさと爽やかなハーブの香りが染み込んでいて、臭みが一切ない『幻の高級鳥肉』としてギルドでも高値で取引されているのよ」


「柑橘とハーブの香りがする鳥肉……!?」


 あおいと凛の目が同時に輝いた。


「すごいよ凛ちゃん! それ絶対に唐揚げにしてもローストチキンにしても美味しいやつだよ!」


「うん……! レモンをかけなくても、最初から肉自体に爽やかな風味がついてるなんて……最高の食材だね〜!」


◆


「よし! ポムドローン起動! 冒険配信スタートするよ〜!」


あおいがポータル前でポムドローンを起動させると、画面上の同時接続者数が一瞬で数千、数万へと跳ね上がっていく。


『ぽむっ!』


>名無しの冒険者:きたああああ! 学園祭お疲れ様!

>カグラ推し:今日どこ行くの!?

>【古参】スライムニキ(¥5,000):『カツサンド美味そうだったぞ。今日は何の狩りだ?』


「みんなー、こんにちは! 異世界ごはん配信部です! 今日は中層『新緑の大樹海』で極上の鳥肉モンスターを狩りにいくよ〜!」


ポータルを潜ると、見渡す限りの巨木と瑞々しい青葉が広がる幻想的な森へと出た。


木漏れ日が差し込む森の空気は、どこかレモンやハーブを思わせる甘酸っぱく爽やかな香りが漂っている。


「やあ、待っていたよ」


木陰から姿を現したのは、漆黒の革鎧を身に纏い、背中に巨大な大剣を背負ったカグラだった。


>名無しの冒険者:カグラ様きたあああ!!

>ガチ勢:相変わらず革鎧と大剣の圧がすごいww

>初見さん:これがチャンネル登録数百万人のトップ配信者……!


「カグラさん! 今日もよろしくお願いします!」


「ああ。……それで、今日の獲物は例の『柑橘香る鳥』で間違いないかい?」


「ええ。この森の奥深くに生息しています。お肉の味を損なわないよう、綺麗な状態で仕留めたいところですね」


「任せてくれ。肉を傷つけずに一撃で仕留めるのは得意だ」


カグラが不敵に微笑み、4人は爽やかな香りが漂う森の奥へと進んでいった。


――ガサガサッ。


小川の近くまで差し掛かった時、奥の茂みが大きく揺れた。


甘酸っぱい柑橘の香りが一気に強くなる。


「みんな、来たわ……!」


まひろの低く鋭い声とともに、茂みを割って巨大な影が飛び出してきた。


光沢のある美しい羽毛を揺らし、パタパタと翼を羽ばたかせながら現れたのは、ターゲットの『シトラスドードー』だ!


「クエーーーッ!?」


「大きい……! でも、すごく美味しそうな香りがする!」


あおいが身構えると同時に、作戦開始だ!


「あおいは右側!凛は左!囮として引き付けて! 私が目くらましをかけるわ!」


「了解! こっちだよーっ!」

「了解〜!ほらほら〜こっちこっち〜!」


 返事をするとあおいと凛が駆け出す。


 シトラスドードーは左右に分かれたあおいと凛に、どちらを追うか、一瞬迷ったように見えたが、動きの派手なあおいの方に向き直ると、巨体に似合わぬ素早さで突進してくる。


「カグラさんは隙をついてトドメを!あおい!回避!【フラッシュ】!」


 まひろがタブレットを操作すると、魔法陣がシトラスドードーとあおいの間に出現。


 直後、魔法陣が強烈な閃光を放った。


 あまりの閃光にシトラスドードーが「クエッ!?」と足を止めた一瞬――。


風が切れる音がした。


「――『疾風(はやて)』」


カグラの影が残像のように瞬き、一閃。


 シトラスドードーの首元を一筋の銀光が走り、巨鳥は苦しむ間もなく静かに崩れ落ちた。


 まさに完璧な一撃必殺。


 お肉を痛めない、超一流の討伐技術である。


>名無しの冒険者:は???? 一瞬すぎんだろwww

>ガチ勢:相変わらずカグラ様の手際がプロすぎるww

>スライムニキ(¥10,000):お肉ノーダメージの完璧な一撃必殺助かる


「す、すごい……一瞬だった……!」


「ふぅ……いい手応えだ」


カグラが大剣の血を払い、背中の鞘に収める。


さっそく凛がマイ包丁を取り出し、カメラの前でシトラスドードーの解体に取りかかった。


羽毛を削ぎ、皮目に刃を入れた瞬間――。


ふわぁぁぁっ……!


「〜〜〜〜っ!???」


その場にいた全員の鼻腔を、甘酸っぱいレモンとハーブの芳醇な香りが駆け抜けた。


カメラ越しにも、うっすらと綺麗なピンク色をした極上のお肉から溢れる肉汁とサシの美しさがくっきりと映し出される。


>名無しの冒険者:うわあああ絶対これ美味いやつ!!

>初見さん:画面越しでも身のプリプリ感が伝わってくるんだが!?

>飯テロ被害者:鳥肉に最初からレモンの香りがついてるとか神の食材かよ……


「な、なんだこの香りは……! まだ焼いてもいないのに、こんなに芳しいなんて……!」


カグラがゴクリと大きな生唾を飲み込み、目を爛々と輝かせた。


「凛ちゃん……これ、今すぐ炙って食べられないかい!? 刺身かタタキにして一口だけでも……!」


「ダメだよカグラさん! 我慢して!」


あおいは思わずカメラの前でカグラの肩を揺すって制止した。


「このシトラスドードー肉はね、今日しっかり血抜きをして、特製のハーブオイルと炭酸水に一晩漬け込んで寝かせることで、明日何倍も美味しくなるんだから!」


「一晩……寝かせる……!?」


「そう! というわけでリスナーのみんな! 今日の狩りはここまで! 明日の放課後、この極上鳥肉を使った『柑橘香るサクサク唐揚げ&特製ローストチキンパーティー配信』をやります!」


>名無しの冒険者:明日の放課後了解!! 全裸待機!!

>スライムニキ:配信決定助かる。明日絶対にリアタイするわ

>カグラ推し:おあずけ喰らってるカグラ様かわよww


「くっ……おあずけか……! だが、美味しくなるというのなら……耐えてみせよう……!」


カメラに向かって悔しそうにお腹を鳴らすカグラの姿に、コメント欄は大爆笑。


極上のシトラスドードー肉を部室の魔導冷蔵庫へと持ち帰り、特製タレに漬け込んで仕込みは完了。


冷蔵庫の中で静かに旨味を蓄えていく至高の食材と、明日の配信を心待ちにするリスナーたち。


明日の放課後、異世界ごはん配信部史上、最高にジューシーな「絶品異世界飯」の宴が始まろうとしていた!

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