wellcome episodo 006 告げる者・黙る者
春乃は手帳を握りしめながら街を歩いた。
あの火災が起こると記されていた空き地に向かって・・・。
でも、その土地には再開発が始まり、鉄骨が組まれ、警備員が立っていた。
メモ通りだったとしてもすでに未来は違っていた。
耳元で風が囁いたような気がした。
「未来は"選ばれた瞬間"に変わる」
・・・・・あの声、鮫代 和
彼はどの瞬間に"語る"ことを諦めたのだろうか?
そして春乃自身は"告げる勇気"の一歩を、踏み出そうとしていた。
その夜春乃は投稿サイトを開いた。
「未来の断片を書きます。信じてほしいとは言いません、もしもの備えとして片隅に置いてください 3日後、ある都市の地下鉄で通電トラブル、無人化運転が暴走し、二つの駅が閉鎖されます」
『公開』をタップする手が震えた。
"ホラ吹き"のレッテルが貼られるかもしれない、けど、「語る」ことが未来への責任だと、信じて。
数時間後、その投稿は、100を超えるコメントで埋め尽くされた。
"備えようと思います、ありがとう・気にかけておきます・もしかして、火災予告した人なの?"・・・・・など。
投稿から3日後、本当に地下鉄一時的運転を停止した。原因はシステム異常。偶然かもしれない、誰かの行動が変わったのかもしれない。
春乃はそれを"未来が揺らいだ瞬間"と感じた。
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その晩再びあの夢の中のスシタス・オメホに引き込まれる。透明な都市に一つの看板が立っていた。
「観測ログ:預言者 02」
NAME Haruno KIsaragi
"鮫代 和"がいたあの空間に、今度は春乃の名が浮かんでいた。
「君もここまで来たんだよね」
夢の中で鮫代は、言った。
「選ばれなかった未来と記録するだけじゃもうダメなんだ、語り続けなければ・・・ スシタス・オメホは現実に食い込んでくる」
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春乃が目を覚ますと投稿サイトには見慣れない通知が届いていた。
【あなたの投稿が、都市防災センターに引用されました】
その時彼女は、"語る者"が世界を変える、そう予感した。




