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wellcome episodo 005 浮き上がる国の輪郭

 「スシタス・オメホ」その言葉が通知として春乃のスマホに届いたと同時に画面が一瞬砂嵐のノイズに包まれた。


再起動しても履歴は残っていない。


その日の帰り道、春乃はふと立ち止まった。通いなれた駅前の広場、看板のロゴ街頭のスピーカーの音質、通行人、総てがズレて違和感を覚えた。


(この感覚は何だろう・・・)


 記録者の手帳には続きはあった。

 「スシタス・オメホは、存在しない国、存在しないはずの出来事が集まる場所 それは予言が無視された条件の"その後"で実行される」


その夜春乃は夢を見た。

青く透明な都市空中を滑るように移動する人々。時刻を持たない時計塔・・・。

誰かの声が後から囁いた。

【ここは未来の"抜け殻"誰かが失敗し黙って誰かが見過ごした未来の"成れの果て"】



目を覚ますと、涙が頬を濡らしていた。春乃はパソコンを開き、文字列の検索をした。

"スシタス・オメホ"・・・結果はゼロ。


 よく画面を見ると、検索枠の下に小さく表示された『あなたへのおすすめ』の文字が、目に留まった。

 【鮫代 和の失われたインタビュー】

投稿日:8年前 再生回数: 3回


動画を再生すると画面に映されていたのは間違いなくあの男性"鮫代 和"だった。


 「この先の未来、きっと誰もが"これは実現しないと思うだろう でも、それが未来が歪んだ証拠なのだ "信じてもらえなかった"それ自体がもう一つのトリガーになる」


春乃は息を呑んだ。


 「未来は誰かが"告げる"ことでしか形にならない それをやめたとき世界は"勝手に自動運転を開始する その行き先がスシタス・オメホだ」




この手帳は未来を変える武器ではない。『選ばれなかった未来』を記録する日誌で、春乃は告げてはいない。




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